32レーナ探索①
魔導装置にて、ヴァンパイアが支配する地下都市に転送されたレーナ。
公爵と格闘をする羽目になった。
その一方、リックとクロは必死にレーナを探索していた。
「レーナは一体どこに?!」
『うう…ママの気配、全然感じない』
リックとクロは途方に暮れていた。
レーナを転送した魔導装置をどれだけ調べても、レーナと同じように転送されるわけではなく、かと言ってレーナの転送場所が分かるわけでもなかった。
完全に手詰まり。
考えろ、考えろ。
何か、手立てはあるはずだ。
リックは必死に頭で解決法を思考する。
魔導装置自体は本で読んだ知識しかない。
でも、その本には魔導装置がどのような原理で動いていて、どのような場所に転送されるかなんて、勿論書いていない。
分かっているのは、大昔の人が作った魔法を発動させる装置。
この「漆黒の森」にあった魔道装置は、人物を転送させるもの。
レーナが魔道装置の中央の紋章を押した途端、消えた。
リックも押してみたが、反応は無い。
レーナには反応して、リックには反応しない。
まさか、この魔道装置は魔人にのみ反応する仕掛けなのか?
魔人だけに反応する…一体、何のために?
魔道装置は地脈から常に魔力を供給しているから魔力切れになることは無い。
「……ん?待てよ」
そこで、思いつく。
魔道装置は地脈によって動いている。
地脈とは、大地に流れる力の放流。
地脈から流れる魔力は膨大だ。
大河は流れる途中で、いくつかの小川に分かれるように。
地脈の魔力の放流も、地面に向けて、小さな魔力の小川が出来ているのだ。
この魔道装置は、その魔力の小川を拾って、常に起動している。
そして、昔の人はこの地脈から模した疑似地脈を作った。
大昔の人はそんなものまで作ったのだ。
街の地面の下に、広大な魔力の通路を作って、それを経由して、街の至る場所に魔力を供給させていた。
今では、再現できない昔の技術。
兎も角、地脈こそが昔の人たちの根幹に一部であったのだ。
因みに、リックがこう言った話を知っているのも、本に書いてあったからだ。
リックは本を読むのが好きである。
それは生まれながらに貧弱で、身体を鍛えても強くならず、実の兄や父のようになれないと幼い頃より自覚しているからこそ、本に逃げたと言った良いかもしれない。
だけど、その本による知識が役に立つかもしれない。
リックの頭の中に、ある仮説が思い浮かぶ。
この魔道装置は、地面の下にある地脈を経由した場所に、レーナを転送しているのではと。
人を転送するほどの大掛かりな魔道装置だ。
ならば、転送場所も地脈付近である可能性が高い。
「クロ、地面の下の地脈を感じれる?」
『え?チミャク?』
クロには、地脈の意味が分からなかったよう。
「そう。地面の下には、大きな魔力が通った道があるんだ。もしかしてた、レーナは地脈が走っている場所に転送されたんじゃないかって」
『う~ん…よく分からないけど、地面の下の大きな魔力の流れを感じればいいんだね』
クロはリックの指示通りに、地脈の流れを感じようとする。
う~ん…と唸りながら、地面を探索する。
暫くして、クロは目を見開く。
『本当だ!確かに、地面のずっと下に、大きな魔力の川がある!』
それが地脈である。
リックには、魔力を感じると言う芸当は出来ないが、黒竜であるクロは、感じ取れるようだ。
「うん、それが地脈だね」
『このチミャクを辿れば、ママがいるの?』
「分からない。でも、いる可能性はある。僕達に出来ることは、それぐらいだから」
『よーし、ママを探すぞ!!』
やる気になったクロは、黒い首を下に向け、地面の下にある地脈を辿ろうとする。
クロの首が左右に触れながら、地面をあっち行ったり、こっち行ったりして、進み始める。
そして、首をぐるりとリック向けて、
『パパ、こっち!こっちにチミャクがある!』
「そっちだね!分かった!」
こうして、リックとクロはレーナ探索を開始する。




