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心喰い  作者: ラム肉
第一章
14/35

化け物…僕が?


確かに僕は喰らう者。そう考えると化け物かもしれない。

しかし人間からは人間と喰らう者の見分けは付かない。しかも助けた人間に対して化け物?…


色々な事を考えながら少し固まっていると、女の一人が持っていたスマホの画面に僕の姿が映った。


目元にはクマがあり、顔は疲労でかやつれている。

その上街灯の光のせいで顔に影ができ、さらに不気味に見える。


「化け物…化け物か…ふふっ、ははははっ」


確かに。僕からしたら僕を化け物とは思わないけど、この姿なら僕を知らない人からすると化け物だな。


僕の中で何かが吹っ切れた気がした。


そして次の瞬間僕は目の前の女二人の頭を、拳で吹き飛ばしていた。今回は意図的にだ。


何か言っていた気がするが、気にはならなかった。やっぱり今の僕は人間じゃないらしい。


罪だなんだは死んで償わせられるなら償おう。

僕は僕だ。

ならば人間どうこうや喰らう者どうこう何て関係ない。

僕は僕の生き方で。

目標に向かって生きたいように生きる。それが僕の人生だ。


たとえそんな僕でも月明かりは変わらず照らしてくれる。

月が昇り、僕を照らし続ける限り生きて見せよう、いつまでも。


勿体ないので人間の血を吸おうと思ったが、すぐに血が出なくなってしまった。思えば僕はまだ自分の血の入れ方を教わってなかったな。


(今度聞かないとな)


だが、少量ではあったが初めて得た純粋な人間の血は僕の身体中に巡り、僕の力となる感覚があった。


――ガチャ


「ただいま帰りました」


拠点に帰ると、ちょうど菫さんが玄関付近の掃除をしていて出迎えてくれた。


「お、おかえりー」


すると菫さんは僕の顔を、ジッと見てから。


「うん、すっきりしたみたいだね。元の君の顔に戻ってる」


「そうですか?」


「そうそう。出て行く前の君は死人かと思うくらいの顔だったよー存在は死人みたいなもんだけど」


「そうですか」


…え、存在が死人?


「…存在が?」


「んふふ、冗談だよ冗談。反応が出来るくらい元気になって良かったよ」


「…ありがとうございます」


その後少し話をしてから部屋に戻った。


拠点を出る前は何も思わなかったけど、この部屋はこんなに暗かったのか…


僕も菫さんを見習って部屋の掃除をしていると、掃除が終わる頃に神無が帰ってきた。


「おかえりー」


「ん、ただいま」


玄関の方からそんな声がする。

すると今度は足音が僕の居る部屋へと近付いてきた。


「お、蓮帰ってきてたのか。悩みは解決したらしいな」


「神無のおかげだよ。ありがとう」


「俺は何もしてねぇ。問題を解決したのはお前だ、気にすんな」


なんか、面と向かってお礼を言うと恥ずかしいな…


「よし、そしたら俺はまた暫く外をうろつこうかな。蓮の事任せていいか菫?」


「はいはい。1ヶ月までだよ?」


いつの間にか部屋の前に来ていた菫さんも返事をする。


「んじゃ行ってくる」


この日は出ていく神無を見送ってから眠りについた。

今寝ているのは別に疲れたからじゃない。ただ何となく寝たい気分だったから。


この時僕は、神無との再会があんなに早くに訪れるとは、思ってもみなかった。

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