↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔みたいにかわいい彼女は、本物の悪魔でした  作者: わしお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/61

第49話 - 寂しいなるデス

「あー……」


 大輝は参考書を広げたまま机に突っ伏す。志望校のレベルを上げたら、受験勉強が一気に大変になった。しかしこの大学の方が、天音が目指している大学に近い位置にある。高校卒業後にまだつき合ってる可能性が少しでもあるなら、天音との時間が取りやすいところに進学したい。

 結局やりたいことではなく、下心で決めてしまった。やりたいことは、大学に入ってから探す。それもきっと悪くないはずだ。


 隣に座る天音が微笑み、握っていた水色のシャープペンシルを置く。


「少し休憩する? 根を詰めてもよくないし」

「そうする……」


 大輝もペンを置き、ぐーっと伸びをする。ふと窓の外を見ると、校庭の桜の木が鮮やかに紅葉している。


(もう十一月が終わるんだな……早っ)


 少し前までは暑かったのに、もう冬が来るのだと感慨深くなる。歳を取るともっと早くなるというが、今からこの調子で大丈夫なのだろうか。


「受験は大変なのデスカ?」


 大輝の前の席で作業をしていたノエがくるりと振り返る。本当に疑問に思っていそうな顔は、馬鹿にしているわけではないようだ。


 あれからノエは、大輝たちと行動を共にすることが増えた。ノエを狙っていた女子たちも、今は受験勉強に忙しく、ノエどころではないらしい。

 ノエはおそらく、意図して大輝と天音と話すようにしている。ノエなりに、歩み寄ろうとしているのかもしれない。大輝もその行動に報いたいと思っているし、ノエのことを知りたいと思っている。ちなみにこの日、翔太は面接の練習で勉強会に参加していない。


 大輝は「うーん」とノエの質問の答えを考える。


「志望校によるんじゃないか? オレは目標をレベル高いとこに変えたから大変なだけ」

「大抵の人は大変だと思うよ。本番は一回きりだし」


 天音は大輝をフォローするように言う。大輝より余裕がありそうな天音が言ってくれると、大輝は自分がみじめではないと安心できる。


「ノエは何書いてんの?」


 大輝はノエの机に広がるノートを見る。写真がたくさん貼られたそれは、まるで日記のようだ。

 ノエはそのノートを自慢げに持ち上げ、キラキラした目で大輝に見せてくる。


「日本の思い出を書くしてます! イタリアに帰るしたら、妹に見せるします!」

「妹いるんだ」

「ハイ! 反抗期で喋るしないデス」

「あるよな、そういう時期」


 大輝はノートを端から順に見る。本当に何気ない日常のことを書いているようだ。大輝たちの弁当の写真もある。


「すごいいっぱい書いてるな」

「思い出、毎日たくさんできるデス!」


 ノエは少し寂しそうに目を伏せる。


「ボク、卒業したらイタリアに帰るします。きっと寂しいなるデス」


(そうだよなぁ……)


 ノエはずいぶん日本を満喫しているように見える。半年の滞在は、飽きるには短い。


(去年なら修学旅行とかもあるし、もっと思い出作りできたんだろうけど……タイミングが悪かったよな)


 ここから先、楽しめるような行事はない。大輝は少し残念な気持ちになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。