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第38話 魔導銃とは



「兄貴……なんかお疲れですか?」


 開発部にやってきた俺を迎え入れてくれたオスカーが目を瞠りながら尋ねてくる。


 そんなに疲れたような顔をしているのかな?


「いや、問題ない。それより時間を取らせてすまないな」


 昨日の夜は……まぁ、色々と大変だった。


 おれはがんばった。


 それはそうと本日俺が開発部に来たのは、ミルオース中央皇国の主兵装である魔導銃について話を聞く為だ。


 もっと早くに聞いとけよって感じではあるが、魔導銃解析の担当者であるオスカーと俺の予定が上手く合わなかったのだ。


 というか、オスカーが忙し過ぎてね……。


 船団が出発するまでは、打ち合わせやら各種魔道具の作成やら書類作成やらなんやらかんやら……そしてそれ以降も研究とか実験とかで中々纏まった時間ができず、偶にぽっかりオスカーの時間が空いても俺の方が忙しかったりとタイミングが合わなかったのだ。


「いえ、こちらこそ、中々時間が取れなくて申し訳なく……」


「くくっ……気にするな。オスカーに任せている仕事は大事なものだからな。そちらを優先してくれる方が俺としてはありがたい」


 本当に話を聞かないとヤバいって状況だったらちょっと無理してもらうと思うけど、現状そこまで急がなくていいからね。


 なんせ馬車の旅はまだまだ続くし、それが終わってたとしても魔導銃とやり合うまでにはまだ結構時間がある。


 それにまぁ、俺自身が魔導銃についてそこまで深い知識は必要としていないってのも大きいよね。


 今回はキリク・イルミット監修のミルオース中央皇国わからせ計画だ。


 覇王の出番はそんなに多くないし、俺が直接指示を出すことも……多分殆ど無い。


「へへっ、兄貴に拾われて五年……細かい仕事は色々やってきましたが、ようやく最初の頃に頼まれていた鉄道を作る目途が立ちましたからね。今はもう試算、試作、実験の日々ですよ」


「あぁ、フィオからも聞いている。皆随分と熱中しているようだな」


「いやぁ、今滅茶苦茶楽しいですからね!長年上手くいかなかったところが解決したおかげで、今までの蓄積も花開いたというか……色んな所が一気に進みだしたって感じで!」


 大興奮って感じのオスカーだけど、これはオスカーだけじゃなく開発部の皆がこんな感じらしい。


 まぁ、あまり根を詰めすぎないようにしてほしくはあるけど、とにかく楽しいって感じだから中々いうことを聞いて貰えないというか……フィオもそうだけど、仕事ってよりも趣味って感じが強いんだよね、開発部関係のみんなって。


 趣味だろうと何だろうと疲労は普通にするんだよ……?


 ……多分、体よりも精神的な疲労度が違うんだろうな。


 嫌な仕事は精神を消耗するけど、趣味って思っちゃうと……充足感が違うというか。


 勿論、仕事にそういうものを覚える人も少なからずいるけど、俺はどうしてもそういう感覚になれないかなぁ。


「体には気を付けろよ?お前……いや、ここにいる研究開発部の皆は替えの利かない優秀な人材だ。何より、体力的にも精神的にも充足してこそいい仕事ができるってもんだ」


「うっス。フィルオーネ様がここから何度も引っ張り出されるところを見てますからね……休みはしっかりとります」


 うん……まぁ、フィオは……うちの子たちが厳しく監視しているというか、俺がしっかり休みを取らせるように厳命してるからね。


「くくっ……そうしてくれ。俺も開発部に兵を突入させて強制的に休ませるようなことはしたくないからな」


 俺が笑いながらいうと、オスカーが微妙に顏を引きつらせる。


「さて、お前も早く作業に戻りたいだろうし、用件を済ませてしまうとするか」


 俺がそう言うと、オスカーが苦笑しながら資料を広げる。


「じゃぁ、早速説明……と行きたいところですが、兄貴は別に細かい技術的な話を聞きたいって訳じゃないですよね?」


「そうだな。その辺りは俺が聞いても理解出来ないだろう?まぁ、気にならないと言えば嘘にはなるが」


「兄貴は発想力が凄いですからね。フィルオーネ様もオトノハ様も大絶賛するくらい……」


「くくっ……俺のはただ思い付いただけで、それを現実のものとしてくれるお前たちの方が、俺からすれば何十倍も凄いと思うぞ?」


 俺が思いついたものじゃなく、記憶の中にある便利そうなものを口に出してるだけだから、正直一欠けらも凄くない我覇王ですし。


「その最初の発想ってのが一番難しいんですけどね……」


 オスカーが困ったような笑みを浮かべながら言うけど、俺のはズルなので気にしないで下さい。


 それが難しいってことは俺も知ってます。


「とりあえず、俺が気になるところを質問して、それを答えてもらうという風にするか」


「了解です」


「じゃぁ、まずは威力……それから連射性を聞きたい」


 そんな感じで魔導銃について俺が質問を始めると、オスカーは淀みなく答えてくれる。


 手元にある資料に目を落とすことはなく、すべて頭の中にデータが入っているらしい……さすが主人公。


 スペックが凄まじい。


 しかし……魔導銃か。


 思った以上に厄介な武器みたいだね。


 魔法を使えない一般兵でも魔法による攻撃や防御を可能とする銃。


 まぁ魔法を撃ち出すわけだから、感覚的には銃っていうより杖って感じだけど……魔法使いじゃなくても魔法を撃ち出せるってのが凄いよね。


 それと、誰が使っても同じ威力ってのがまた凄い。


 魔力の多寡は関係なく一定の威力……兵器としては最高というか、戦術を考える上でこれ程計算しやすいものはないよね。


 勿論突出した火力ってのも大事だとは思うけど、一般の兵の扱う武器としては常に同じ威力を約束されているってのは本当に素晴らしい話だ。


 そしてその威力もまた馬鹿にならない。


 一般的な兵であれば一発で数人は行動不能に出来るくらいの威力。


 うちの召喚兵……リーンフェリアが呼び出した召喚兵でも無防備に十発前後くらえばやられてしまう。


 連射性能はそこまで高くない……というかきっぱり悪い。


 火縄銃に比べれば断然早く次弾が撃てるみたいだけど、それでも一度撃った後に十秒程度のクールタイムが必要なようだ。


 弾込めの時間とかではなく、暴発防止の安全装置によるものらしい。


 連射すると爆発か……あまり持ちたくないね。


 しかし、その点をクリアできれば連射が可能ってことだし、今後もっと恐るべき兵器になる可能性を秘めている。


 いや、現時点でも恐るべき兵器か。


 なんせ、ミルオース中央皇国はこれの量産化に成功している訳だからね。


 今回うちに来た千名程度……その全員が戦闘要員という訳ではないけど、それでもほぼ全員に魔導銃を配備していた。


 千人で斉射してくれば……相当な大火力になる。


 下手すればそれだけで数千の被害を出せるし、召喚兵も百体……ぼっ立ち状態で喰らえば消し飛ぶ。


 ……連中がでかい顔する訳だよね。


 射程は弓よりも短くこの世界の魔法と同じ射程ってことだけど、詠唱とかが必要ない分魔導銃の方が早いし小回りが利く。


 十秒のクールタイムも……それこそ、三段撃ちみたいにすればいいしね。


 弾込めが必要ない分、鉄砲三段撃ちより遥かに簡単だろうし……うん、やっぱミルオース中央皇国の軍、強いわ。


 まぁ、そんな魔導銃をもってしてもまだ英雄には届かないみたいだけどね。


 それに一般兵同士の戦いも、弓の射程の方が長いから反撃もさせずに一方的に……というのはなかなか難しいだろう。


 まぁ、その辺の対策はそこまで難しくはない。


 弓は盾で防げるしね。


 そして銃の射程内に近づけば、魔法兵とは比べ物にならない数の魔法の雨を降らせることができると……エインヘリアだからこそどうとでも対処できるけど、例えば俺がスラージアン帝国のトップだったら……『至天』にお願いするくらいしか対策が思いつかないな。


 火縄銃と違って雨でも使えるし……なんかでかい罠……水攻めとか火攻めとか……後は儀式魔法で吹っ飛ばすとか?


 ダメだ、全然対抗策が思いつかん。


 まぁ……別にいいか。


 俺が連中と相対する時は、当然共に戦ってくれるのはうちの子たちだからね。


 逆にどんな采配でも対応できる。


 というか「よろしく」の一言で済む……頼む相手も、まぁ戦場にいる子なら誰でも大丈夫だ。


 つくづく、うちの子たちは無敵だなぁ。





ヨヤクミッテマシター


すみません!



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