初陣
――あれから僕達は堕天使のいくつもの拠点に攻撃をしかけた。
建物の扉が閉められている場所、能力等で防がれている場所は僕が破壊し、出来た道を通って神無が襲う。
あれ、僕ほぼ何もしてなくねってことは置いておいて。
実際神無は凄かった。僕が動く間もなく相手の骸が床に積み重なって行く。
「そろそろ月が沈む頃だな…蓮今日は帰るか」
拠点に残る強者の喰らう者の骸から血を得ている僕に、神無はそう話しかけてきた。
「もうそんな時間か…分かった」
結局一晩中探し続けたのに見つけられなかった。
「また明日だな」
そんな話をしながら帰路に着こうとしている僕と神無の背後にあいつは突然現れた。
「よぉ。折角こっちから会いに来てやったのにもう帰るのか?」
堕天使のその声に自然と反応をして拳に力を入れ、今にも襲いかからんとする僕を神無が止める。
「おい、先走るな」
そう止めた神無と僕と嘲笑うかのように、堕天使は大きく両手と翼を広げながら
「なんだなんだ、つれねぇな。怖気付いたのか?」
そう言う堕天使の背後から続々と堕天使の配下達が出てくる…いや、僕たちの背後からもだ。
僕が構えていると、神無が小声で話しかけてきた。
「おい、俺の能力だと堕天使の翼とは相性が悪い。周りの雑魚共は俺がやるからお前一人で堕天使をやれ」
「え?僕一人じゃ無理だよ」
「俺もこいつらを倒したらすぐにそっち行くから。頼んだぞ」
そう言って神無は堕天使に、正確には堕天使の周りの配下達に向かって走り出す。
「あぁ、もう!仕方ないな!」
そんな神無につられて僕も走る。
目指すは堕天使の首ただ一つ。
「やれ」
その堕天使の一言で周りの配下達が一斉に動き出す。
先に進んでいる神無を取り囲むように配下達は動いたが、一瞬にしてやられた。
ならば今度は僕をと、僕の背後の配下達が襲い来るが、足を強化している状態の僕の速さには追いつけない。
神無のお陰ですぐに僕の全力の拳は堕天使に届いた。
しかし堕天使は翼を重ね、盾のようにして僕の攻撃を軽々と防いだ。
そして余裕だと言わんばかりに話し始める
「で、お前らは誰だ。何のために俺様に喧嘩を仕掛ける」
「そんなの決まってるだろ!菫さん、そして僕の両親の仇だ!」
「人違いだと思うが、まぁいいこっちもここまでやられて引っ込む訳にはいかんからな。とことんやってやるよ」
こいつ
「ふざけるなっ!」
そんな会話をしている間も僕の攻撃を何度も軽々と防いでくる。あぁ、もうほんとに腹の立つ野郎だ。
「僕の顔すら覚えてないのかお前は!」
「…あぁ、生憎全く。知り合いだったかな?」
「お前は僕の親を殺し、更に僕を喰らう者にした!ここまで言ってもシラを切るのか?」
「お前、誰かと勘違いしてるんじゃねぇのか」
「そんな訳ないだろう!その翼、その顔を忘れた日は一度もない!」
「そうかそうか。だからどうなる。お前は俺様より弱い、お前の話なら俺様はお前を折角喰らう者にしてやって、まだ生きられるのに無駄死にだな」
「僕はお前に復讐する為だけに鍛えてきたんだ、ここで死んだって構いはしない!」
「そうかそうか、なら死ね!」
そう言って今度は翼の一本を刀の様に僕の腕目掛けて動かしてきた。
「ほぅ、これを防ぐのか」
防げはしたが、堕天使に向けて何度も拳を放つうちに拳に体重をかけすぎていたのか、そのまま僕の体は翼とは反対の方向に居る配下達にぶつかる程吹き飛んだ。
少し距離が出来たので堕天使の方を見ると、いつの間にか周りの配下達は離れていた。神無の方へ行っているのもあるが、それでも異常に離れている。
いつの間にか僕の周りの配下もついさっきは居たのに自然と離れて行った。




