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135/166

第135話「150」

時事ネタ?社会風刺?いずれにしろ、この作品はフィクションであり、実在の企業・団体・個人とは一切関係ありません。キリッ


2029年12月。


 アンコーナ。


 MAGI-2が黒田に通知を送ってきたのは、朝の7時だった。


「T-5FC、150機体制達成」


 黒田は珈琲を一口飲んでから、報告書を確認した。アンコーナに展開するT-5FCが150機に達した。旧T-5F65機はすでに日本へ返送され、JMUの工場で再整備が進んでいた。T-5A化が完了次第、JDETAが初回販売ロットとして各国に届ける手順になっていた。


 マリーニが執務室に入ってきた。タブレットを手に持っていた。


「65機のT-5A化、売れたらFEPAに325億入ってくるわね」


「計算が早いですね」と黒田が言った。


「いつもしてるから」


 マリーニはタブレットを閉じた。


「Z-1Aの案内はJDETAがT-5Aユーザー向けに同時発送してくれてるんでしょ。そっちの取り分も楽しみだわ」





 愛知県弥富市。三菱重工弥富製造所。


 田村颯太は生産ラインの点検記録を確認しながら、ふと窓の外を見た。


 T-5FCが1機、テスト飛行から戻ってきた。静かに滑走路に降りた。折り畳み翼が開いたまま格納庫に入っていく。


 班長の古田が隣に来た。50代のベテランで、旧工場から来た技術者だった。


「今月も25機出たな」


「はい」と颯太が答えた。


「お前が来た頃は月産8機だったんだぞ」


「……そんなに違うんですか」


「弥富に来て変わったのは機体だけじゃない」と古田が言った。「人間もだ」


 颯太はしばらくその言葉を考えた。





 岩手県北上市。


 キオクシア北上新工場は、試験稼働から3ヶ月が経った。


 300mmウェーハの生産ラインが順調に動いていた。NANDフラッシュメモリの量産体制が整いつつあった。


 工場の外では、雪が降り始めていた。北上の冬は早い。


 工場内のドールAが黙々と精密機器を運んでいた。「キオクシア」のロゴがラッピングされていた。クリーンルームの温度は常に一定だった。





 富山県高岡市。TSMC高岡第3工場建設現場。


 竣工まであと2ヶ月だった。


 MAGIコントロールの重機が最終仕上げを進めていた。内部の設備搬入が続いていた。


 現場責任者がタブレットで工程を確認した。


「来年2月、予定通りです」


 隣に立つTSMCの台湾人技術者が頷いた。


「Nvidiaの次世代チップ、ここで作るんですね」


「そうなります」


 技術者は工場の外壁を見上げた。


「……日本は速いですね」





 東京。内閣官房。


 橘慎一郎は年末の報告書を眺めていた。


 T-5FC150機達成。旧T-5F65機T-5A化・JDETA販売開始。北上キオクシア試験稼働。TSMC高岡第3工場2月竣工見込み。DDG(X)就役。イスラエルがヨルダンから撤退。国債償還準備——。


 10001号が珈琲を置いた。


「今年も色々ありましたね」と10001号が言った。


「来年も色々ある」と橘は答えた。


 窓の外の永田町に、小雪が舞い始めていた。





【日欧共闘スレ】


1 名無しさん

T-5FC150機達成か

FEPAの航空部隊がついに本格体制になったな


2 名無しさん


1

旧T-5FがT-5Aとして売りに出されるわけか

JDETAが販売窓口なんだな


3 名無しさん

Z-1Aの案内も同時に送ってるらしい

T-5Aを買えばZ-1Aも買えるってことか


4 名無しさん

キオクシア北上が試験稼働してたのか

北上にメモリ工場と弥富に航空機工場

日本の製造業どこまで行くんだ


5 名無しさん

TSMC高岡が2月竣工で次世代チップを作るのか

MAGIの増設に使うってこと?


6 名無しさん


>>5

たぶんそうだろ

MAGIが更に強くなるのか……


7 名無しさん

弥富の工場が月産25機って

最初の8機から3倍以上になってるの草

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