33レーナ探索②
リックとクロは地面の下にある地脈の魔力を辿って、レーナの行方を探索する。
『う~ん……こっち!』
地脈の魔力を感じ取れるクロを先頭に、その後をリックが付いていく。
とはいえ、進み自体は早くない。
どうやら、クロ曰く、地面の下にある地脈は大きな川の流れのようで、感覚的に地脈の流れの方向は右往左往をしており、まっすぐ走っていることが余り無いそうだ。
なので、進みのペースは少し小走りして、止まって、また小走り、また止まる。
これの繰り返しだ。
当然、進みも遅いので、
『『『ギャギャ!!』』』
魔物に出くわす。
ここは「漆黒の森」。
こんな悠長に進んでいては、魔物に見つかるに決まっている。
目の前には、オークの集団。
二足歩行の豚の魔物。
知能は、それなりにあり、各々武器を持っている。
オークなんて、前にレーナと避暑地への行った時を思い出す。
あの時は、母を失ったリックは精神的に塞ぎ込んでしまっていた。
それを見たレーナが気を利かせて、一緒に避暑地に行ったのだが、その途中でオークの集団と出会ったのだ。
倒される護衛達。
もうだめかと思いきや、レーナが素手でオークの集団と戦ったのだ。
そこで知った。
レーナが半分魔人と言う事実に。
『『『グギャア!!』』』
オークたちが各自で持った武器を振りかぶり、突進してくる。
リックは懐から小剣を取り出す。
レーナがいない今、クロと戦うのは、自身しかいない。
『うりゃあ!』
クロが爪を使って、オークを簡単に斬り裂く。
黒竜であるクロの方は問題なさそうだ。
リックはと言うと、
「は!」
オークの攻撃をよく見て、避けてから急所である脇腹を小剣で突く。
いい感じだ。
いつもより体が動ける。
明らかに、身体能力の向上が見て取れるのだ。
リックには、分からないが、レーナ曰くリックの体には、レーナに匹敵する魔力が流れているよう。
魔力は体の機能を上げる。
魔力量を多く持っていればいる程、身体能力が上がる。
リックは『ドラゴンテイマー』である。
テイマーは何かを従魔にすると、その従魔から少しだけ力を貰えるのだ。
リックはクロと言う最強種の魔物の中でも、さらに異質な黒竜の子供であるクロから、少し力を貰っている。
とはいえ、少しだけでも、飛んでも無い魔力を貰ったのだ。
クロがオークを薙ぎ倒す中、次々と、リックはオークを適切に処理していく。
オークの動きが、本当にゆっくり見えるのだ。
小剣を振った時の攻撃力も、クロを従魔にする前と比較にもならない。
今のリックには、オーク程度問題では無いのだ。
瞬く間に、オークの集団は殲滅。
さらに進もうとすると、
『シャアアアア!!』
けれど、次に現れたのは、巨大な蛇。
丸太を思わせるような体躯を持った全長数十メートルは在りそうな大蛇だ。
コイツは、カイザースネーク。
数十メートルもある体躯を活かして、獲物を締め上げて、終いにはミンチにして捕食してしまう恐ろしい蛇の魔物だ。
他の強力な魔物すらも尻尾を巻いて逃げるような魔物。
不味い、コイツは今の自分には倒せない。
直感的に、そう判断するリック。
一方、クロは、
『もう邪魔!ママを探してるんだから!』
口いっぱいの魔力を溜め、吐き出す。
ゴオオオオ!!
クロは嫌そうな声を出して、口から炎を吐いたのだ。
全身を岩で出来たロックゴーレムすらも溶かしてしまう炎のブレスが、カイザースネークに放たれる。
カイザースネークは、悲鳴を満足に上げることなく、燃え上がる。
決して、カイザースネークは弱い訳では無い。
クロが規格外すぎるのだ。
「よくやった、クロ」
『えへへ』
そんなクロをしっかりと褒めるリック。
レーナを探索する事、数時間。
かなり、森の中を進んだところで、
『むむ?』
クロが立ち止まる。
地面を見て、何かを悩む素振りをする。
「どうしたの、クロ?」
『チミャクの魔力が全く感じなくなった』
「え?感じない?」
『うん。何か…物凄く離れている様な。チミャクが地面のずっと下に行っている様な』
「地面のずっと下……」
クロの言葉から考えるに、地面の下に流れていた地脈だが、その流れていた場所から、さらに下へと言っていると言うのか。
クロの魔力を探知できなくなるほど、下に。
厄介である。
地脈の先がレーナの転送先と仮定すると、レーナは地中のずっと下に転送されたことになる。
地面の下には、何があるのか。
レーナが本当に地下にいるとして、どうやって助け出すか。
地面のずっと下なんて、普通はたどり着けない。
何とか、地面の下へ行く方法を見つけないと。
『どうする、パパ』
クロが不安そうに、見てくる。
リックは考える。
地面の下へ行く方法。
自分達で穴を掘る?
勿論、非現実的。
ふと…リックは地面を見下ろす。
そこには、地面から顔を出したモグラがいた。
そこで、思いつく。
「そうだ!」
自分達で穴を掘るのが難しいなら、他の生物にやらせればいいんだ。
何か、地面を一瞬で掘り進められそうな魔物…ドラゴンを。
そのドラゴンをリックがテイムすれば、地面を下を行き来できる。
そう考えたリックは、早速地面を掘れるドラゴンを探すために、行動を移す。




