第136話「決断」
時事ネタ?社会風刺?いずれにしろ、この作品はフィクションであり、実在の企業・団体・個人とは一切関係ありません。キリッ
2030年1月。
ワシントン。国家安全保障会議。
ダイアン・マーシュが資料を開いた。
「DDG(X)は4隻で停止されました。残り2隻の予算は議会が否決しました。理由は明快です。同じ予算で日本から買った方が早くて上質だ、という判断です」
ドランプは腕を組んだ。
「つまり米国の造船業は……」
「現時点では、DDG(X)クラスの艦艇を国内で建造する能力を失っています。JMUの技術と生産性に追いつくには、最低でも10年かかるという試算です」
沈黙が落ちた。
「日本は何を売ってくれる」
「追加の艦艇発注を受ける用意はあると聞いています。ただし——」
マーシュは資料のページをめくった。
「レールガンは含まれません。127mm砲仕様のみです」
「レールガンは絶対に渡さないということか」
「はい。日本側の言葉を借りれば——『AESAの轍は踏まない』とのことです」
ドランプは窓の外を見た。
「AESAというのは」
「かつて日本が米国にAESAレーダー技術を移転したところ、リバースエンジニアリングされて米国の独自技術になった件です。日本はその教訓を忘れていません」
長い沈黙が続いた。
ドランプは最終的に言った。
「……127mm砲仕様で、何隻発注できる」
東京。内閣官房。
橘慎一郎は城島からの報告を受けていた。
「米国が追加発注の意向を示してきました。レールガンなしで、という条件は受け入れるそうです」
「何隻」
「20隻を希望しているようです」
橘はしばらく考えた。
「JMUのキャパシティを確認してください」
「現在、呉と横須賀の4ドックが空いています。500mドックであれば1ドックに2隻同時建造が可能です。4ドックで8隻同時、8ヶ月で納入できます」
「20隻なら3バッチで約20ヶ月か」
「はい」
橘は一瞬考えてから言った。
「4ドックまでです。それ以上は我が国の防衛整備と他国への発注に支障が出ます」
「米国には4ドック専用でお伝えしますか」
「そのままお伝えください」
橘は珈琲を一口飲んだ。
「ただし条件がもう一つあります。建造は全て日本国内で行う。米国からの技術者の派遣・立ち入りは認めない」
城島が確認するように言った。
「リバースエンジニアリング対策として」
「そうです。AESAの轍は踏まない」
横須賀。JMU横須賀。
4隻のDDG(X)が岸壁に並んでいた。127mm砲の砲座は依然として仮搭載のままだった。米国製レールガンの納入見込みは立っていなかった。
日本人技術者が艦体を見上げながら言った。
「127mm砲のままの方が、ある意味シンプルでいいんですけどね」
隣の技術者が笑った。
「米国がそれを認めるかどうかですよ」
アンコーナ。
マリーニは収益試算を眺めながら雪女に言った。
「米国が20隻追加発注したら、レーザーターレットだけで何億になるか計算して」
「20隻×6基×15億円=1,800億円です」
「FEPAへの取り分は」
「約180億円になります」
マリーニはタブレットを閉じた。
「レールガンを渡さなくても十分ね」
【国際情勢スレ】
1 名無しさん
米国がDDG(X)追加20隻を日本に打診してるって本当か
2 名無しさん
>>1
4隻で止まったからな
議会が「日本から買え」って言い続けた結果だろ
3 名無しさん
レールガンは渡さないって日本側が言ってるらしい
「AESAの轍を踏まない」って言葉が出てきてるとか
4 名無しさん
AESAって昔日本が技術移転したやつか
あれリバースエンジニアリングされたんだっけ
5 名無しさん
>>4
そう 日本はそれを忘れてない
レールガンは絶対に渡さないってことだな
6 名無しさん
4ドックで8隻同時建造・8ヶ月で納入って
米国内で建造したら何年かかるんだろ
7 名無しさん
>>6
試算では10年以上かかるらしい
勝負にならない
8 名無しさん
技術者の立ち入りも認めないって
リバースエンジニアリング対策を徹底してるな
9 名無しさん
「4ドックまでなら受けられます」←自衛隊と他国向けの枠は守るってことか
橘さんらしい
10 名無しさん
127mm砲仕様で20隻の米海軍艦隊
レールガンなしでどう運用するつもりなんだろ




