戸惑い
「ちょっと待ってくれ」
そう言うと水さんはしゃがんで地面に手を当て、5秒程目を瞑っていた。
「よし、周りには誰も居ないな」
目を開けてそう言うと、また立って僕に説明を始めた。
「拠点に居た時に人少ないなって蓮君と話してただろ?」
「話してましたね」
「どうも俺らの仲間、桔梗様の配下を狙って誰かが襲ってきて、殺されていってるらしくてね。中には狐火隊で上から片手で数えられる程強い人もいた」
「て事は死神が?」
「あぁ。桔梗様もそう睨んでるからひとまず個別で情報共有をね」
死神が…でも今までは襲われた話聞かなかったのにそんな急に…
「て事で蓮君も知っての通り、死神が殺した者の姿と記憶を得ることが出来る。だから今は一人でも多く信頼出来る幹部を桔梗様の傍にって事になってね」
「そうなんですか。頑張って下さい水さん」
「ん?何言ってるの。蓮君もだよ?」
「え?でもさっき幹部をって…」
「そうなんだけど幹部も数人やられてただでさえ人が少ないのに人手不足でね、だから僕みたいなもう半分幹部辞めてるようなやつや蓮君の様に、まだ幹部候補でも信頼出来て強いやつを集めてるんだ」
あ、なーるほど。
「じゃあ幹部になるかどうかの選択肢は」
「もう蓮君は強制だねっ♪」
「はっはっは」
「あっはっはっ」
なんか強制になりそうな気はしてたけど…
拠点に戻る途中で狐の仮面が半分壊れている狐火隊の人に声をかけられた。
「水さん!はぁっ…はぁ。助けてください!相方と二人で居た所を襲われてっ…僕は助けを呼ぶ為に置いてきたんです!お願いします助けて下さい」
そう言うと水さんは悩む様子もなく返事をした。
「わかった。場所はどこだ?」
「この先にある喫茶店の裏側です。人間には見つかりにくい場所なので人間にはバレてないと思います」
「あそこか、わかった。蓮君はこいつを連れて拠点に戻って報告してきてくれ。俺は助けに向かう」
「分かりました」
僕と水さんはそこで別れ、僕は助けを求めて来た人と一緒に拠点へ向かった。
「はあっはぁっ…」
しかしこの人は疲労のせいか、かなり遅かった。
「僕の背中に乗ってください!僕は身体強化系なので速く着けると思います」
「すいません。お願いします」
なんで敬語なんだろ…あ、そうか
「僕は幹部服を来ているだけで新人なので敬語は使わなくていいですよ」
「そうなのかい?とにかくありがとうね」
拠点に戻るとちょうど人が集まっていたところだったのか狐火隊の幹部服の人含め、かなりの数が集まっていた。
「ごめんね、ここまで送ってくれてありがとう。後は自分で歩けるよ」
そして僕達に気付くと一斉に集まってきて、幹部服の一人が話しかけてきた。
「おい!どうしたんだ!大丈夫か?」
「すいません…途中で何者かに襲われて…」
「そうか分かった。おい!何人か俺に着いてきてくれ場所は分かるか?」
「はい、喫茶店の裏側です。水さんも向かってくれてるので多分行けばわかるかと」
「喫茶店…あそこか。分かった伝えてくれてありがとう。そした行くぞ!」
そう言って幹部の人達二人と隊員10数人が向かって行った。
その時ちょうど入れ替わるようにして水さんがやって来て大声で僕達に向かって叫んだ。
「おい!みんな離れろ!そいつは偽物だ!」
「え?何言ってるんですか?」
僕含め隊員達は困惑し、助けを求めて来た人から一斉に距離を取る。
「え?いやいや。何を言ってるんですか水さん…もしかしてお前が死神か?!」
そう今度は助けを求めてきた人が反論をした。
「死神?」
「死神なのか?あの?」
隊員達がそうザワつく。僕もどちらが本物か、どちらの言っていることか真実か分からずに困惑していると
「おいおい。一体なんの騒ぎだい」
そう言って桔梗さんが拠点の奥から出てきた。




