届くことのない怪盗への手掛かり
グラブルは四象、新マグナ
そして待ち受けるカツオ。
fgoはぐだぐだイベ終わった
と、思ったらサバフェス復刻。
おいおい、書く時間どうするよ。
何でこんなところに僕はいるんだろう。
落ち着いて、冷静になって、客観的にそんなことを思う。僕とゴネットが運良くアーリさんに助けられてから、事の成り行きが想像もしていない方向に進んでいるのだ。
魔物を倒して、お金にして、王都を観光して。そんな大雑把な予定すら成し得ていないまま、何で僕は王城なんかにいるんだろう。何で僕は玉座の境界線を越えて一人で歩いてきたんだろう。そういった今までの疑問が、一人になった今、甦る。
けれど、それもこれも、既に答えはあった。王様が呼んだから僕はここにいる。会ったこともない王様だけど、それでも王様だから、誘いを断れば不敬だってアーリさんは言う。僕にはどうしようもない一本道で、今ここにいるのは仕方のないことなのだろう。むしろ、ここからどこかへ逃げ出してしまえば、それこそ色んな問題があるかもしれない。家出した僕が言えたことではないけれど。
結局、納得のいく帰結は得られるわけがないのだ。だってまだ途中経過でしかないから、結論に達する前に結果を出そうなんて、できるわけがない。
どうして僕のことを知っているのだろう。どうして僕にだけ会いたいのだろう。そうした僕の思う「何で」は、王様に会わないと知るよしもないのだ。だから今は、「分からない」が正解。
うん、随分前に僕が出した答えだ。いくら考えたって凡人の僕には答えを変えられない。だからこの両扉の前で、ノックができず立ち竦んでいるのも、僕が凡人であるが故に致し方なし。
「大丈夫だよね? 白、扉を叩いて怒られないかな?」
ちょっとした傷だってつけようものなら、何十枚かの金貨の損失になりそうな両扉に、僕がノックできないのは金銭感覚が庶民だからだろう。向こう側にフィシアム王国最高権力者がいるというのも要因だ。
聞いても無意味な白に小声で問い掛け、勇気を蓄えることにした僕は、やはり端から見れば不審者か何かなのだろう。だから何でここにいるんだろうって、再三疑問を繰り返す。主観的な答えはあるけど、客観的な答えがないから、自信が持てなくて仕方ない。本当に僕、ここに入ってもいいんだよね?
「……失礼します」
覚悟を決めて、僕はノックをする。扉越しにも聞こえるような声を出したから、もう退くことはできない。扉はやや重たくて、緊張のせいかもしれないけれど、僕はおもむろに扉を開いた。
そこは広い部屋だった。謁見の間ほどではないが、一人で住むには充分な空間に見える。家具だって、絵本で見るような天蓋付きのベッドだとか、磨き抜かれた木製の机だとか、一つ一つが触りたくないほどに綺麗だった。もしかしたらあそこの本棚だって、沢山詰まっている本の一冊だけでも僕以上の価値があるのかもしれない。
側壁には歴代のフィシアム王国を治めた勇姿、国王の肖像画が飾られていた。
そうして、僕が部屋に入って、これ以上突き進んで良いものかと悩んでいると、声を掛けられた。
目の前だ。僕が立つ扉から反対側、つまりは真っ直ぐ向こうの窓を背に、椅子にもたれ掛かった人がいた。四十か、五十代くらいに見える男性だ。彼は僕の方を見て、困っていることを悟ったのだろう。
「そこの椅子に座りなさい。遠慮はしなくていい。儂はただの爺とでも思いなさい」
しわがれた、穏やかで優しい声だった。彼の言う椅子とは、やはり僕の目の前にあるそれのことなのだろう。彼と向き合うような形でポツンと配置された椅子は、座面にクッションのようなものがついていて、座ると柔らかさが伝わってきた。
「さて、マテルよ。儂は二つ、そなたに聞きたい話があってな。その為にここへ呼び出させた」
先と変わらず、ゆったりと述べられる言葉だが、話される内容は僕が聞きたいことなのだろう。
彼は、いや、教科書でも描かれていた肖像画とそっくりな、現フィシアム国王陛下は僕に問う。
「まず、旅はどうだった? 外に期待していたものはあったか?」
「え? えっと……」
少し、おかしな感じがした。その質問は明確に僕に違和感を与えた。だから予想外に近いそれに、僕は戸惑って解答が遅れる。
「はい。少なくともセパリヌに居続けていては気づけないことを知れました」
魔物の脅威、飲み物や食べ物の重要性、それらを加味した自分の甘さ。アーリさんが来たからこそ後悔する旅にはならなかったけれど、偶然は続かないから偶然なのだ。だから、早くに自分の甘さを知れたのは運が良かったのかもしれない。
そして、白のこと、王都の風景、王城で働く人達。気づいたこと、見たこと、知れたこと。テントを張る競争や、ラナーの障害物競争。二日間での内容は、今までの人生で一、二を争うくらい濃いものだった。だから僕はこの旅に、期待以上に楽しくて、辛くて、それでも良かったと胸を張って言える。
「そうか」
国王様はゆっくりと息を吐いて、一度目を閉じると、そう言った。いったい何を考えているのだろうと、そう思う以前に、僕はなぜ国王様が旅のことを知っているのだろうかと気になった。アーリさん経由で知らせたにしても、それを問う意味が分からなかった。
やがて、国王様は切り替えるように、片手で目元を上げる。その手が肘掛けに戻っていくと、国王様も元の様相に戻っていた。
「次に、そなたの祖父についてだ」
「はい」
「父方、母方、どちらも健勝か?」
ははーん、これは、なるほど、そういうことかと、質問の意味を僕は理解する。
僕は幼少の頃、父方のお爺ちゃんによく可愛がられていた。何分子供の頃だから、お爺ちゃんが何の仕事をしているのか、全く聞いたことがなかったけれど、旅云々の話はよく聞いてもらっていた。
つまり、僕も知らなかっただけで、ゴネットと似たような立ち位置にいたのかもしれない。そうなると、お爺ちゃんは国王様と何かしらの繋がりがあって、きっと少なからず友好的な関係なのだろう。だから手紙のやり取りだとかで僕のことを国王様が知っていてもおかしくないし、聡いお爺ちゃんなら成人式の翌日には僕が旅に出るだろうことも予測できるかもしれない。
あぁ、もしかしたら、アーリさんが助けに来たのだって、お爺ちゃんが心配して、国王様に無理を言って、四騎士のアーリさんをセパリヌ方面に派遣したとか。うん、点と点、偶然と思っていたものが線になってきた。
そういえば、アーリさんが僕とゴネットを王都に送ろうかというときに、「君達が負担を背負うことはない」と言っていた。今になって思えば、それってつまり、僕ら以外で負担を背負った人がいるってことなんだよね。帰った日にはお爺ちゃんにお礼を言おう。
「父方の祖父は元気に過ごしています」
毎年、僕の誕生日に手紙を送ってくれるのが元気な証拠だ。今年、じゃなくて、去年にもお婆ちゃんと一緒に書いたらしい、筆跡が二種類の手紙が送られてきた。今は帝国に引っ越したようで、年金の言葉を知ったのは手紙に書かれていたからだ。まぁ、引っ越して早々に年金は貰えないらしくて、年甲斐もなく泣いたとかなんとか。お爺ちゃん、考えれば当たり前だよね。
「ふむ、して、母方は?」
これは、どうなのだろう。国王様は母方のお爺ちゃんとも面識があるのだろうか。でも、僕はなんとも言えない。僕は母方のお爺ちゃんと面識がないからだ。というか、母さんの親戚は二人しか会ったことがない。懐かしい名前だけれど、メイ姉さんと、その母、マーサさんだ。昔はよくメイ姉さんと一緒に遊んでたなぁ。
で、母方のお爺ちゃん。どうして僕は面識がないのかというと。
「母方の祖父は、僕が産まれる前に亡くなられたと聞いています」
「ごふッ……」
「だ、大丈夫ですかッ!?」
やはり国王様は面識があったのだろう。そして知らなかったらしい。余程のショックなのか、机に突っ伏して起き上がらない。でも近づくのは身分の差が怖いから、僕は椅子から立ち上がって右往左往するしかできなかった。
しかし、見える様子からは、声を殺して泣いているのか、震えているだけで、駆け寄る心配はいらないようであった。だから僕は狼狽えた両手を取り敢えず下げて、椅子に座った。泣くときは思う存分、一人で泣くのが良いと思ったからだ。
そこで、この部屋の側面に僕は目を移す。国王様が顔を上げたとき、目が合ったらどうすればいいか分からないからだ。少なくとも僕は、泣いている姿を見られたくないから、国王様から目を離した。
観察するのは歴代のフィシアム王の肖像画。一番右端に目の前の、当代そっくりの肖像画があって、左にいくに連れて遡る形となっていた。
それで、僕はスーッと視線を動かして、今までの肖像画を眺めていた。軽く興味が湧いたからだ。だから当代から順に、四代目、三代目、二代目、初代と一つずつ見て、左端まで来た。左端まで来ると、僕はとあることが引っ掛かる。
(あの初代フィシアム王の顔、どこかで……)
確か、初代フィシアム王の肖像画模写は教科書にも載っていたような気がしないでもないけど、それほど昔ではなくて、つい先程も同じような感覚を僕は覚えていたはずだ。
「……あっ」
そうだ。確かに僕は知っていた。言われたら間違いようもない。誰もが知らぬ名よりも初代だと答えよう。けれど、それはありえるのだろうか。いや、事実ありえているのだから疑うことでもないのだけれど。
まさか、初代フィシアム王と怪盗ホートスが瓜二つだなんて。
さーて、ようやくマテル周りや、怪盗ホートスが進展を見せました。
ゴネットの方はどうしよう。
ある程度マテルが終わったら三人称でゴネット主軸にしようかな。




