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『ドラゴンテイマーと魔人』 ~追放された不遇職の僕は、婚約者だった公爵令嬢と共に、何とか生き抜いていこうと思いました~  作者: 星衛門
2章 ヴァンパイアと魔人

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38実験




 地下深くに行くために、グランドドラゴンをテイムしようと考えるリック。


 『テイム?………まさか、俺を貴様の下部にする気なのか?ふざけやがって!』


 リックがテイムするという言葉に、グランドドラゴンは激怒する。


 それはそうか。

 ドラゴンは、その強さ故に、プライドが高い。


 自分のような卑猥な存在からテイムすると言われたら、激怒するはずだ。

 でも、グランドドラゴンには悪いけど、テイムしなければいけない状況だ。


 この機会を逃す訳には行かないからな。


 リックとクロは身構える。

 すると、グランドドラゴンに動きが起こる。


 いきなり、槍のような尖った頭部を地面に付き刺しはじめる。


 ドドドド!!

 そして、グランドドラゴンは頭部を地面に付き刺しながら、地面に潜る。


 そりゃあ、グランドドラゴンなのだから、地面に潜るか。


 潜った後、少しの静寂が訪れる。


 だけど、リックは警官心を解かない。


 次に何をするのか。

 決まっている。


 ゴゴゴゴ!!

 地面が盛り上がる。


 「クロ、避けろ!」

 『う、うん!』


 リックの声掛けで、クロと共に、その場から離れる。


 すると、さっきまでリックとクロがいた場所の地面が爆ぜる。

 そこから現れるは、尖った頭。


 言うまでも無く、グランドドラゴンの頭部だ。


 地面から攻撃を仕掛けてきたのだ。


 『この!』


 クロが反撃を仕掛ける。

 小柄な体格を素早く動かし、爪でグランドドラゴンに攻撃をする。


 数多の魔物を斬り裂いてきた爪が、グランドドラゴンの頭部に当たる。


 キン!

 一際高い音が鳴る。


 クロの爪が弾かれる音である。


 『いてぇな!』


 グランドドラゴンが怒りの声を出す。


 頭部には、切り傷は付いたが、致命的なレベルではない。

 恐るべし、頭部の強度。


 『だったら』


 爪が余り効かないと考え、クロは体一杯にに空気をため込む。

 炎のブレスを吐くつもりだ。


 あれは体が岩で出来たロックゴーレムも溶かすほどだ。

 グランドドラゴンと言えど、無傷とはいかないだろう。


 『食らうか!』


 しかし、ブレスを吐こうとしたクロを見て、グランドドラゴンは地面に潜る。


 ゴオオオオオオ!!!

 クロの口から業火が放たれる。


 何物も燃やす豪華だが、地面が焼けるだけだった。

 地面に潜ったグランドドラゴンには、炎は届いていないだろう。


 さて…困った。

 テイムしたいのに、相手はすぐに地面に潜ってしまう。


 難しいと思われていたテイムが、益々難しくなる。

 何か解決法を考えねば。


 リックとクロが、地上でレーナ救出のために翻弄している最中。

 一方のレーナは地下深くにて、









 ガラガラガラガラ。

 何かを運ぶ音がレーナの耳に入る。


 次いで、小さな揺れが体を揺らす。


 …………………………………ここは?何処でしょうか?


 レーナは意識を段々と取り戻す。

 ゆっくりと眼を開けるが、まだ意識が完全には、はっきりしない。


 はっきりしないが、今自分は横になって、何かのベッドに寝かされている感覚がするのは分かる。

 そのベットは頻繁に揺れている。


 自身のみに何が起こったのか。

 記憶を思い出す。


 自分は「漆黒の森」をリックとクロと主に、歩いている時、魔道装置を見つける。

 そして、自分は転送を受ける。


 転送されたのは、魔人であるヴァンパイアがいる場所。

 地下都市である。


 そして、レーナはヴァンパイア公爵であるベネジクトに遭遇し、その後は………、


 「……う?!」


 記憶を呼び起こした後、レーナは全身の痛みに顔を歪める。


 そうだ、ベネジクトと戦い、自分は破れたんだ。

 血を飲んで強化したベネジクトに手も足も出せず、気絶させられた。


 思い出した瞬間、ベネジクトから受けた攻撃からの痛みが、身体に呼び起こされる。


 気絶した後、自分はどうなったのか。

 確か、ベネジクトが半魔人である自身に興味を持ち、実験しようと言っていたはず。


 兎に角、状況を確認しないと!


 レーナは痛みに耐えながら、身体を起こそうとする。


 ガチャ!


 「え?」


 しかし、出来なかった。

 手足に取り付けられた拘束器具によって。


 首を動かして、自身の身体の状態を見る。


 両手首と両足首、両腕と両足の付け根に1つずつ。

 そして首の感触的に、首にも拘束器具がある。


 合計、9個の拘束器具で台に固定されている。

 黒っぽい鉄のような物で出来た拘束器具。


 さらに、その台は今、動いている。


 「無駄ですよ」

 「?!」


 いきなり声がしたので、レーナは戸惑う。

 声は頭の後ろから。


 拘束されているが、何とか首を動かす。


 すると、後ろ…正確には、レーナが寝かされている台を後ろから押している女性がいた。

 使用人の女性である。


 いや、ただの使用人ではない。


 その使用人の女性の口元には、鋭い牙があった。

 この女性も、ヴァンパイアである。


 赤い髪に、赤い眼。

 どことなく雰囲気がベネジクトに似ていた。


 女性のヴァンパイアは無表情でレーナを見ずに、レーナが拘束されている台を前に押していた。


 車輪の付いた台は真っ直ぐ、一直線の通路を進んでいた。


 「その拘束器具は、黒剛鉄で出来ています。非常に硬く、ヴァンパイアすらも拘束するものです。貴方が半魔人とは言え、破壊は出来ません」


 女性は淡々と説明する。


 「くっ?!うぐ?!」


 ガチャ!ガチャ!ガチャ!

 女性の説明を無視して、レーナは力の限りに拘束から逃れようとする。


 確かに、女性の言う通り、外せそうもない。


 黒剛鉄といったか、なんて硬い。


 半魔人であるレーナは、人間よりも腕力が優れ、焼きの甘い鉄の剣なら、素手で曲げてしまうほど。

 そんなレーナの力でもビクともしない。


 「……………私はこれから、どうなるのでしょうか?」


 試しに、レーナは女性のヴァンパイアの聞いてみる。


 ヴァンパイアは一度、レーナを見てから、静かに語りだす。


 「貴方は、これから公爵様の実験体となります」

 「実験体ですか?」


 そう言えば、戦う前、ベネジクトは自身が半魔人であることに興味を示し、実験体として扱うと言っていた。


 実験とは?

 何か、嫌な予感がする。


 初めてベネジクトに会った際に、部屋の中で見た血が付いた実験道具。

 あれはベネジクトが実験で使った道具だろう。


 レーナは一抹の不安を覚えながら、台は進んで行く。




 やがて、レーナを拘束している台を押しながら、ヴァンパイアの女性は、通路を進んで、ある部屋に行き着く。


 その部屋は薄暗い大きな部屋。

 明かりが付いていないので、部屋の中は薄っすらとしか見えない。


 だけど、じっくり目を凝らすと、部屋の中には、いろいろなものが置かれてあるように見える。


 レーナを乗せた台は、部屋の中央で止まる。


 女性のヴァンパイアは火を灯し、部屋に明かりを灯す。

 すると、部屋の中の光景が目に見える。


 「こ、これは?!」


 レーナは驚く。


 部屋の中には、多くの道具が置かれた棚があった。

 明かりを付ける前に、うっすらと見えていた物は、これだ。


 何かを斬るための刃物、何かを叩き折るための金槌、何かを指すための針など。


 部屋の隅には、大きな水槽のような物。

 緑色のような液体が入っており、その中には何かの肉片みたいなものが。


 そして、天井には複数の透明の管が付いたシャンデリアのような装置。

 一体、あの管は何に使うのか。


 レーナが驚いている間、女性のヴァンパイアはレーナは拘束されている台の調整のようなものを行っていた。


 すると、


 「実験の準備は整ったか?」


 レーナが部屋に運ばれた扉とは違う扉から、白い服を着たヴァンパイア公爵…ベネジクトが入ってくる。


 白い服に、白い手袋、白いマスク。

 本当に、研究者みたいだ。


 「はい、公爵様…いつでも開始できます」


 女性のヴァンパイアは、いつの間にか、ベネジクトと同じ格好になっていた。


 ベネジクトは台に拘束されているレーナの傍に歩み寄る。

 そして、レーナの頭をそっと撫でる。


 「光栄に思え。其方は我の偉大な研究に実験体にあるのだ」


 そう言いながら、ベネジクトは笑う。


 レーナには、それは悪魔の笑いにしか見えなかった。




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