46再戦②
「また、貴方ですか」
レーナは魔闘術の構えを取って、ベネジクトに向く。
以前、レーナは血を飲んで強化したベネジクトに、手も足でも出なかった。
恐らく、今回も負けるかもしれない。
でも、今はリックもいる。
今は防御に呈して、リックが応援に来るのが、ベストな考えだろう。
……………そう思っていたが。
シュン!
ベネジクトの姿が消えたと思ったら、いきなり脇腹から痛みを走り、血が流れる。
「っ?!」
一瞬で、脇腹を切られたみたいだ。
レーナは驚きながらも、流血を片手で止める。
レーナの脇腹を切ったのは、ベネジクトの鋭い爪。
そう言えば、長く伸びる爪も武器にあったな。
前に戦った時は、爪を使っていなかった。
単純に、手を抜いていたのだろう。
でも、今回は、その手抜きが無い。
不味い。
手を抜いた状態でも、勝てなかったのに、本気のベネジクトには、勝てる訳がない。
レーナはベネジクトの一挙一足を見逃さないように、ジッと見る。
しっかりと、動き出しを見極めれば、目にも止まらぬ速さにも対応は出来る。
そう思う込んでいたレーナだったが、
シュ!
「うっ?!」
またしても、ベネジクトが消えたように見えた後、左腕に激痛。
見れば、左腕が大きく斬り裂かれ、かなりの流血をしていた。
言わずもがな、ベネジクトの爪で斬り裂かれたのだ。
レーナが即座に防御の体制を取る前に、
「いたっ?!」
また切られる。
今度は、背中を。
と思ったら、次は足を。
そして、腹部を。
ベネジクトは血で強化された身体能力を十全に生かして、ひたすらレーナの体を斬り裂いていく。
「は!」
せめてもの反撃で、周り蹴りを放つ。
右足の蹴りを放つが、それをベネジクトに、片手で受け止められる。
「二度と足が使えないようにしてやる」
しかも、それだけでない。
受け止めたレーナの右足を必要に切り裂くベネジクト。
「ああ?!」
脛や脹脛、足の裏に至るまで。
何度も剣で切られたような傷が出来る。
レーナの綺麗な右足は、真っ赤な色に染まった状態になる。
これでは、もう右足が使えない。
次は、左腕だった。
左腕を必要以上に切り裂き、腕も上げられないほどの裂傷を与える。
そして、レーナは、ただ斬られるだけだった。
周囲に飛び散るレーナの血。
気づけば、レーナが胸部と腰に巻いていた布は、斬り裂かれ、地面に落ちていた。
裸体の状態だが、それを気にする余裕はレーナには無い。
高速で動き回るベネジクトの攻撃で、体中に切り傷が付き、流血が溢れる。
レーナの足元には、多くの血が滴り落ちていた。
意識が遠のいていく。
血を流し過ぎたのだ。
ここまで、血を流しても、立っていられるのは、半魔人故の生命力か、レーナの強い意思によるものか。
それでも、いずれ限界が来る。
「終わりだ」
「かは…」
ベネジクトの鋭い爪が、レーナの腹部に深々と突き刺さる。
凄まじい激痛。
爪の先は、臓物まで達しているかもしれない。
そして、抜かれる爪。
レーナは必死に、腹部から臓物が溢れないように、右手で庇う。
膝をつき、頭を垂れる。
とうとう、地面に倒れるレーナ。
レーナは地面に滴る血と共に、うつ伏せに倒れる。
立つ気力が、もうない。
全身血まみれで、レーナは意識を手放す。




