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暗殺貴族の溺愛ハーレム ~「守られる弱い男」を演じていたら、最強の女たちが忠誠を誓って離れません~  作者: 藤風大地
第1部 暗殺者の転生

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第6章 享楽の檻と、死を告げる選択肢(前編)

第6章 享楽の檻と、死を告げる選択肢(前編)

ナイトレイ城の執務室。

重厚なマホガニーの机の上には、いつものような領地経営の書類ではなく、一枚の不気味な招待状と、数枚の報告書が広げられていた。

部屋の空気は重く、冷たい。

俺――クロノス・ナイトレイは、報告書の一節に視線を落とし、静かに眉をひそめた。

「……行方不明者の数は、今月だけで二十名か」

「はい。いずれも十代後半から二十代前半の、容姿端麗な男性ばかりです」

レグルが沈痛な面持ちで答える。

彼女の眼鏡の奥にある瞳は、いつものような慈愛の色ではなく、鋭い理知と微かな怒りに彩られていた。

「王都の貧民街スラムや孤児院を中心に、神隠しのように消えています。王都警備隊も捜査に乗り出していますが、手がかりはゼロ。……いえ、正確には『握り潰されている』と言うべきでしょう」

「貴族が絡んでいるからか」

「その通りです。それも、王宮に太いパイプを持つ、極めて高位の貴族が」

レグルは指先で、机の上の招待状を示した。

真紅の封筒に、金の箔押しで記された紋章。それは、絡み合う薔薇と、獲物を狙う蜘蛛を意匠化したものだった。

「カミーラ・ブラッドリー伯爵夫人。……今回のターゲットです」

その名を聞いた瞬間、控えていたノクトがピクリと反応した。

部屋の隅で毒の調合をしていたヴネナンも、手を止めて顔を上げる。

「あらぁ、カミーラですって? あの『美少年収集家コレクター』の?」

「知っているのか?」

「ええ、裏社会では有名よぉ。表向きは芸術を愛するパトロンだけど、裏ではさらってきた美少年を自分の屋敷に監禁して、自分好みの『作品』に作り変えているって噂。……生きたまま剥製にしたり、四肢を切断してドールにしたりね」

ヴネナンが楽しそうに、しかし目は笑わずに解説する。

吐き気がするような悪趣味だ。

この「女尊男卑」の世界において、男性の権利は低い。だが、ここまで来るとただの猟奇犯罪だ。

「被害者の中には、かつてナイトレイ家が支援していた孤児院の子供も含まれています。……許せません」

レグルが拳を固く握りしめる。

ナイトレイ家は代々、表の顔として孤児院への支援を行っている。そこで育った子供たちが理不尽に奪われたとなれば、当主として黙っているわけにはいかない。

これは、掃除の時間だ。

「潜入ルートは?」

「それが……カミーラ邸の警備は鉄壁です。物理的な警備兵だけでなく、高位の魔術師を複数名雇い入れ、屋敷全体に対感知結界を張り巡らせています。さらに、彼女が主催する夜会オークションは完全招待制。身元の確かな上級貴族の女性しか入れません」

レグルが悔しそうに言う。

正面突破なら、ティランを使って屋敷ごと吹き飛ばせばいい。だが、それでは地下に囚われているかもしれない人質たちも巻き添えになる。

隠密に侵入し、人質を確保し、カミーラを排除する。

そのためには、内部への「パスポート」が必要だ。

「……招待状はあるんだな?」

「はい。裏ルートを使って入手しました。ですが、これは『ゲスト』としての招待状ではありません」

レグルが招待状を開く。

そこに書かれていたのは、パーティの日時と場所、そして一つの条件。

『――極上の花(美少年)を持参すること』

「この夜会は、参加者が自慢の『ペット』を持ち寄り、見せびらかし、交換するための品評会でもあります。つまり、入場チケットは『美しい男』です」

レグルが言いにくそうに口を閉ざす。

つまり、こういうことだ。

潜入するためには、誰かが「生贄」としてカミーラの懐に飛び込まなければならない。

俺は椅子に深く腰掛け、天井を見上げた。

そして、静かに告げた。

「……俺が行く」

その一言で、執務室の空気が凍りついた。

「却下します!!」

レグルが即座に叫んだ。普段の冷静さはどこへやら、机をバン! と叩いて身を乗り出す。

「危険すぎます! 敵地の中枢へ、しかも拘束されることを前提とした潜入など、正気の沙汰ではありません! 万が一、クロノス様に傷一つでもついたら……!」

「落ち着け、レグル。俺が一番適任だ」

俺は冷静に諭す。

「まず、俺は顔が割れていない。辺境の引きこもり貴族として通っているからな。次に、俺には『因果逆転』と『影魔法』がある。拘束されたとしても、いつでも脱出できるし、逆に内部から制圧することも可能だ」

「で、ですが……!」

「それに、だ。……俺は、男だ。この世界で『弱者』とされる男が、その傲慢な女狐に牙を剥く。それが一番、この腐った連中への報復になると思わないか?」

俺はニヤリと笑ってみせた。

それは当主の顔ではなく、獲物を狙う暗殺者の顔だった。

「……反対か?」

俺が周囲を見渡すと、それまで沈黙していたノクトが一歩前に出た。

「……反対ではない。ただし、条件がある」

「条件?」

「護衛として、私も同行する。メイドに変装すれば、世話係として潜入可能」

「なるほど。心強いな」

「それと、ティランたちは屋敷の外で待機。合図があり次第、突入して制圧する」

ノクトが視線をティランに向ける。

ティランは不満そうに鼻を鳴らした。

「ちっ、俺は留守番かよ。……ま、坊主がその気なら仕方ねぇ。一番派手な花火を打ち上げてやるから、合図しろよな?」

「ああ、頼む。……ヴネナンは?」

「私は解毒剤と、カミーラ夫人にプレゼントする『特製の毒』を準備しておくわぁ。苦しまずに死ねる薬と、死ぬほど苦しむ薬、どっちがいい?」

「後者で頼む」

「うふふ、御意」

チームの意思は固まった。

最後に、レグルが大きなため息をつき、眼鏡を押し上げた。

「……分かりました。クロノス様がそこまで仰るなら、私も覚悟を決めます。作戦名は『トロイの木馬』。クロノス様を最高級の『商品』に仕立て上げ、カミーラの懐へ送り込みます」

彼女の目が、キラーンと怪しく光った。

「その代わり……徹底的に、やらせていただきますよ? カミーラ如きに目が眩むほどの、至高の美少年に仕上げてみせますから」

……嫌な予感がする。

だが、賽は投げられた。

俺たちは、悪徳と欲望が渦巻く夜会へと、足を踏み入れることになった。

作戦決行の夜。

俺は自室のクローゼットの前で、人形のように立ち尽くしていた。

周囲を取り囲むのは、目を爛々と輝かせたレグル、ノクト、そしてなぜか参加しているリゼとヴネナンだ。

「さあ、まずはベースメイクからですわ! 肌の透明感を極限まで高めます!」

「クロノス様、じっとしていて。……無駄毛処理、完了」

「きゃー! このフリルのお洋服、絶対似合いますっ! 着てくださいっ!」

「あらぁ、フェロモン香水もたっぷり振りかけておきましょうねぇ。これでメス猫どもはイチコロよぉ」

彼女たちは、ここぞとばかりに俺をいじくり回した。

潜入任務の準備という名目の、大規模な着せ替え大会だ。

「……おい、この服、露出が多くないか?」

俺が抗議したのは、レグルが差し出した衣装についてだ。

それは、貴族の礼服というよりは、踊り子のような意匠が凝らされた際どい服だった。

シルクのシャツは胸元が大きく開き、鎖骨から腹筋のラインまでが透けて見える。ズボンは体のラインにぴったりとフィットし、太腿にはなぜかガーターベルトのような装飾がついている。

「何を仰います。これが王都の闇社交界における最新のトレンドです。『守ってあげたい儚さ』と『加虐心を煽るエロス』の融合。これこそが、カミーラ夫人の好みなのです」

レグルは真顔で力説する。絶対に自分の趣味も入っている。

「それに、クロノス様の筋肉は実戦的で細身ですから、この服を着れば『華奢な美少年』にしか見えません。完璧な擬態カモフラージュです」

「……羞恥心で死にそうだ」

「我慢してください。これも任務のためです。……さあ、仕上げにこれを」

ノクトが首輪――いや、チョーカーを俺の首に巻いた。

黒革に銀の鎖がついたそれは、どう見ても「隷属」の証だ。

「……似合う」

ノクトがボソリと呟き、頬を染めた。

リゼが「わぁぁ……王子様みたいです……いや、お姫様?」と目を回し、ヴネナンが「食べちゃいたい」と舌なめずりをする。

鏡を見る。

そこに映っていたのは、いつもの俺ではなかった。

化粧で血色を良くし、髪を少しウェーブさせ、妖艶な衣装に身を包んだ、見知らぬ美少年。

どこか退廃的で、それでいて触れれば壊れてしまいそうな危うさを纏っている。

……確かに、これなら騙せるかもしれない。

「完璧です……!」

レグルが感極まったように声を震わせた。

「この世の全ての美を凝縮したかのような……! ああ、カミーラごときに見せるのが勿体ない! いっそ私が買い取りたい!」

「落ち着け。あくまで潜入用だ」

俺はため息をつき、気持ちを切り替えた。

ここからは演技だ。

最強の暗殺者としての気配を完全に消し、無力で、怯える、可哀想な獲物を演じきる。

「……行くぞ。ノクト、準備はいいか?」

「はい。いつでも」

ノクトもまた、地味なメイド服に変装し、俺の斜め後ろに控えた。

彼女の役目は、俺を連れてきた世話係だ。

俺たちは用意された馬車(目立たないように装飾を外した黒塗りの馬車)に乗り込み、王都の闇夜へと消えていった。

向かう先は、カミーラ・ブラッドリー伯爵邸。

欲望と狂気が支配する、魔女の館だ。

王都の高級住宅街の一角。

高い塀に囲まれた広大な屋敷の前に、次々と馬車が到着していた。

降りてくるのは、煌びやかなドレスに身を包んだ貴婦人たち。

彼女たちは一様に扇子で口元を隠し、上品に笑い合っているが、その目は獲物を探す肉食獣のようにギラついている。

そして、彼女たちの傍らには、必ずと言っていいほど、美しい少年や青年が連れられていた。

ある者は首輪をつけられ、ある者は虚ろな目で、ある者は媚びるような笑みを浮かべて。

「……趣味が悪いな」

馬車の窓からその光景を眺め、俺は吐き捨てるように呟いた。

ここは人間を「物」として扱う市場だ。

吐き気がするほどの魔素の淀みを感じる。

「クロノス様、到着しました。……ここからは、『クロ』とお呼びします」

「ああ、頼む。……手綱をしっかり握ってろよ、ご主人様?」

「……善処する」

ノクトが少しだけ嬉しそうに俺の首輪に繋がれた鎖を握った。役得だと思っていそうだ。

馬車を降り、エントランスへ向かう。

門番の屈強な女騎士たちが、鋭い視線でこちらをチェックする。

「招待状を拝見します。……ふむ、レグル商会の使いか。そちらが『商品』?」

女騎士の視線が俺に向けられる。

俺はビクッと肩を震わせ、ノクトの背中に隠れる演技をした。

上目遣いで、怯えたように周囲を見回す。

「……ひっ……」

「あら、可愛いこと。随分と初々しいわね」

女騎士が下卑た笑みを浮かべ、俺の顎を指でしゃくり上げた。

「顔立ちは一級品。肌も綺麗。……ねえ、中に入る前に、お姉さんが味見してあげようか?」

「や、やめて……!」

「商品はカミーラ様への献上品。傷をつければ、貴方の首が飛ぶ」

ノクトが冷淡に告げ、女騎士の手を払いのけた。

その双眸に宿る殺気に、女騎士がたじろぐ。

「ちッ、冗談だよ。……通れ」

門が開く。

俺たちは、その奥に広がる巨大なホールへと足を踏み入れた。

シャンデリアの眩い光。むせ返るような香水の匂い。

ホールの中は、数百人の貴族たちで溢れかえっていた。

誰もがグラスを片手に談笑しているが、その話題は異様だ。

「ねえ見て、あの子。足の筋肉のつき方が素敵じゃない?」

「あら、私はあっちの金髪の子がいいわ。泣き顔が可愛くてよ」

「昨夜買った子は弱くてねぇ、三日で壊れちゃったの。もっと丈夫な玩具おもちゃが欲しいわ」

彼女たちは、男性を完全に「消耗品」として語っている。

俺が歩くと、四方八方から視線が突き刺さる。

値踏みする視線。

所有欲に塗れた視線。

まるで、精肉店に並んだ肉を見るような目だ。

(……冷静になれ。今はただの獲物だ)

俺は恐怖に震える演技を続けながら、視線を巡らせた。

ホールの構造、警備員の配置、魔力結界の発生源。

すべてを脳内にインプットし、最適な脱出ルートと、制圧プランを構築していく。


その時。

ホールの上階、螺旋階段の上に、一人の女性が現れた。

会場の空気が一変する。

雑音が消え、全ての視線が彼女に注がれる。

真紅のドレス。血のように赤い唇。

扇子を優雅に揺らし、傲慢の限りを尽くした笑みを浮かべる美女。

この夜会の支配者。

「ようこそ、私の可愛い子猫ちゃんたち。今宵も、狂気と快楽の宴を始めましょうか」

カミーラ・ブラッドリー伯爵夫人。

ターゲット確認。

カミーラが階段を降りてくると、貴族たちは海が割れるように道を開けた。

彼女は女王のように歩き、気に入った「商品」を見つけては、値踏みするように触れていく。

「あら、この子は少し痩せすぎね。スープにしてあげなさい」

「こっちは目が死んでいるわ。つまらない。処分して」

彼女の一言で、連れられてきた青年たちが衛兵に引きずられていく。

その先にあるのは、おそらく地獄だ。

俺のはらわたが煮えくり返る。今すぐこの場で首を跳ねてやりたい衝動を、必死に抑え込む。

まだだ。人質の場所を特定し、確実に追い詰めなければならない。

カミーラの足音が近づいてくる。

彼女は気まぐれに歩いているようで、獲物を見つける嗅覚は鋭いようだ。

やがて、彼女は俺の前で足を止めた。

「……あら?」

カミーラが俺を覗き込む。

至近距離で見る彼女の瞳は、濁った欲望で満ちていた。

「まあ……なんて愛らしいのかしら」

彼女の冷たい手が、俺の頬に触れる。

俺は反射的に身を竦め、涙目で彼女を見返した。

「……あ、あの……」

「声も素敵。鈴を転がすようね。……名前は?」

「……ク、クロ……です……」

「クロ。いい名前ね。黒髪が夜空のように綺麗だわ」

カミーラは俺の髪を指で梳き、首輪の鎖をノクトから奪い取った。

「この子は私が頂くわ。いくら?」

「……非売品です。カミーラ様への、特別な献上品としてお持ちしました」

ノクトが(腸が煮えくり返るのを我慢して)恭しく頭を下げる。

「献上品? まあ、気が利くこと。……そうね、この子は特別よ。他の有象無象とは輝きが違うわ」

カミーラは俺の鎖を引き寄せ、顔を近づけた。

甘い香水の奥に、鉄錆のような血の臭いが混じっているのが分かった。

「ねえ、クロ。私の部屋に来なさい。もっとよく……貴方の『中身』まで見せてちょうだい?」

来た。

VIPルームへの招待。

つまり、処刑場への片道切符だ。

「……は、はい……」

俺は震えながら頷いた。

カミーラは満足げに微笑み、俺の手を引いて歩き出す。

周囲からは、羨望と嫉妬、そして「あの子はもう終わりだ」という哀れみの視線が送られる。

俺は背後のノクトに、ハンドサインを送った。

準備スタンバイ』。

ノクトが小さく頷くのが気配で分かった。

俺はカミーラに引かれ、屋敷の奥へと進んでいく。

長い廊下。壁には美しい少年の肖像画がずらりと並んでいる。いや、よく見ればそれは絵画ではなく、特殊な魔法で平面化された「実物」だった。

ここにある全てが、彼女の狂気を物語っている。

「さあ、入りなさい。ここが私のコレクションルームよ」

重厚な扉が開かれる。

中は薄暗く、怪しげな薬品の臭いが充満していた。

壁には様々な拷問器具。ガラスケースの中には、美しい義眼や、切り取られた手足が宝石のように飾られている。

そして、部屋の中央には、天蓋付きのベッドと、拘束用の椅子。

「素敵でしょう? ここは永遠の美が保存される場所なの」

カミーラはうっとりとした表情で両手を広げた。

そして、扉に鍵をかけ、俺に向き直る。

「さて、クロ。……まずは、その服を脱ぎなさい」

彼女はソファーに座り、足を組んだ。

手にはワイングラス。その中身は、赤ワインなのか、それとも血なのか。

「……恥ずかしい、です……」

「恥じらう姿も可愛いわ。でも、私は気の短いちなの。……脱がないなら、切り刻んで剥ぎ取るわよ?」

彼女が指を鳴らすと、部屋の影から数人の護衛が現れた。

全身を黒装束で包んだ暗殺者たちだ。気配を消していたのか。

なるほど、無防備に見えて、しっかりと身を守っているわけだ。

(状況確認。敵、護衛四名、カミーラ一名。結界強度、高。……問題なし)

俺の脳内で、冷徹な計算が弾き出される。

俺は震える手で、シャツのボタンに手をかけた。

ゆっくりと、一つずつ外していく。

カミーラはその様子を、舌なめずりをしながら見つめている。

「そう、いい子ね。……貴方はどんな悲鳴を上げてくれるのかしら。どんな風に壊れてくれるのかしら」

彼女の妄想は膨らむ。

だが、残念ながら、その未来は訪れない。

俺は最後のボタンを外し、シャツをはだけさせた。

露わになったのは、華奢な少年の肌。

だが、カミーラの視線が釘付けになったのは、そこではなかった。

俺の胸元に刻まれた、漆黒の刻印。

ナイトレイ家の当主のみが受け継ぐ、暗殺者の証。

「……あら? その傷、何かしら?」

「……ああ、これですか?」

俺は顔を上げた。

もはや、怯えた演技は必要ない。

涙目は消え、唇には冷ややかな笑みが浮かんでいる。

「これは、貴女への『死刑宣告書』ですよ。カミーラ夫人」

「……は?」

カミーラが理解できずに固まる。

俺は一歩、前に出た。

その瞬間、部屋の空気が変わった。

獲物が捕食者に変わる、決定的な瞬間。

「さて、ゲームを始めましょうか。……選択肢を与えます」

俺は右手を軽く掲げた。

そこには、いつの間にか一本のナイフが握られていた。

「1.今すぐ罪を認め、人質を解放して裁きを受ける」

「2.抵抗して、無様に命乞いをしながら死ぬ」

俺はカミーラの瞳を真っ直ぐに見据え、告げた。

「……選べ。時間は3秒だ」


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