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第792話「まあ、そうだろう。顧問には、たくさんやる事があるだろうからな」

「おう! お疲れ様! 今、扉を開ける!」


ローランドの凛とした声が、扉越しに伝わって来た。


誰かが、扉へ近付く気配がする。


張り巡らされた索敵で、それが誰なのか、リオネルは分かっていた。


そう、立ち上がり、移動し、扉を開けたのは、

ローランドの配下たるサブマスターのブレーズである。


扉が開けば、やはりブレーズ。


向かい合った、ふたりは、とりあえず、あいさつを交わす。


「お疲れ様です、リオネル顧問。ご無沙汰しております」


「お疲れ様です、ブレーズ様。こちらこそ、ご無沙汰しております」


ふたりは、リオネルの夢で度々会い、話し方も、初めて会った時よりも、

格段に柔らかくなっているが……

ここは『公式の場』で、冒険者ギルドの顧問とサブマスターという関係。


ギルドの格で言えば、リオネルが上で言わば上司。


周囲には、第三者たる騎士達も居るから尚更。


なので、さすがに、ブレーズは敬語を使う。


当然、リオネルの呼び方も『顧問』


互いに、いつもの会話とは違い、いかにも、他人行儀ではあるが、

これが世間一般では普通、常識的なのである。


そしてブレーズは、立っているフェリクス専任の騎士へ告げる。


「お疲れ様です。大丈夫ですよ、アロイス殿。ローランド様とリオネル顧問とは、ヒルデガルド様も含め、旧知の間柄。そして、ローランド様のご判断で、貴公達の護衛は不要だとの事。後はお構い無きよう。必要があれば、お呼び致します」


ブレースがそう言うと、アロイスと呼ばれた騎士は柔らかく微笑む。


「ああ、了解した、ブレーズ殿。ローランド閣下の仰る通りであろう」


「お聞き入れ頂き、感謝する」


「いや、側近たる騎士爵の貴殿が、そう申すのであれば、警備上の問題は無かろう。何せ、ドラゴンスレイヤーがおふたりと剣聖の貴方も居るのだからな。では我々は一旦、失礼して撤収し、持ち場でスタンバイするとしよう」


「かたじけない、感謝致します」


という会話の結果、騎士達6人は、

整列し、直立不動で敬礼した後、撤収。


「では、どうぞ、リオネル顧問、ナタリー、ヒルデガルド様達もお入りください」


「ありがとうございます。失礼します。ではナタリーさん、ヒルデガルドさんも、そして全員、入ってください」


リオネルはそう言うと、部屋へ足を踏み入れつつ、一行をいざなった。


一歩、二歩と踏み出したリオネルの後に全員がついて来た。


その顔ぶれを見て、ブレーズが微笑む。


堂々たる体躯の女子、ジゼルことジズに気が付いたようだ。


「ほう! しばらくお会いしない内に、新たな従士が加わったようですな」


「はい、ご紹介致します。ブレーズ様、ナタリーさんも、ローランド様とは初めてお会いするのですよね」


「はい、そうです」


というやりとりをし、リオネルが紹介する形で、

ローランドに既知の者は、

「ご無沙汰しております」というあいさつをし、

初対面のナタリー、ミリアン、そしてブライム、ジゼル、ふたりの従士は、

「初めまして」というあいさつをした。


対して、ローランド、ブレーズが共にあいさつ。


終了すると、全員が各々、割り当てられた椅子へ着席。


そこからは、話が早かった。


当然と言えば、当然である。


リオネルの夢魔法を使い、まずはブレーズと、更にはローランドも加わり、

『下打合せ』は、しっかりと複数回、行われているのだから。


夢の中ではの、証拠の提示さえも。


で、あれば、リオネルとナタリーの説明のみで、質疑応答は、殆ど無いであろう。


但し、改めて、この場で形式的な『手続き』は行わなくてはならない。


という事で、手続き開始!


まずは、リオネルが今回の事件の経緯を簡単に説明。


当事者たるナタリーも説明に同意し、随時証言を行う。


常日頃、ナタリーが、王都の愚連隊蠅団に付きまとわれ、

脅されて、悩んでいた事。


この状況に関しては、ナタリーの書いた日記に近いメモで確認された。


そして王都へ訪ねて来たリオネルが事件を知り、ナタリーから事情を聴き、

調査を行い……


以前、誓約書を提出するに至った『つきまとい事件』から、

冒険者ギルドのクライアントたるデスタン伯爵の三男ガエルが、

黒幕である仮説を立てた事。


そこで、王都支部のギルドマスターと相談し、

ナタリーの勤務形態を変え、出退勤時間も変更した事。


このタイミングで、ギルドマスターから、

リオネルの話通りだという、フォローが入る。


話し手がリオネルへ戻り……


そのようにして、蠅団のつきまとい、脅しを防ぎ、(かわ)しながら、

リオネルが策を講じ、蠅団の本部へ乗り込み奴らを無力化した事。


その際、黒幕はガエルという確たる証拠を握り、

誓約書を交わしていたのにもかかわわらず、

ローランドとの約束を反故にしたのを確認した事。


その件を、ブレーズへ報告した事。


再び、リオネルが策を講じ、蠅団の本部へガエルをおびき出した事。


そして、おびき出したガエルを尋問。

自白させた上、決定的な証拠を握り、同時にその映像も証拠として記録した事。


先にその一部を、ワレバッドのローランドへ届けた事。


ここで、口を開いたのが、ローランドである。


「うむ、確かにリオネル顧問からは、証拠の複製等々を受け取った。内容を確認し、ガエル本人に間違いないと確信したので、王都へやって来たのだ」


憮然とした表情のローランドは、重々しくそう告げたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ローランドは、更に話を続ける。


「今回の件、宰相殿下には、既に私からお話をし、預かった証拠をお見せした。奴らは、私の顔を、潰す形にもなったから、当然、とてもお怒りで憤っていらっしゃった。


で、だ。殿下から、処罰は私に一任するとおっしゃって頂いたし、

一応、評議会にはかけるが、デスタン父子へ重い処罰を課すのは間違いない」


対してリオネル。


「ありがとうございます、閣下。ナタリーさんはいずれ王都を離れ、イエーラへ赴く予定です。それをご考慮して頂き、デスタン父子が、二度と彼女と、そして王都在住の家族にも接触出来ないような処置も、合わせてお願い致します」


「ふむ、ナタリー殿はイエーラへ行くのか。……そうか。成る程、分かった、考慮しよう」


と言ったローランドは、ナタリーへ、優しい眼差しを向ける。


勘の良いローランドは、リオネルとの間柄に気付いたようである。


「ナタリー殿、今回は本当に災難だったな。私が書かせた誓約書も役に立たなかった」


「いえ、侯爵閣下。度々のご尽力ありがとうございます。今回は、リオネル顧問、そして皆様のご尽力のお陰で、難を逃れる事が出来ました。本当に感謝致しております」


「うむ、貴女が無事で何よりだ」


「はい! この通り、無事でございます!」


と、そこへリオネルが言う。


「閣下、度々のご配慮、ありがとうございます。それと、既にお願いしておりますが、自分が無力化した愚連隊の蠅団は、更生の真っ只中です。


既にナタリーさんへ謝罪し、二度と悪事を働かないと誓わせ、約束もさせました。 


そして彼らは、今回の事件解決に向け、全面的に協力もしてくれました。


現在、彼らはモノリスと団名を変え、不法な『しのぎ』を一切やめ、健全な商売と奉仕活動を行っております。


更に公的な奉仕活動もする準備が整っておりますので、それを加味し、閣下のご尽力で司法に働きかけ、処罰にご配慮して頂ければ、助かります」


「ふむ、それも顧問から聞いている。で、彼らの公的な奉仕活動とは、具体的に何をするのか、決まっているのかな?」


「はい、決まっております。無償にて、王都市内の広場、公園、通り等、各所の早朝清掃、そして衛兵隊を助ける形で、昼夜間の巡回を考えており、彼らのテリトリー内では、既に実践しております」


「ほう! 王都市内の早朝清掃と、昼夜間の巡回か」


「はい!」


「ふむ、王都が綺麗になるのは結構な事だし、衛兵隊の目も、この広い王都の隅々までは行き届かず、彼らが巡回すれば、犯罪も減るだろう。それらを無償でやってくれるのならば、王国にとってメリットしかない」


「はい、閣下が、そうおっしゃって頂ければ、ありがたいです。そして公的な奉仕活動と並行し、それらを彼らの商売として成り立たせる算段もついております」


「ほう、清掃と巡回が、彼らの新たな商売か。それが更生させる、という事だな?」


「はい、ですから、出来れば未来永劫という事ではなく、懲役刑同様に、期限を設けて頂ければ、誰にも分かりやすく、処罰という形になると思われます」


「ふむ……成る程。では、10年間、無償で清掃と巡回を行うというのはどうだ? その後は王国から、何らかの形で報酬を出すという事にするのは」


「ありがとうございます! そうして頂ければ、本当に助かります。今は自分が監督者という形で、モノリスへ指導しておりますが、いずれ後任に任せる事になりますので」


「まあ、そうだろう。顧問には、たくさんやる事があるだろうからな」


「……ですね、もろもろご配慮くださり、ありがとうございます」


「いや、礼を言うのは、こちらの方だぞ、顧問。全てにおいて、見事な手際、素晴らしい処置だ。今回は、本当に助かった」


ローランドは、そう言うと、にっこり笑ったのである。

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