第135話「150」
時事ネタ?社会風刺?いずれにしろ、この作品はフィクションであり、実在の企業・団体・個人とは一切関係ありません。キリッ
2029年12月。
アンコーナ。
MAGI-2が黒田に通知を送ってきたのは、朝の7時だった。
「T-5FC、150機体制達成」
黒田は珈琲を一口飲んでから、報告書を確認した。アンコーナに展開するT-5FCが150機に達した。旧T-5F65機はすでに日本へ返送され、JMUの工場で再整備が進んでいた。T-5A化が完了次第、JDETAが初回販売ロットとして各国に届ける手順になっていた。
マリーニが執務室に入ってきた。タブレットを手に持っていた。
「65機のT-5A化、売れたらFEPAに325億入ってくるわね」
「計算が早いですね」と黒田が言った。
「いつもしてるから」
マリーニはタブレットを閉じた。
「Z-1Aの案内はJDETAがT-5Aユーザー向けに同時発送してくれてるんでしょ。そっちの取り分も楽しみだわ」
愛知県弥富市。三菱重工弥富製造所。
田村颯太は生産ラインの点検記録を確認しながら、ふと窓の外を見た。
T-5FCが1機、テスト飛行から戻ってきた。静かに滑走路に降りた。折り畳み翼が開いたまま格納庫に入っていく。
班長の古田が隣に来た。50代のベテランで、旧工場から来た技術者だった。
「今月も25機出たな」
「はい」と颯太が答えた。
「お前が来た頃は月産8機だったんだぞ」
「……そんなに違うんですか」
「弥富に来て変わったのは機体だけじゃない」と古田が言った。「人間もだ」
颯太はしばらくその言葉を考えた。
岩手県北上市。
キオクシア北上新工場は、試験稼働から3ヶ月が経った。
300mmウェーハの生産ラインが順調に動いていた。NANDフラッシュメモリの量産体制が整いつつあった。
工場の外では、雪が降り始めていた。北上の冬は早い。
工場内のドールAが黙々と精密機器を運んでいた。「キオクシア」のロゴがラッピングされていた。クリーンルームの温度は常に一定だった。
富山県高岡市。TSMC高岡第3工場建設現場。
竣工まであと2ヶ月だった。
MAGIコントロールの重機が最終仕上げを進めていた。内部の設備搬入が続いていた。
現場責任者がタブレットで工程を確認した。
「来年2月、予定通りです」
隣に立つTSMCの台湾人技術者が頷いた。
「Nvidiaの次世代チップ、ここで作るんですね」
「そうなります」
技術者は工場の外壁を見上げた。
「……日本は速いですね」
東京。内閣官房。
橘慎一郎は年末の報告書を眺めていた。
T-5FC150機達成。旧T-5F65機T-5A化・JDETA販売開始。北上キオクシア試験稼働。TSMC高岡第3工場2月竣工見込み。DDG(X)就役。イスラエルがヨルダンから撤退。国債償還準備——。
10001号が珈琲を置いた。
「今年も色々ありましたね」と10001号が言った。
「来年も色々ある」と橘は答えた。
窓の外の永田町に、小雪が舞い始めていた。
【日欧共闘スレ】
1 名無しさん
T-5FC150機達成か
FEPAの航空部隊がついに本格体制になったな
2 名無しさん
1
旧T-5FがT-5Aとして売りに出されるわけか
JDETAが販売窓口なんだな
3 名無しさん
Z-1Aの案内も同時に送ってるらしい
T-5Aを買えばZ-1Aも買えるってことか
4 名無しさん
キオクシア北上が試験稼働してたのか
北上にメモリ工場と弥富に航空機工場
日本の製造業どこまで行くんだ
5 名無しさん
TSMC高岡が2月竣工で次世代チップを作るのか
MAGIの増設に使うってこと?
6 名無しさん
>>5
たぶんそうだろ
MAGIが更に強くなるのか……
7 名無しさん
弥富の工場が月産25機って
最初の8機から3倍以上になってるの草




