表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
58/95

第58話「Highlanders」

時事ネタ?社会風刺?いずれにしろ、この作品はフィクションであり、実在の企業・団体・個人とは一切関係ありません。キリッ


2026年8月中旬。東京・本郷。


東京大学工学部のベンチャー施設。


橘慎一郎と牧野俊介が受付を通った。


案内されたのは会議室だった。


白板にヒューマノイドロボットの設計図が貼られていた。


東大ベンチャーの代表、西村洋介が待っていた。四十代の痩せた男だった。


隣に三菱自動車の取締役、田所誠が座っていた。五十代の慎重そうな男だった。


西村代表が口を開いた。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」


牧野が答えた。


「Highlandersプロジェクトへの投資の件です」


西村代表の表情が少し変わった。


「Highlandersは——」


「ヒューマノイド型AIロボットの開発プロジェクトですね」牧野は続けた。「東大と三菱自動車の協業で進めていると聞いています」


「そうですが——」西村代表は少し間を置いた。「投資元はどちらですか」


「FEPA——Far East Paramilitary Allianceです」


西村代表が止まった。


「PMCですか」


「そうです」


西村代表が橘を見た。


「防衛装備への転用を前提にした投資ですか?」


橘が口を開いた。


「違います」


「では?」


「汎用からです」橘は静かに言った。「建設、介護、荷役——その順番で優先します」


「それだけですか?」


「防衛装備への転用については——」橘は続けた。「我々が後から勝手に利用します。東大の皆さんは関与しなくていい」


西村代表がしばらく橘を見た。


「——その言い方は」


「正直に言っています」橘は静かに言った。「東大に防衛協力を求めているのではありません。汎用ロボットを作ってください。それだけです」


西村代表が田所取締役を見た。


田所取締役が静かに頷いた。


西村代表が深く息を吸った。


「——分かりました。投資条件を聞かせてください」


牧野が田所取締役に向き直った。


「田所さん、三菱自動車の製造ラインについて確認させてください」


「はい」


「3ヶ月以内に最初のライン設計、6ヶ月後にライン稼働——できますか?」



田所取締役が少し考えた。


「設備投資が必要です。現状の追浜工場のラインを転用するとしても——」


「投資額はいくら必要ですか?」


「最低でも2000億円は——」


「3000億円、即金で入れます」牧野は静かに言った。


田所取締役が止まった。


「3000億——?」


「3ヶ月以内にライン設計、6ヶ月後に稼働——この条件を受けていただけるなら、即金です」


田所取締役がしばらく黙っていた。


「投資元はFEPAということですか?」


「そうです」


「FEPAがなぜ三菱自動車に——」


「PMCの業務において荷役・看護・雑務のニーズが非常に高い」牧野は続けた。「ジブチで現状でも1600人以上が活動しています。ヒューマノイドロボットを導入することで人員の有効活用ができます。PMCとして投資する理由があります」


田所取締役が資料を見た。


しばらく計算した。


「3000億円で6ヶ月——」田所取締役は呟いた。「できないことはない。ただし——」


「ただし?」


田所取締役が牧野を見た。


「この規模の投資となると、グループ内での調整が必要になります」


牧野が静かに言った。


「田所さん、一つお伝えしたいことがあります」


「なんでしょう?」


「この話を受けていただけるなら、水島老人に三菱自動車の世話人会への格上げをお願いします」


田所取締役が止まった。


「世話人会——主要10社の」


「そうです」


田所取締役がしばらく黙っていた。


「それは——三菱グループでの完全復活を意味します」


「そういうことです」牧野は静かに言った。「日産の筆頭株主は日本国政府ですからね」


田所取締役がしばらく牧野を見ていた。


「——検討します」


「1週間以内に返事をください」


西村代表が橘を見た。


「一つ聞かせてください」


「どうぞ」


「なぜFEPAが投資するのですか。日本政府が直接投資すれば——」


「それはできません」橘は静かに言った。「2社目ともなると、諸外国に日本政府が自動車産業に直接介入していると間違ったメッセージと読まれる恐れがある。FEPAの名義であれば——民間の投資です」


西村代表がしばらく橘を見ていた。


「——あなたは本当に怖い人ですね」


「よく言われます」





一週間後。東京・大手町。


FEPAの名義で設立された小さなオフィス。


調印式が行われた。


黒田PMC代表が秘書を一人連れて現れた。


スーツを着ていた。


普段の迷彩服とは全く違う姿だった。


「黒田さん、お疲れ様です」牧野が迎えた。


「似合わないだろう?」黒田PMC代表は静かに言った。


「いえ、お似合いです」


「嘘をつくなよ」


黒田PMC代表は会議室に入った。



西村代表と田所取締役が待っていた。


書類が並んでいた。


FEPA——東大ベンチャー間の投資契約書。


FEPA——三菱自動車間の製造委託契約書。


3000億円。


黒田PMC代表は書類を一通ずつ読んだ。


丁寧に読んだ。


「Highlanders」黒田PMC代表は英語で言った。「Good name.」


「Thank you」西村代表が答えた。


「We need it. Cargo handling, nursing, general duties——all of them」


「That's exactly what we designed it for」


黒田PMC代表がペンを取り、三者ともに署名を行う。




調印式閉幕後


黒田PMC代表は秘書に言った。


「橘に連絡を入れてくれ。終わったと」


東京・内閣官房。


橘はスマートフォンを見た。


「調印完了」


橘はスマートフォンをしまった。


城島が入ってきた。


「Highlanders、動いたか!」


「ああ、動いた」


「6ヶ月後に最初のラインが稼働する」


城島がしばらく橘を見た。


「以前俺が聞いた台詞を覚えているか」


「何の話だ」


「『AI・DXの裏投資って——Highlandersのことか』と聞いた。お前は答えなかった」


橘は窓の外を見た。


「そうだったか」


「最初からここまで設計してあったのか」


橘は少し間を置いた。


「設計というより——必要なものを必要な時に置いただけだ」


城島がため息をついた。


「怖いな、お前は」





【掲示板】2026年8月・ヒューマノイドロボットスレ


【速報】三菱自動車と東大ベンチャーがヒューマノイドロボットで提携!謎のPMCが3000億投資 Part1


1: 2026/08/XX(火) 20:11:22 ID:Xk7mNpQ3

三菱自動車と東大がヒューマノイドロボットで提携したぞ


2: 2026/08/XX(火) 20:12:44 ID:mR8vwZ09

謎のPMCが3000億投資って何だ


3: 2026/08/XX(火) 20:13:33 ID:Tb3nHsW1

FEPAって初めて聞いたな。Far East Paramilitary Alliance?


4: 2026/08/XX(火) 20:14:11 ID:nQ0vXc7R


>>3 パラミリタリーって準軍事組織だろ。なんで民間軍事会社がヒューマノイドロボットに投資するんだ


5: 2026/08/XX(火) 20:15:44 ID:zW4qRm5S

建設、介護、荷役が目的って言ってるな。普通の話じゃないのか


6: 2026/08/XX(火) 20:16:55 ID:pL2aKj8F

でもFEPAって何者だ。どこの国の組織だ


7: 2026/08/XX(火) 20:17:33 ID:Xk7mNpQ3

Far East——極東ってことは日本か?


8: 2026/08/XX(火) 20:18:44 ID:mR8vwZ09

でも日本の企業には見えない。外資か?


9: 2026/08/XX(火) 20:19:55 ID:Tb3nHsW1

三菱自動車が絡んでるって事は三菱グループか


10: 2026/08/XX(火) 20:20:33 ID:Toshi_k9

見えないとこで動いてる人間がいるんだよ


11: 2026/08/XX(火) 20:21:22 ID:nQ0vXc7R


>>10 またお前かw 今回は何だ


12: 2026/08/XX(火) 20:22:11 ID:zW4qRm5S

ニュースでFEPAの本拠地がジブチ共和国って出てたぞ


13: 2026/08/XX(火) 20:23:44 ID:pL2aKj8F


>>12 ジブチ?どこだそれ


14: 2026/08/XX(火) 20:24:55 ID:nQ0vXc7R


>>13 アフリカの角の小国だ。紅海の入り口にある


15: 2026/08/XX(火) 20:25:33 ID:Tb3nHsW1

なんでアフリカの小国に本拠地が……


16: 2026/08/XX(火) 20:26:22 ID:Toshi_k9

さあなw


17: 2026/08/XX(火) 20:27:11 ID:Xk7mNpQ3

Highlandersってプロジェクト名もかっこいいな


18: 2026/08/XX(火) 20:28:44 ID:mR8vwZ09

でもなんで民間軍事会社がヒューマノイドロボットを必要とするんだ


19: 2026/08/XX(火) 20:29:55 ID:Tb3nHsW1


>>18 荷役と介護って言ってたけど——戦闘用に使うんじゃないか


20: 2026/08/XX(火) 20:30:33 ID:nQ0vXc7R


>>19 東大が防衛に協力するのはおかしいけど、汎用ロボットなら文句言えないな


21: 2026/08/XX(火) 20:31:22 ID:zW4qRm5S

東大側も「汎用用途への投資」として受け入れたんだろ


22: 2026/08/XX(火) 20:32:11 ID:Toshi_k9

そういうことだ


23: 2026/08/XX(火) 20:33:44 ID:pL2aKj8F


>>22 お前、やっぱり何か知ってるだろw


24: 2026/08/XX(火) 20:34:55 ID:Toshi_k9

ただのおっさんだよw でも——見えないとこで動いてる人間がいる。Highlandersもその一つだ


25: 2026/08/XX(火) 20:35:33 ID:8vYnKp2A

工場から来ました。三菱自動車の追浜工場、急にラインが変わったって聞いた


26: 2026/08/XX(火) 20:36:22 ID:Xk7mNpQ3


>>25 また来たw ラインが変わったって何が作られるんだ


27: 2026/08/XX(火) 20.37:11 ID:8vYnKp2A


>26 分からん。でも今までと全然違う形の部品が出てきてる


28: 2026/08/XX(火) 20:38:44 ID:mR8vwZ09


>>27 ヒューマノイドロボットの部品じゃないか


29: 2026/08/XX(火) 20:39:55 ID:Tb3nHsW1


>>28 6ヶ月でライン稼働って記事にあったな


30: 2026/08/XX(火) 20:40:33 ID:Toshi_k9

早い。本当に早い


31: 2026/08/XX(火) 20.41:22 ID:nQ0vXc7R


>>30 お前が言うんだから本当なんだろうな


32: 2026/08/XX(火) 20:42:11 ID:zW4qRm5S

でも3000億って相当な規模だぞ。FEPAって資金力がある組織だな


33: 2026/08/XX(火) 20.43:44 ID:pL2aKj8F


>>32 どこから来てるんだその金


34: 2026/08/XX(火) 20.44:55 ID:Toshi_k9

それは教えられないw


35: 2026/08/XX(火) 20.45:33 ID:8vYnKp2A

親父に話したら「日本、ついにロボットも作るのか」って言ってた


36: 2026/08/XX(火) 20.46:22 ID:Xk7mNpQ3


>>35 親父さんの感覚、毎回正しいなw


37: 2026/08/XX(火) 20.47:11 ID:Toshi_k9

その親父さんに一票


38: 2026/08/XX(火) 20.48:44 ID:mR8vwZ09

日本、本気出してきたな


39: 2026/08/XX(火) 20.49:55 ID:Tb3nHsW1

09式、はやぶさ改、Highlanders——全部繋がってる気がする


40: 2026/08/XX(火) 20.50:33 ID:Toshi_k9

繋がってるよ。最初から全部繋がってた


41: 2026/08/XX(火) 20.51:22 ID:nQ0vXc7R


>>40 お前ほんとブレないなw


42: 2026/08/XX(火) 20.52:11 ID:Toshi_k9

うるさいw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ