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『ドラゴンテイマーと魔人』 ~追放された不遇職の僕は、婚約者だった公爵令嬢と共に、何とか生き抜いていこうと思いました~  作者: 星衛門
2章 ヴァンパイアと魔人

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37グランドドラゴン




 地面から現れた魔物は、トレマーズ。


 見た目はミミズの親玉みたいなものであるが、実際にミミズ型の魔物である。


 あのデカい図体に見合わず、動きは素早いのだ。

 特に、地面の中では。

 地面を魚のように泳いで、地上にいる生き物を捕食する。


 『ギュララララ!』


 目の前のトレマーズは目と思われる部分はないが、しっかりとリックとクロを認識している。

 恐らく、視覚以外の匂いや音などで分かっているのだろう。


 リックとクロは臨戦態勢に入る。


 すると…ドドドド!!

 またしても、トレマーズが現れる前のように地面が揺れる。


 今度は、もっと揺れて。


 『『『『ギュララララ!!!』』』


 地面から出現する複数体のトレマーズ。


 一体だけでは無かった。

 見たところ、20体ほど。


 しかも、リックたちを取り囲むようにして。

 逃げ場がない。


 『『『『ギュララララ!!!』』』


 一斉に飛び掛かるトレマーズたち。

 全方位からの攻撃。


 『パパ、耳を塞いで!』


 クロが叫ぶ。

 言われた通り、リックは耳を塞ぐ。


 何をするのかと、クロを見ていると、


 『スゥ………』


 息を大きく吸い、


 『ガオオオオオオ!!!』


 いきなり雄たけびを上げる。


 その雄叫びは、物理的な衝撃を伴ったような威力である。


 「うぐ?!」


 リックは少し苦悶の声を出す。


 飛んでも無い音だ。

 耳を塞いでいるのに、耳が痛い。


 一瞬、平行感覚が麻痺する。

 自分に向けられていないのに、クロの発した音響兵器は飛んでも無い威力である。


 その威力は、周囲にいたトレマーズたちにも遺憾なく発揮する。


 『『『ゲギャアアア??!!』』』


 一斉に悲鳴を上げるトレマーズ。


 悲鳴を出しつつ、地面に転がり、悶えている。

 滅茶苦茶効いている。


 そうか、トレマーズは耳が良いんだ。

 その耳の良さで地面の下から、地上の獲物を狙っているんだ。


 つまり、耳の良いトレマーズにとって、クロの雄たけびは、必要以上に効くと言う訳だ。


 隙だらけのトレマーズ。


 「いこう、クロ」


 でも、今は一匹ずつ止めを刺す暇はない。


 コイツは地面に潜れると言っても、ドラゴンではない。

 テイム不可能だ。


 クロを伴って、離れようとしたところで。


 グラララララ!!

 三度、地面が揺れる。


 今度は複数のトレマーズが地面から現れた時よりも揺れている。


 またしても、トレマーズか。

 と、身構えていると、


 「うわ!」


 文字通り、地面が抉れる。

 地面が海の波のように、盛り上がり、抉れたのだ。


 そうして、地面から出てきたのは、


 『グラララアアアア!!』


 巨大な身体を持った生き物である。


 それは一言で言えば、岩の鱗を持った二足歩行の蜥蜴。

 堂々たる強靭そうな足に、ハンマーのような尻尾。


 特徴的なのは頭部。

 まるで、槍のように尖った頭部である。


 すぐに分かる。

 トレマーズよりも圧倒的に強い魔物だと。


 この特徴的な頭部の形状を持った魔物は知っている。


 「グランドドラゴン!!」


 リックは魔物を名前を叫ぶと同時に、顔に若干の喜び色を見せる。


 その理由は、この魔物が今、リックが一番求めているものだからだ。


 このグランドドラゴンと言う名前の通り、魔物中でも最強種であるドラゴンである。

 そして、このドラゴンは地面に潜ることを得意としたドラゴンなのだ。


 前に出会ったアースドラゴンが地上特化のドラゴンなら、グランドドラゴンは地下特化のドラゴン。


 あの槍のような頭部を地面に付き刺して、地面を海のように泳いで進むのだ。


 『うう…僕と同じドラゴン』


 グランドドラゴンの出現に、クロが警戒する。

 そう言えば、クロにとっては、同じドラゴンと言う同族との遭遇である。


 グランドドラゴンが大きな頭部を回し、地面にのた打ち回っているトレマーズを見てから、リックとクロを見る。


 グルルル。

 口から獰猛な声を出す。


 そして、


 『グラララ!!私の眠りを妨げるのは、誰だ?!』


 リックの脳内に、いきなり太い声が入り込む。


 この声は?!

 周囲を見渡しても、誰もいない。


 いや、この脳に直接声が入り込む現象は体験がある。


 それはクロの親である黒竜で出会った時。

 初めて、黒竜とあった時、黒竜はリック自身の脳に直接語り掛けてきた。


 念話のような物を使って。


 黒竜で出会った後に、知る。

 リックの【ジョブ】である『ドラゴンテイマー』はドラゴンをテイム出来るだけでなく、ドラゴンの言葉も分かるのだと。


 ドラゴンは強いだけでなく、知能も高い。

 そのため、ドラゴンの間には、人と違う独自の言語がある。


 僕はその言語が聞こえるのだ。


 始めは、この言語が分からなかった。

 当然だ、初めて知る言語だからだ。


 でも、クロの親である黒竜の摩訶不思議な力で、ドラゴンの言語を理解できるようになった。


 それ以降、クロの言葉も、リックは分かるのだ。


 それはクロだけでなく、他のドラゴンも。


  『貴様かぁ!馬鹿でかい声を出したのは?!』


 グランドドラゴンはリックたちに向かって吠える。


 デカい声尾と言うのは、クロが先程トレマーズたちを撃退する時に放った雄叫びだろう。

 どうやら、地面の下にいたグランドドラゴンを怒らせたようだ。


 戦うしか無いのか。


 でも、好都合だ。

 コイツなら、地下深くまで潜れるだろう。


 コイツさえ、テイム出来れば。


 「クロ、コイツをテイムするぞ!」

 『うん、任せて!』




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