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『ドラゴンテイマーと魔人』 ~追放された不遇職の僕は、婚約者だった公爵令嬢と共に、何とか生き抜いていこうと思いました~  作者: 星衛門
2章 ヴァンパイアと赤血種

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45/50

45再戦①




 「リック!」

 「わあ!」


 ようやく見つけることが出来たレーナ。

 出会い頭に、飛びついてくる。


 僕も驚きながら、レーナを抱きしめる。


 暖かく、良い匂い。

 間違いなく、レーナだ。


 何だか、布を巻いただけの恰好をしているけど。


 『ママ、会いたかった!』

 「私も会いたかったですよ、クロちゃん』


 レーナはクロの頭を撫でる。

 クロは嬉しそうだ。


 「「…………ん」」


 そして、僕とレーナをキスをし合う。

 少し会えなかった時間を埋めるように、互いの唇の柔らかさを堪能する。


 周囲には、クロやイッカク、遠巻きに爵位を持っていないヴァンパイアたちもいるが、気にしない。


 暫くして、唇を離す。

 名残惜しいけど、今はレーナや周囲の状況を確認しないと。


 「レーナが無事で良かった」

 「はい。私もリックに会えて、凄く嬉しいです」

 「ここで、何があったの?」

 「えっと…それがですね」


 そうして、レーナはここに転移されてから今までの状況を説明する。


 来たところによると、レーナはあの城みたいな場所の奥の部屋に転移されたのこと。

 そこには、多くのヴァンパイアがいた。


 でも、城みたいなところにいるのが、爵位を持ったヴァンパイア、つまり強力なヴァンパイアであり、街に見たいな場所にいるヴァンパイアが爵位無しであるそうだ。


 爵位の無いヴァンパイアによると、この地下都市は数百年前に、人間との戦いで、人間が転移の魔導装置を使い、多くのヴァンパイア達をここに閉じ込めたのこと。


 そして、爵位の持った力のあるヴァンパイアは、この地下都市を新たな居住区として、爵位の持っていなく力の無いヴァンパイアを支配しているらしい。


 しかも、人と比べて何も食べなくて良い期間が長いとはいえ、爵位無しのヴァンパイアを定期的に、食べているのだ。

 何て、惨い共食い。


 その爵位持ちのヴァンパイアを統括しているのが、公爵であるベネジクトらしい。


 確か、さっきの爵位無しのヴァンパイアの会話にも出てきたな。

 やっぱりベネジクトと言う奴が、ここの首魁らしい。


 ならば、ソイツを倒せば。


 そう思っていたら、


 「これは何の騒ぎだ」


 後ろから女性の声が聞こえる。

 それも強者特有の覇気の籠った声。


 僕は声のした方へ振り替える。


 そこには、赤い髪に、赤い眼。

 黒いドレスを着た女性がいた。

 大柄であり、僕よりも背が高い。


 誰もが認める美人であるが、口から鋭い犬歯があり、ヴァンパイアであるのが分かる。


 なにより、女性から放たれるオーラが、ただものではない。

 言われなくても分かる。


 このヴァンパイアが、公爵であるベネジクトだ。


 ベネジクトは、周囲に倒れている爵位を持ったヴァンパイア達を見て、僕達を見る。

 その顔には、怒りの色があった。


 「よくも、我の配下を…貴様らがやったのか?」


 今にも飛び掛かりそうな雰囲気である。

 これは交渉の余地何て無さそうだ。


 と思っていたら、ベネジクトは懐から何かを取り出す。

 それは半透明な袋に詰まった赤い液体。


 赤い液体を、豪快に飲み出す。


 「あれは…」


 レーナは赤い液体を見て、身構える。

 聞くところによると、あれは血液らしく、あれでベネジクトは大幅に強化されるみたいだ。


 血を飲み干したベネジクトは口元の血を拭う。

 すると、ベネジクトに何か力のような物が集中するのを感じる。


 吸血で、能力が上がったのだろう。


 直感的に理解できるのだ。

 強化したベネジクトは、イッカクを従魔にして、強くなった今の僕よりも強い。

 恐らく、レーナよりも。


 僕達とベネジクト…両者の間に、沈黙が走る。


 次の瞬間、


 「っ?!」


 僕の目の前に、ベネジクトがいた。


 何て速さ、目で捉えきれなかった。

 でも、薙ぎ払われる拳は何とか見えたので、両腕で咄嗟に守る。


 ガン!

 ものすごい衝撃が両腕に来る。


 僕はものの見事に吹き飛ばされる。


 「リック?!」

 『パパ?!』


 レーナとクロが慌てる。


 集団から離される僕。

 正しい判断だ。


 この中で、一番弱いのは僕だもの。


 「貴様がドラゴンどもの主だな。何故、人間如きがドラゴンに指令を出しているのかは知らんが、貴様を仕留めれば、統率は取れんだろう!」


 ベネジクトが僕の猛攻を仕掛ける。


 僕は防御だけを考えざるを負えなかった。

 反撃している暇など無い。

 物凄い攻撃力と速度だ。


 耐えるのに、精一杯。


 「リック、今行きます!」


 レーナが急いで僕の元に駆け付けようとする。


 だけど、


 「っ?!」


 突如、レーナの後ろに誰かが現れる。


 それは、赤い髪に、赤い目。

 どことなくベネジクトに雰囲気が似た使用人の女性。


 それは、ベネジクトと一緒に、自身への実験の手伝いをしていたグルコルというヴァンパイアだ。


 グルコルは手に持ったナイフで、レーナを攻撃する。

 レーナは咄嗟にガードする。


 「あなたも敵ですか?」

 「申し訳ございません。ベネジクト様の命令ですので」


 そこへ、グルコルは無表情で、連続でナイフを切り付ける。


 レーナは反撃に、突きや蹴りを放つが、軽いステップで、避けられる。

 グルコルは、ベネジクトでは無いにせよ、早い身のこなしや優れたナイフ捌きで、なかなか強い。


 これでは、レーナの加勢は難しいか。


 ならば、


 『せあ!』


 ベネジクトの後ろから、クロの爪による攻撃。

 それをベネジクトは、後ろを見ずに躱す。


 そこへ、


 『ふん!』


 今度はイッカクのハンマーのような尻尾の薙ぎ払いが行われる。

 ベネジクトは両腕でガードする。


 ドン!

 という音を立てながら、両腕から少しの流血をしながら、ベネジクトは吹き飛ばされる。


 流石に、イッカクほどの重量を持ったドラゴンの尻尾の薙ぎ払いは、効くだろう。


 吹き飛ばされたベネジクトは、すぐに体制を整えつつ、僕達を睨む。


 「ちっ!ドラゴンが二体も相手では、分が悪い。グルコル!貴様が、あの人間の相手をしろ!私は、この半魔人の相手をする!」

 「分かりました」


 レーナと戦っていたグルコルは、身体を反転させ、レーナから距離を取り、今度は僕に駆け寄る。


 ナイフが付き出される。

 それを僕は短剣で応戦する。


 横目で見ていたけど、この人もベネジクトほどではないけど、結構強い。




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