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相棒のスライムを連れて  作者: 野生のスライム
四騎士の塔
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異例の遺跡

……んぁ?(一週間)

ごめん、次章のこと考えてた。

王都来て二日目なのに、これじゃあ『四騎士の塔』が長過ぎる。

ので、予定していた進路を変更し、面舵一杯!

 


「さーて、じゃあまず今日、この後のことなんだけど」


 そう言うトトは、器の中から果実を適当に摘まみ上げ、口内に放り込んだ。その傍ら、テーブルの上にはトトの従魔がいて、器用に前肢で果物を持ってかじりついている。

 ゴネットは肩に乗せたパリト君と一緒に、パンを半分に分けて話を聞いていた。


「丁度良いし、私がゴネット君。ショーンがマテル君って形で行動しない?」


 何が丁度良いのか、という問いは不要なものだろう。『一対二』が『二対二』となったのだから、誰が見ようと丁度良い割合だ。


 昨日、四騎士であるトトが僕と行動していた理由は、トトの雇い主でもある国の最上位、国王様が僕を呼んだからである。そのときのトトとの関係を明確化すれば、僕はトトの上司の客人であり、トトはそんな客人の護衛であった。

 そして、仕事内容を考えても、僕がトトに護衛をされる正統性は謁見の終わりまでだ。つまり、今日から自由行動をする僕に、トトが付き添う意味がない。まぁ、昨日最も一緒にいたのはアーリさんなのだけれど、それでもアーリさんは「お前は護衛だ」とトトに言っていた。


 ゴネットがトトの担当する塔を引き継ぐと約束した以上、二人は一緒に行動することが多くなるだろうとは予想していた。明言はされていないけど、ショーンも後継者に実習をさせているみたいだし、トトもゴネットに教えることがあるだろう。

 するとだ。簡単な足し算と引き算が発生する。三人組みの内、二人が足し算されると、残った一人は引き算されるのだ。根本の目的が違うから目的が一緒になれない。

 ゴネットは四騎士に、トトはそれを導き、僕は次の旅の準備やそれに並行して王都を観光。どうしても二人と分かれるから『一対二』。


 朝起きた時点では、そう考えていた。別に僕は一人でも大丈夫だとは思っている。道が分からなくなって迷子になったり、そもそも目指す場所がどこにあるのか知らないことを気にしなければ、一人でも大丈夫だ。

 だから、予想外にもそういった心配のない『二対二』となったのは、幸運だったのだろう。もうほぼほぼ無職なショーンであれば、僕と行動したって弊害は少ないだろうし、多少なり道は知っていそうだからだ。


「ふむ、僕は構わないけどね。どうだい、マテル?」

「うん、むしろこっちから頼みたかったくらいだから、全然問題なし!」


 今日も今日とて困難はなんとかなりそうだ。僕はそう感じる。もしかして誰かが仕組んでるのでは、と疑うほどだ。まぁ、そんなことはないのだろうけど。


「んじゃぁ、今日の予定は俺とトトが塔に行く感じか」

「そうゆうこと」


 そんなゴネットとトトの会話の中、パリト君はパンを食べ終わり、おもむろにテーブルの上へと進出する。そこで、パリト君と目が合うのはネズミ、つまりはトトの従魔だ。

 ゆったりと、しかし確実に、パリト君はトトの従魔の方へ歩み出す。トトの従魔は果実を食べながら、逃げることもせず、じっと迫り来るパリト君を眺めていた。

 やがて、パリト君はトトの従魔の前で座る。尻尾を左右に揺らしながら、爬虫類特有の眼孔でトトの従魔を直視し続けていた。


 そんな状況を観察する僕は、その面白そうな光景から目を逸らすことなく、ショーンに話し掛ける。


「ショーンはさ、魔物の素材を売買するところがどこにあるか知ってる?」

「あぁ知ってるとも。狩人にでもなるつもりかい?」

「できればね。僕は旅をしたいから、それで生計を立てたいなって」


 膠着状態であった二匹は、トトの従魔が動くことによって状況が変化した。しかし、逃げるわけでもなく、トトの従魔は器の中へ潜り込み、果物を一つだけ押し出して帰ってきた。それをパリト君の前に転がして持っていく様子に、何をするつもりなのかと僕は小首を傾げる。

 トトの従魔は「キュッキュッ」と、パリト君に向かって鳴いていた。きっと何かしら意味がある鳴き声だったのだろう。パリト君も返事をするように鳴いて、二匹の間で何らかのやり取りが繰り広げられていた。


「旅か。良いね。見聞を広めるも良し、他文化の娯楽を求めるも良し」


 果物をペシペシと叩いて見せるトトの従魔に、パリト君は首を振る。それから幾度か、やはり会話のようなやり取りが続けられ、パリト君がその果物をヒョイッと咥え、呑み込んだ。

 トトの従魔はフスーっと鼻息を吐いて、器の中へ行き、それから出てくることはなかった。

 パリト君もパリト君で、喉を唸らせるとゴネットの肩へと戻っていった。

 端から見るに、二匹は仲良くなれなかったようだ。残念だね。


「ところで、マテル。君は『遺跡』を知っているかな?」


 二匹の膠着状態が解かれてから割りと話が頭に入ってこなかったのだけれど、僕の名前を呼ばれてから咄嗟に意識を向けた。

 そして、ショーンの話に僕は頷く。遺跡という単語は歴史の授業でも聞かされる話であり、当然知っている。それに至るまでのショーンの話は知らないけど。


 この世界にはいくつか、『遺跡』と呼ばれる建造物が存在する。それは過去に滅んだとされる文明の証だ。その多くは謎に満ちていて、出土するものから現代でも再現できないような、時代錯誤な技術を持っていたと考えられている。

 しかし、それでもその文明は滅んだ。滅んで以降、いくつかの低迷期を経て、人魔大戦時代へ突入したとされている。つまり、過去の文明は現代に残された謎であり、遺跡とは過去を探る手掛かりでもある。そんな話を僕は習った。

 如何せん解き明かされていないことが多く、故に授業で教わることは更に少ない。僕が知っているのはこの程度のものだ。


「実はね」


 だからショーンの言葉には耳を疑った。というか、あまりにも現実に則していないように思えてしまった。


「最近、そんな遺跡がこの都市の近くに来ている(・・・・)そうなんだ」


 まるで生き物の話をするように、ショーンは遺跡の話をする。きっと聞き間違えだろうなと、けれどはっきりと聞こえてしまった言葉を、僕は拾い上げる。


「来ている?」

「そう、不定期かつ、不規則に移動する巨大で歪な長方体の遺跡。先月調査団が結成されて軽く調べたらしいけど、中は獣と魔物の巣窟だったらしい」


 ショーンが伝手で聞いたと言う話によれば、遺跡自体にも価値があるから、壁を壊して調べていく方法は取れず、現在は有志を募集中なんだとか。

 遺跡がどういった原理で動いているのかも不明。遺跡が動く不定期の日は、一日で僅かしか動くことはなく、しかも一日掛けて僅かにしか動かない。内部構造は現在のところ調べられないが、外から見ると遺跡を引きずるようにして進んでいるらしい。


「中は複雑に入り組んでいるそうだけど、そういったものは大抵、侵入者の妨害をするためにある」

「つまり?」

「大昔の宝物殿の可能性があるってことさ」


 事実、空っぽだったそうだが、入り口付近の通路では放り出されるようにして、宝箱らしき小さな箱が見つかったという。過去に侵入した何者かが中身を抜いて放置したのだろうというのが調査団の見解らしい。


「けれど、表で財宝が発見されたという話を僕は聞いたことがない。移動する遺跡については都市伝説のような扱いだったけどね」

「へぇ」


 少し、僕は驚いた。移動する遺跡だと言うのだから、ある程度の国がその存在を確認していてもおかしくはないと思っていたからだ。国境の問題があったとしても、既に遺跡が国境内に入った国が調査をしているものだと考えていた。

 いや、正確にはもうフィシアムが調査を進めているらしいのだけど、話を聞くだけの僕からしたら今更過ぎるように思えたのだ。人魔大戦時代以降、二百年以上経っているというのに、発見されたのが最近で、現在調査をされている。

 発見前が都市伝説ってことは、存在自体が疑われていたのだろうか。まぁ、僕も移動する遺跡なんて聞いたことがなかったから、本当に知られていなかった、もしくは国が情報を隠していたとか。

 ともかく、その辺りの疑問が僕には芽生えた。


「それで、ショーンは何が言いたいの?」


 何分遺跡に切り替わる前の話を聞いていなかったのが痛かった。それでも急に遺跡の話になったことは理解しているから、そんな話を持ち出してきた理由を知りたかった。

 僕が問い質したショーンは、まるで待ってましたと言わんばかりに笑みを浮かべる。その顔はなんとなく、僕の数少ない友達の一人を連想させた。昔、ゴネットを助けるためにいじめっこをどう懲らしめるかと、悪巧みを一緒にした友達のような、そんな顔。


「早い話が、僕は宝探しをしたいのさ」


 けれど、放たれた言葉は無邪気な内容であった。子供の頃にやっていた宝探しを本格的にするのなら、ああいった感覚になるのだろうなと、ショーンを見て僕は密かに思う。






ちなみに、最近更新からのPVの伸びが良いので気になっていたんですけど、

私が評価くれくれお化けになったら評価増えたりしますかね?

ほら、評価童貞と言いますか、うっかり評価をし忘れていませんか?

あんまりしつこくは言わないですけど、言われないと気づかない人っていますから(主に私)

もし忘れているようなら、モチベ維持にご協力下さい。※更新頻度が上がるとは言わないです。


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