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5話 初戦闘?

私は沼の中で蠢く何かに駆け寄ると、短剣を振り下ろす。

近づいてそれがスライムだということがわかった数瞬後スライムに短剣が突き刺さり、弾けた。

そして、その小さな体からは想像出来ない程の量の泥水を周囲に放出して消える。


「うう.....なんか臭い.....」


その泥水はスライムの体内にあったからか沼の水よりも臭かった。

正面から泥水を被ってしまった私は顔を拭いながら呟く。


「これは人が少ない訳だよ.....アイテムも手に入らないし、経験値が手に入ってるかすらわからないし、臭いし」


今更だが、このゲームは自分のステータスすらアイテム無しでは確認することが出来ないようで、未だに自分のステータスを見たことがない。

だが、その時の私はそんなことが気にならない程、ある考えに思考を支配されていた。


「それにしてもどこからあんな量の水が?.....もしかすると?」


その考えを確かめるために、私はスライムを探しはじめる。


「あ、いた!今度は割れないように.....」


しばらくしてスライムを見つけると、スライムを潰さないように手で掴みゆっくりと力を入れる。

するとスライムの体からじわじわと泥水が染み出てきた。


「よし、いけ.....あっ」


それを見て自分の考えが実行できそうなことに喜んだ私は力を入れすぎてしまい、また泥水を体中に浴びてしまった。


「.....次いきますか」


それから1時間ほど、スライムを探しては握り潰しを繰り返し続け、ついにその時がきた。


「ようやく終わったぁ.....」


数十匹のスライムを握り潰してきた私の手には、1匹のスライムの死体が握られていた。

その死体は中に液体があった時とは違い、綺麗な水色になっていた。


「ちょっと水分が残ってるけど、そのうち乾くと信じて...帰りますか」


スライムの死体をポーチに入れた私は、町へと歩きはじめる。

町へ着く頃にはいつの間にか泥水は消えていた。

こうゆう所がゲーム仕様なのはありがたい。


「すいません、部屋を借りに来ました」


町に戻った私はもちろん錬金術ギルドへと向かい、ミルさんに話しかける。

それにしても、ここに来るまですごい人に見られた気がするんだけどなんでかな?


「熱心なのはいいことですが、倒れないように気を付けて下さいね」


ミルさんが少し驚いたような顔をして言う。


「はい、心配してくれてありがとうございます。気を付けます!」


ミルさんに注意もされちゃったし、今日はこれを作ったら終わりにしますか。

それにしても、なんで驚いてたのかな?

泥水は消えてるし、私が来る回数が多いから?

まあ、なんでもいっか。

部屋へ向かいながらそう考える。

今回は手持ちの材料だけで作る予定なので、先に素材売場に行くことはしなかった。

部屋につくと、今回は無駄に加工しても悪い影響を与える予感しかしなかったので、加工はせずに材料をそのまま鍋に入れることにする。


「とりあえずこのウエストポーチと、スライムの死体.....だけじゃだめみたいだね」


これだけで何とかならないかと期待していたが、現実は甘くなかったので使えそうな材料を手に入れた素材の中から選ぶ。

ちなみに手に入れた素材だけを使う理由は、同じ場所で採れた素材なので相性がいいかもしれないと思ったからだ。


「さて、採れた素材はスライムの体から出てきた石と枝だけど......あ、睡蓮もあったね。さっきミルさんが驚いてたのはこれかな?」


私は自分の腰に刺した睡蓮を見て、これは人目を引くだろうと気づく。


「せっかくだからこれ使ってみようかな」


私はそう言って石と睡蓮を選ぶ。

理由は石がスライムから出てきたものでスライムの死体と相性が良さそうだから、睡蓮はこのままだと目立つので早めに使ってしまいたかったからだ。

上手くいかなくても、反応しなければ取り出せばいいだけなので気軽に挑戦できる。


「さて、どうかな?」


鍋に石と睡蓮を入れると、液体が睡蓮とスライムの色が混ざったような透明感がある薄水色に染まる。

今回は睡蓮が入っているので何となく弱火にして鍋をかき混ぜていく。

しばらくかき混ぜていると、徐々に液体が粘性を帯びてきた。


「うう......重い......」


いつもは何も反応がないので特殊なアイテムができるのではないかと期待が高まる。


「というか液体がかたまりかけてきてるんだけど、これは不味いよね?火力上げないと!」


さらに混ぜていると、液体がかたまりかけていたので、火力を上げる。

しかし、火力を最大まで上げてもかたまっていく速度こそ落ちたものの、完全に止めることが出来ない。


「まだ火力が必要みたいだね.....それならっ!」


私は素材売場に向かうと、残ったお金を使って木と 火力アップにおすすめ! と書かれていた火の魔石を買う。

急いで部屋に戻り、鍋が置かれている竈のようなものに木と火の魔石を投入する。

すると、ボンッという音と共に、離れていても熱気が感じられる程に火が燃え盛りはじめる。


「おお〜すごい火力.....じゃなくてかきまぜないと!」


私は熱気に耐えながら鍋を混ぜ続ける。

火力が落ち始め再び液体が固くなってきたので、これは失敗かと思い始めたころ、ついにアイテムが鍋から浮かび上がってきた。

気力と財産を使い果たして出来たそのアイテムは睡蓮の刺繍がついた薄水色のポーチだった。


「で、出来たぁ.....それじゃあ鑑定してみますか」


________________________

睡蓮のウエストポーチ ☆


装備可能レベル:1以上

耐久力:500/500


空間拡張(小)

自動修復(小)


睡蓮の力が宿ったウエストポーチ。

見た目よりも多くのものを入れることができ、多少の

傷は自動で修復される。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「おお〜!見た目もいいし、性能も良さそう!全財産をかけた甲斐があったね!」


私はそう言ってウエストポーチを身につけしばらく鑑賞した後、受付のミルさんに部屋の鍵を返し錬金術ギルドから出る。

そのまま宿の自分の部屋へと向かい、ベットへと倒れ込む。


「それじゃあ、今日はこれぐらいで.....ログアウト」


こうして、私の初日は終わったのだった。

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