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『ドラゴンテイマーと魔人』 ~追放された不遇職の僕は、婚約者だった公爵令嬢と共に、何とか生き抜いていこうと思いました~  作者: 星衛門
2章 ヴァンパイアと赤血種

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49解放




 レーナの手によって、死んだヴァンパイア公爵であるベネジクト。


 「降伏します」


 そう言って、持っていたナイフを地面に捨てるグルコル。


 両手を上に上げて、戦う意思はもう無いという姿勢を見せる。


 僕は警戒しながら、構える。

 武器を下ろしたとしても、油断ならない。


 もしかしたら、油断させておいて、攻撃してくるかもしれない。


 そう思っていたけど、レーナは何の警戒もなく、グルコルに近づく。


 「貴方だったのですね」

 「はい?」

 「私の拘束を解いてくださったのは」

 「………」


 グルコルは黙り込む。


 「え?どういうこと?」

 「ああ、リック。私がこの地下都市に来た時に、拘束された時がありまして、その時に拘束を誰かが解いてくれたから脱出できました。恐らくですが、貴方がそれをしたのですよね?」


 聞いたところによると、レーナは一度目にベネジクトに敗れて、研究所みたいな場所で、実験という名の拷問を受けていたみたいだ。


 そして、何者かに拘束を解かれ、抜け出せた。


 それを聞いて、僕は顔から火が出るぐらい怒りが込み上げた。

 ベネジクトというヴァンパイアをもう一度殺したくなるくらい。


 レーナは、再度グルコルに問いかける。


 暫くして、グルコルは顔を俯かせて頷く。


 「はい…私が拘束を解きました」


 グルコルの答えを聞いて、レーナは満足そうに頷く。


 「私の拘束を解いた理由は…」

 「ただの…偽善です」

 「なるほど、偽善ですか」

 「はい、可哀想だと思ったので」


 可哀想だから、解放した。

 如何にも、偽善的な答えである。


 でも、そんなグルコルを、レーナは攻めなかった。


 「私は…いえ、私だけではありません。ここに住んでいる爵位の持っていないヴァンパイアたちは、皆…ベネジクト様………私の姉を恐れていました」


 何と、ベネジクトは、グルコルの姉で会ったみたいだ。


 確かに、ベネジクトと同じグルコルは、赤い髪に赤い目を持っている。

 通りで、誰かに似ていると思ったら、姉妹同士だったとは。


 「でも、姉が倒され、この地下都市から出られる出口も空きました」


 グルコルは、上を見る。


 地下都市の天井には、僕がレーナを助けるために、イッカクを使って、掘り進めた穴がある。


 「貴方がみんなを解放をすれば良いのでは?」

 「え?」


 グルコルは、素っ頓狂な顔をする。


 「貴方の様子を見るに、貴方も姉であるベネジクトに無理やり従わされていたのでしょう。しかし、ここでベネジクトの次に立場や実力が高いのは、貴方。ならば、貴方が新しいヴァンパイア達のリーダーになって、みんなを解放すればいいのです」

 「私が解放………」


 グルコルは、周囲にいる爵位無しのヴァンパイアを見る。

 彼らの顔には、不安そうな色があった。


 グルコルは、一度を瞑ってから、目を開いて、覚悟の顔をする。


 「そうですね。私がみんなを解放して、みんなへの罪滅ぼしが出来れば思います」


 レーナは満足そうに頷く。


 だけど、その時、


 「う?!」

 「レーナ!」


 レーナが崩れ落ちる。

 僕は駆け寄って、レーナを受け止める。


 受け止めたレーナの額には、大粒の汗があった。


 かなり疲弊している。


 「レーナ、大丈夫?!」

 「ええ、平気です。ちょっと血の操作に慣れて居なくて、力を使い過ぎました」


 そう言って、レーナはゆっくりと眼を閉じる。


 体力を回復させるために、眠ったようだ。


 それと共に、レーナの体に纏わせてあった血が、身体の中に戻る。

 裸になってしまったので、僕は上着を脱いで、レーナに掛ける。


 何はともあれ、何とかレーナを救出できた。




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