デタラメに名前なんか無えんだぜ
『殺す。』
常温のカスタードプリンを、
指で食って男は言った。
コードネーム J
ハードレイン。
『なあ聞けよ765。オレのダチンコは、テーブルに並んだ食い物にキレて、ガソリン撒いて、
燃え死んだ。』
指に残ったお砂糖のベタベタ。
舌でぺろぺろ。
『奴の最期の言葉は、おなかすいた。
だったんだぜ。笑えるぜ。』
765は、窓にこびり着く雨粒を見つめながら言った。
『知っている。コードネーム5。
ガソリン屋だな。』
Jはフン。と鼻を鳴らした。
『今のは笑い話。こっからはお仕事の話だぜ。』
Jの目つきが、狂乱の色を纏った。
『誇りある最終処分屋の仕事から、
飛んじまった舐めた野郎を殺す。』
ガラスカップの底に食べ残された
カスタードプリンの色が急に濁って、
とてもグロテスクに見える。
『コードネーム666。ニコチン野郎さ。』
Jはガラスカップを手に取ると、
それに噛みついて、破片を食べる。
ギャリギャリ。
ボリボリ。
ガラスが口の中をデタラメにする。
Jは真っ赤に濡れた舌をベーして、
血とガラスをテーブルに垂れ流した。
『ダチンコは世界を拒絶して燃え死んだ。
666も死ななきゃいけねえ。5の魂の安らぎのためにな。』
笑顔、殺しの誓い。J。
5の死へ意味を与えて笑う、Jの様子を見て、
呆れた765が言う。
『なぜそんな無意味な事をする?』
Jは血でまみれた歯を見せて笑う、
『デタラメに名前なんか無えんだぜ。』




