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現代魔女はダンジョンに潜る  作者: 齋藤 真白
第1章 青春短し潜れよ乙女
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幕間1-1 女子メン会議

「お待たせ~! あ、ウチが最後?」

「柚希さん、お静かに。メッセージに書いたことをお忘れですか?」


 ウチら女子メンだけのグルチャに、さなぽんが送ったメッセージ。

 まさみっちに秘密で婚約者会合するから部屋に来てねって感じのヤツ。


「やば。ごめんて~許してよぉさなぽ~ん」

「……桃園さんたちの前でその呼び方はくれぐれも(つつし)んでください。定着したら困ります」

「えぇ~?」

「はぁ……とりあえず座ってください」


 そう言われて空いてるクッションに座ったら、さなぽんが咳払いして周りを見回した。

 ウチから見て正面にいるのがさなぽんで、左右にひなちとひるるがいる。

 四人で集まるときは自然とこの並びになるんだよねぇ。


「時間が限られていますので、最初から本題を。以前よりお話していた、私たちの()()()()()()()()()()に関する話です」


 その一言でピンときた。


「あー、遥香ちゃんたちにすんの?」

「ええ。彼女たちならば相応(ふさわ)しいのではないかと」


 そう言ってさなぽんが手帳を開く。

 メモまでしてたのかな? マメだなー。


「まず桃園遥香さん。支援型魔道士として、戦力面での貢献は申し分ありません。あの支援スペルは私たちの動きを目に見えて底上げしてくれていましたね」

「わかるわかる。属性付与? だっけ? あれも便利そうだったよね~」

「ええ。人柄も問題なく、正光様への気持ちはもう十分に伝わっています。お迎えする理由に不足はありません」


 さなぽんがそこで少しだけ口元を緩める。

 珍しい。遥香ちゃんのことは、さなぽんも単純に気に入ってるんだと思う。


「次に蓮見那月さん。軽戦士としてはもちろん、あの動きから考えると斥候方面への伸びしろも感じられます。さっぱりした気性も、パーティに馴染(なじ)みやすいでしょうし……何より、ギフトが素晴らしい」

「那月ちゃんね~。スポーツ少年って感じで可愛いよねぇ」

「……柚希さんのその感想、本人の前では口に出さないでくださいね」

「え、褒めてるつもりなんだけど」

「存じています」


 ひるるがウチを見て、ぱちりと(まばた)きする。何。

 さなぽんはそれ以上突っ込まずに話を続ける。


「芒原茜さん。盾役重戦士として、フロアボス戦でも(おく)さず役割をこなしておられました」

「あ、それ聞いていい?」

「どうぞ」

「ウチが回避盾(タンク)やんなくてよくなる、ってこと?」


 さなぽんが一拍置いて頷く。


「そういうことです。柚希さんの機動力は、本来盾役に縛るべきではありません。芒原さんが戦闘に参加している間は、柚希さんには今より自由に動いてもらえます」

「やりぃ」


 シンプルに嬉しい。

 もっとバンバン攻撃する方がウチの性に合ってるもんね。


「それと、性格面でも問題はないでしょう。正光様……というか、私たちへの好意もはっきりしていましたし……むしろ、自分からいらしてくれそうな勢いすらありましたが」

「あははっ、確かに!」


 思い出したら笑えてきた。茜ちゃん、顔に全部出るタイプだよね。

 ひるるも何かを思い出したみたいに、ふわっと目を細めた。

 色々話しかけられてたし、慕われるのは悪くないってヤツ?


「最後に、柊千世さん」


 さなぽんの声のトーンが、ほんの少しだけ変わった気がした。


「攻撃型魔道士として、新人にしては安定した立ち回りでした。今後の伸びしろを考えれば、火力面の補強として申し分ない人材かと」

「千世ちゃんはちょっと独特だよね~」

「……ええ。今日一日見ていましたが、何を考えているのか読みにくい方です」

「でも悪い子じゃないと思うけど」

「もちろんです。正光様のパーティにお迎えするからには、きちんと見定めますから」


 さなぽんがそう言い切る。それはまあそうだよね、とウチも思う。


「柚希さんの役割は芒原さんが。ヒルデさんの役割は柊さんが代行できます」

「うんうん」

「私とひなたさんの役割は少し難しいですが……蓮見さんは斥候役として指導すれば問題ないかと。桃園さんの支援系スペルが極まればダメージ自体を減らせるでしょうから、ひなたさんが抜けた穴もある程度埋められます」


 まさに補欠(バックアップ)ってわけ。

 いやぁ、ほんとに都合のいい子たちが見つかってラッキーだよね!


「以上をふまえ、桃園さんたちが入浴を済ませた後にでもご提案しようかと。皆さん、ご意見はありますか?」

「さんせーい、異議なし!」

「……ワタシも、いいと思う」


 さなぽんの視線がひなちのところで止まる。


「ひなたさんは?」

「…………」

「おーい、ひなち?」

「……あ、はい。沙苗さんにお任せします」


 ひなち、もう眠いのかな?

 今にも寝ちゃいそうなひるるは勝手にシャワー使っちゃうだろうけど、その次はひなちに譲ってあげよーっと。


「では、決定ということで――」

「あ、そういえば」


 ウチが口を挟んだら、さなぽんが「また何かやったんですか」みたいな顔をした。


「今日さ、遥香ちゃんと千世ちゃんにちょっと話しちゃったんだよね。ウチらがまさみっちのお嫁さんになるって話」

「…………あなたという人は、全く」


 呆れられちゃった。でも声からして怒ってはなさそう?


 あと、ひるるがウチをじっと見てる。眠そうな目のまま、じっと。

 何。


「余計なことは言っていないでしょうね」

「だいじょーぶだいじょーぶ! そんくらいしか言ってないし、内緒にしてって頼んだもん」


 ウチがそう返すと、さなぽんはしばらく黙ってた。

 それからはぁっと小さく息を吐いて。


「……わかりました。今後は口を(つつし)んでください」

「はーい」


 ひなちはまだ少しだけ固い顔をして、クッションのあたりを見つめていた。

 もしかして、眠いわけじゃないのかな〜?

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