第30章 言えなかった言葉の隙間に輝く星々
未来を思い描くことの厄介なところは、その未来が、こちらの思いどおりになるとは限らないことだった。
高橋陽翔は、この一週間でその事実を嫌というほど学んでいた。
借りられなかったアパート。
ますます複雑になっていく金銭関係の書類。
そして、電子申請フォームがいかに利用しづらくなり得るか、そのあらゆる可能性を実演しようとしているかのようなソフトウェア。
月曜日の朝までに、陽翔は一つの仮説にたどり着いていた。
どうやら、この宇宙は無能な事務部門によって管理されているらしい。
それ以外に合理的な説明が思いつかなかった。
残念ながら、宇宙は苦情の送付先を公開していなかった。
そのため、陽翔は別の相手に不満をぶつけるしかなかった。
「機械というものは、最近ずいぶん傲慢になった」
パソコンを見つめながら、彼は宣言した。
星野里奈は、後の介助に必要な用品を整理していた小さなテーブルから顔を上げた。
「そうなんですか?」
「非常にね」
彼女は微笑んだ。
「今度は何をしたんです?」
陽翔は大げさに嫌悪感を浮かべながら画面を見た。
「僕が考えるのに使っていい時間を、勝手に決められると思っているらしい」
里奈は机に近づいた。
画面には、ミライ・インターフェース・ソリューションズから追加の有償テストを依頼されている公共情報サービスが表示されていた。
三度目の契約に追加されたテスト業務の一部だった。
改訂されたフォームは、以前のものとほとんど変わらないように見えた。
すっきりしている。
現代的だ。
見た目も美しい。
配色は落ち着いており、説明文は簡潔だった。
開発者たちは、ボタンがいかにも信頼できそうに見えるよう、相当な時間を費やしたらしい。
しかし陽翔は、見た目の美しいボタンが必ずしも誠実とは限らないことを学んでいた。
彼はすでに一時間近く、以前の報告書に記載した自分用の入力設定を使って、最新の変更点を検証していた。
確かに改善はあった。
サービスの種類を選択した後に表示される入力欄へ、以前よりアクセスしやすくなっていた。
フォーカスの移動順序も予測しやすくなっていた。
必須情報が不足している場合のエラー表示も、以前よりわかりやすかった。
それらは重要な改善だった。
陽翔は一つ一つ丁寧に記録していた。
しかし――
アプリケーションには、新たな問題が生まれていた。
時間制限だ。
しかも、残り時間が画面に表示されるわけではない。
表示されていれば、まだ親切だっただろう。
実際には、一定の時間が経過するまで普通に入力を続けさせておき、突然セッションの有効期限が切れたと告げてくるのだ。
最初に起きたとき、陽翔は自分が何か間違えたのだと思った。
二度目には、疑い始めた。
三度目には、ソフトウェアが自分に個人的な恨みでも抱いているのではないかと考え始めていた。
「見てて」
彼は里奈に言った。
サービスの種類を選び、新しく表示された操作項目へと進んでいく。
以前より、画面は安定して反応した。
陽翔は微笑んだ。
「ほら。ここはよくなってる」
里奈はうなずいた。
「いいですね」
「うん」
彼は少し間を置いた。
「残念ながら、ここからがウェブサイトに『お前は時間をかけすぎだ』と判断される部分なんだ」
彼は入力を続けた。
自分に合わせて調整された入力方法では、一般的なキーボードとマウスを使う場合よりも時間がかかる。
一つ一つの操作に、意識的な制御が必要だった。
項目を選択する。
結果を確認する。
フォーカスを移動する。
情報を読み直す。
時には入力を修正する。
時間がかかるからといって、フォームの内容を理解していないわけではない。
それは単に、彼がその画面を操作する方法だった。
数分後、画面が切り替わった。
メッセージが表示された。
セッションの有効期限が切れました。最初からやり直してください。
陽翔は画面を凝視した。
里奈も画面を見た。
「あ……」
陽翔は厳かにうなずいた。
「まさに」
彼女は少し考えた。
「入力した内容は保存されていますか?」
陽翔は確認した。
フォームは最初の状態に戻っていた。
それまで入力した情報は消えていた。
彼はため息をついた。
「どうやら、されていないらしい」
里奈は眉をひそめた。
「それは困りますね」
「困る?」
陽翔は彼女を見た。
「親愛なる里奈さん。これは宣戦布告だよ」
彼女は笑った。
陽翔も微笑んだ。
それから、再び画面に視線を戻した。
冗談を言ってはいたが、彼は本当に問題だと感じていた。
以前は、操作項目そのものにたどり着くことが難しかった。
今は操作しやすくなった代わりに、制限時間のせいで作業を完了できなくなっている。
ある部分の改善によって、別の障壁が明らかになったのだ。
陽翔はテスト記録を開いた。
使用した設定を記録する。
セッションが終了したおおよその操作段階を書き留める。
そして、同じ条件で再度テストする準備を始めた。
里奈はしばらく彼を見ていた。
「もう一度やるんですか?」
陽翔はうなずいた。
「うん」
それから時計を見た。
「休憩の後でね」
彼女は微笑んだ。
「いい判断です」
陽翔はため息をついた。
「責任感というものは、どうしてこうも僕の劇的な野望を邪魔するんだろう」
◇ ◇ ◇
ミライで最初の有償テストを終えて以来、陽翔は仕事の進め方について以前より慎重になっていた。
予定を守るのが好きになったからではない。
彼は予定表というものを、妙に安い寿司と同じくらい疑わしいものだと思っていた。
しかし、仕事に夢中になりすぎると、疲労を無視してしまうことがあると学んでいた。
彼の身体には、一日を通して介助が必要だった。
面白い仕事があるからといって、日常のケアを後回しにするわけにはいかなかった。
また、集中して長時間パソコンを操作すると、特に難しい画面で何度も操作を繰り返す場合には、ひどく疲れてしまうことがあった。
改訂された契約では、作業を短い時間に分けて行うことが認められていた。
陽翔は、その柔軟性をきちんと活用するつもりだった。
里奈に予定された介助をしてもらい、姿勢も整えてもらった後、彼はしっかり休憩を取った。
庭に目を向ける。
明るい春の空の下、木々が穏やかに揺れていた。
ふと、失ったアパートのことを思い出した。
公園が見える窓。
その隣に置くはずだった机。
頭の中にしか存在しないソファ。
失望は、今でも予期せず顔を出すことがあった。
仕事中に。
夕食のときに。
インターネットでアパートの広告を見かけたときに。
まだ手に入れていなかった可能性を失うことが、実際に何かを失うことと不思議なほど似ている場合があるのだと、彼は理解し始めていた。
もちろん、その二つは同じではない。
けれど、彼はすでにその可能性のために、自分の人生の中に場所を作っていたのだ。
陽翔はため息をついた。
それから、母の写真をちらりと見た。
モニターの隣で、美咲が微笑んでいた。
「まあ、少なくとも仕事はあるからね」
彼は少し考えた。
「……臨時の仕事だけど」
そして微笑んだ。
「調子に乗るのはやめておこう」
◇ ◇ ◇
休憩を終えると、陽翔は仕事に戻った。
今度は、時間切れの問題をもっと体系的に調べることにした。
フォームへの入力を始めてから、セッションが終了するまでのおおよその時間を記録した。
終了前に警告が表示されるか確認した。
利用時間を延長する選択肢があるか調べた。
そして、それまで入力した情報がどうなるのかも記録した。
一度きりの原因不明の不具合ではなく、再現性のある動作なのかを確認するため、慎重にテストを繰り返した。
結果は、あまりよいものではなかった。
少なくとも彼が使用した設定では、確実に利用できる延長警告は確認できなかった。
そして、セッションが終了すると入力内容は失われた。
陽翔は記録を見つめた。
それからうなずいた。
「……よし」
彼は報告書を書き始めた。
怒りに任せた手紙ではない。
技術が障害者を嫌っているという演説でもない。
専門的な報告書だ。
テスト環境。
操作手順。
確認された動作。
作業の完了に与える影響。
そして、自分の検証結果から言えることの限界。
すべての支援技術利用者が同じ問題に遭遇すると主張することはできなかった。
すべての設定を試したわけではないからだ。
しかし、記録した条件下では、この時間制限によって、彼が自力でサービスの申請を完了することが妨げられていると示すことはできた。
さらなる調査を求めるには、それで十分だった。
そして――
宇宙の無能な事務部門に、その方針を考え直させるにも十分だろう。
少なくとも、陽翔はそう思いたかった。




