4話 探索
「すいません、部屋の利用がしたいんですが」
剣を作ってからしばらく時間がたち、私はまだ錬金術ギルドの中にいた。
短剣を入れる鞘を作っていなかったので、短剣の持ち歩きが危険だと気づいたのだ。
ウエストポーチに入れようかとも思ったが、穴が空くのも困るので結局鞘を作ることにした。
そんな私を見たミルさんは少し笑みを浮かべながら部屋の利用手続きをしてくれた。
「海月さんが錬金術を好きになってくれたようで嬉しいです。頑張ってくださいね」
確かに錬金術は面白いが、今の理由とは違うのでほんの少し心苦しい。
「はい、ありがとうございます!」
もちろんそれを口に出しはしないけど。
部屋の鍵を渡された私は鍵をポーチに入れて、素材売場へと向かった。
「あ、次からは先に材料を買ってから部屋の利用許可を取った方がいいね」
そう呟きながら、素材売場で鞘に使えそうな素材を捜していく。
しばらく売場を歩き回り、私は鞘に使う材料を決めた。
ビッグラットの革とフォレストワームの糸、そして凹凸を組み合わせて止めるタイプのボタンだ。
材料を買いそろえた私は部屋に行き、作業を始める。
最初に革を短剣に合わせて線を引き、ハサミを使って革を切る。
同じ大きさの革をもう一枚切り取ると、それで短剣を挟みまち針で固定して短剣を外し、縫い合わせていく。
強度を確保するために三回縫い、短剣を入れて問題がないことを確認する。
次に剣の鍔を抑えられるような長さのリボン状に革を切り、片方の先は鞘につけ、もう片方には凸ボタンをつける。
最後に凹ボタンを鞘につけて、鞘が完成した。
「結構いい出来じゃないかな?それじゃあ鍋に入れ...る前に鑑定してみますか」
錬金術によってどんな変化があるのかを知りたくなった私は、錬金術をする前に鑑定をしてみることにした。
「さて、どうかな?」
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ビッグラットの鞘
装備可能レベル:1以上
耐久力:100/100
ビッグラットの革を使って作られた鞘。
丁寧に作られている。
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ふむふむ、丁寧に作られているってなかなか嬉しいね。
それじゃあ錬金してみますか。
錬金前の情報を確認した後、作った鞘を鍋に入れる。
すると液体が革と同じこげ茶色に染まったので、なんとなく中火で煮込んでいく。
今更だけど、アイテム一つだけで錬金って一体どうゆうことなんだろうね?
この鍋の効果なのかな?
まあ、今考えてもわからないし、あの水晶みたいな鑑定アイテムを作れたら鍋を鑑定してみますか。
水晶は机の上に固定されていて鍋は鑑定できなかったので、鑑定アイテムが作れたら鍋を鑑定してみようと心に決める。
そうしているうちに鍋から鞘が浮かび上がってきた。
さて、鑑定はどう変わるかな?
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ビッグラットの鞘
装備可能レベル:1以上
耐久力:110/110
強固(小)
ビッグラットの革を使って作られた鞘。
丁寧に作られているため、耐久性が高くなっている。
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強固がついてるね。
それと、耐久力が10上がってる。
フレーバーテキストの変化からすると、単体で錬金すると効果を引き出すみたいな感じなのかな?
何にせよ短剣が持ち運べるようになったわけだし、今度こそ町の外に行ってみますか!
◆◆◆◆◆
しばらく歩いて町の外の草原にたどり着いた私は視界に広がる光景を呆然と眺めていた。
リリースされたばかりのゲームなので当たり前ではあるのだが、草原は沢山の人で溢れ、どこからともなく現れるモンスターを奪い合っていた。
「流石にここに混ざる勇気はないけど、もうお金がないから何とかしてお金は稼がないといけないし.....少し怖いけど違うフィールドを目指しますか」
そう呟き私はちらりと見えた池を目指し、歩き始めた。
最初のうちはぶつからないように歩くのが大変だったが、池に近づくにつれ人は減っていき、池だと思っていた場所が濁った沼地だとわかるようになるころにはほとんど人がいなくなっていた。
「沼かぁ.....まあ、あの争いに加わるよりはましでしょ」
少し沼に入ることに躊躇するが、決意を決めて足を踏み入れる。
水深は膝より低い程度のものだが、かなり歩きにくいし、気持ち悪い。
それでも、一度入ったのだからとさらに沼の奥へと進んでいく。
「あ、睡蓮だ。何かに使えるかもしれないし採りますか」
少しして池に睡蓮が咲いているのを見つけたので、短剣で茎の中程から切り取る。
短剣の切れ味はなかなかのもので、抵抗を感じずに切ることができた。
「よし、採れた.....けどどうやって運べばいいかな?」
睡蓮を持つと片手が塞がってしまうが、ポーチに入れられるような大きさでもない。
しばらく考え、ポーチのベルトと腰の間に茎の部分を挟んで持つことにした。
動きにくいが、片手が塞がるよりはましだろう。
「.....これはアイテムボックスを早く作るか買うかしたいね」
そう言ってはみるが、アイテムボックスはかなり高そうな気がするし、材料は検討もつかない。
しばらくは大きめの鞄を背負うのがいいだろうか?
そんなことを考えながら沼を彷徨っていると、沼の中に動く物体が見えた。
「あれはモンスターだよね?それじゃあ初戦闘といきますか!」




