50話
ストック切れました!
更新頻度すこし落ちます(ᴗ_ ᴗ。)
木曜の放課後。
なんとなく落ち着かなかった。
昨日のうちに部屋の片付けは済ませたが、果たして二人の視線に耐えられるのか自信はない。
昇降口で咲と合流し、そのまま七海と駅前で待ち合わせ。
途中のコンビニで飲み物やお菓子を買い込み、三人は俺の家に向かった。
「……ほんとに呼んでよかったの?」
咲は俺の横で歩きながら、時折こちらを見上げてくる。
制服のスカートを少し押さえつつ、わずかに歩幅を小さくしているあたり、やっぱり緊張してるのが伝わる。
「もうここまで来ちゃったんだし、今さら断れないでしょ」
七海はその様子を面白がるように後ろからニヤニヤしていた。
「咲って意外とチキンなんだな~。ほら、智也の部屋なんて、散らかってたらスクショ撮って配信に使おうぜ」
「やめろ」
心臓に悪い冗談をさらっと言う。
マンションの階段を上がり、玄関の鍵を開ける。
扉を開けると、二人は同時に「おじゃまします」と声をそろえた。
二人を伴って自室へと案内する。
「……あれ、思ったより片付いてるじゃん。もっとこう、カップラーメンの墓場とかあると思ったのに」
「失礼すぎるだろ」
咲もおそるおそる上がり込み、俺の自室を見回す。
「……あ、きれい。ちゃんと片付けたんだね」
ふっと柔らかく笑うけど、視線はちらちらとあちこち動く。
「見すぎだって」
「え、だって気になるじゃん。……あ、これってもしかして智也くんの中学の卒アル?」
「触るな」
思わず取り上げる俺を見て、七海が隠すなよと笑う。
「わぁ……」
咲は小さくと声を漏らし、七海はふーんと腕を組む。
「もっとこう、壁一面ポスターとか、フィギュア棚とかあると思ったのに」
「俺をなんだと思ってる」
机の上には配信用の機材が一式セットしてある。
カメラ、マイク、照明。全部位置をざっくり決めてあるが、微調整はまだだ。
「じゃ、まずはカメラの角度だな」
七海が当然のように椅子を回し、勝手にパソコンを立ち上げる。
「ほら、座ってみろ。顔が半分しか映ってないとかダサいから」
言われるまま椅子に座ると、七海がカメラを上下左右にぐいぐい動かす。
「はい、もうちょい右。……あ、これだと背景にこのぬいぐるみ映るな」
「それは映すな!」
「なんで? かわいいじゃん」
「ちげーよ!」
咲が笑いながら、ぬいぐるみを抱き上げる。
「これ……意外とふわふわ。智也くん、抱きしめて寝てる?」
「やめろって!」
笑いが一段落したところで、自然に作業を手伝ってくれるその姿に少し肩の力が抜けた。
次はマイクのテスト。
「ちょっと歌ってみて
」
七海がヘッドホンをかけて音量を調整しながら言う。
「……今? まだ声出してないんだけど」
「いいから。ほら、十八番のやつ」
仕方なくワンフレーズ歌うと、七海が手を叩く。
「ちゃんと声出てんじゃん。けどもうちょい距離詰めてもいいな」
ぐいっとマイクスタンドを引き寄せられ、鼻先がマイクに触れそうになる。
「近すぎだろ!」
「距離感大事なんだって」
咲はモニター越しに俺の映りを確認し、「表情、ちょっと固いかも」とアドバイスをくれる。
「笑顔ってわけじゃなくてもいいけど、あんまり怖い顔だとリスナーさんびっくりしちゃうかも」
「怖い顔って……」
そうやって試行錯誤しているうちに、気づけば一時間以上が経っていた。
機材の位置も決まり、音声もクリアになった。
「当日はリラックスして歌えそうだね」
片付けをしながら、俺は二人に礼を言った。
恥ずかしさや緊張はまだ完全には消えてない。
それでも。
少なくとも一人じゃない、そう思えることが妙に心強かった。
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