第6話:雨降って地固まる、そして天才からの『カオス』な招待状
第6話までお読みいただき、ありがとうございました!
お互いのプロフェッショナルさを認め合った瞬間の4人の爆笑、最高でしたね……!
しかし、ホッとしたのも束の間、まさかの謎の天才クリエイター『T×3』からのとんでもないオファーが舞い込みました。男4人で「男二人、女三人」のキャラをどう演じ分けるのか!?
フラワーボーイズの、想像もつかない新章(2.5次元声優ユニット編)がここから始まります!
「続きが気になる!」「しょうたの不敵な笑み、ゾクゾクした!」と思ってくださった方は、ぜひページ下部の【ブックマーク登録】や【評価(☆☆☆☆☆を★★★★★に!)】で応援していただけると、執筆のめちゃくちゃ大きな励みになります!
次回、新章開幕。お楽しみに!
――地獄、という言葉以外にこの状況を表す語彙を、俺は持ち合わせていなかった。
「あー、えっと……。は、張り切っていきましょう。カメラ、回ってまーす……」
「たくみ、声が小さいよ! もっと張れ! あとカメラの手ブレが酷くて酔うわ!」
たけるのデスクに座り、慣れない編集ソフトの画面と格闘しているのはかずとさんだ。カメラを構えるたくみの指示はシュールすぎて誰も動けず、進行役を務めるはずの二人は開始十分で完全に脳のキャパシティを超えていた。
「(シルクハットを深く被り直して)……フッ、これが一万円札の輝きさ。貧乏人ども、ひれ伏すがいい……」
カメラの前で冷や汗をダラダラと流しながら、死ぬほど面白くない成金ボケをかましているのは――他でもない、俺、たけるだった。
レンズを向けられ、「さあ、笑いを取れ」という無言のプレッシャーに晒されるのが、これほど恐ろしいものだとは思わなかった。大声を出しようにも喉が詰まり、かずとさんのような爆発力も、たくみのような独特の間も、何一つ再現できない。頭が真っ白になり、ただただ虚しい時間が部屋を支配していく。
「……はい、カット。一回止めよう」
特等席で見守っていたリーダーのしょうたが、苦笑いを浮かべて手を叩いた。
撮影開始から三時間。全員のポジションを完全にシャッフルして出来上がったのは、誰の良さも一ミリも出ていない、壊滅的につまらない、一文の価値もないゴミ動画だった。
「……嘘、だろ」
かずとさんが、俺の椅子に背中を預けたまま、天井を見上げて呆然と呟く。キーボードを叩き始めてわずか十分で、俺が毎日やっている「ゼロ点一秒の間を詰める作業」の果てしなさに脳がバーストしたのだ。
「人を笑わせるって……あんなカメラの前で張り続けるって、こんなにキツいんだな。俺、絶対に無理だわ……」
かずとさんは床にへたり込み、情けなく本音を漏らした。演者というステージの上が、これほど孤独で過酷な戦場だなんて、レンズの向こう側にいたときは気付きもしなかったのだろう。
「俺たちこそ、たけるの編集の魔法がなきゃ、ただの痛くてうるさい奴だった。マジで今まで悪かった。俺たちには、たけるの裏方が絶対に必要だ」
「俺も、たけるさんのツッコミがあるから、安心して原始人になれてました。すみません」
二人が、俺に向かって深々と頭を下げる。
あまりにも悲惨なゴミ動画の出来栄えと、お互いの不器用すぎる姿に、俺の胸の奥のトゲが、すうっと消えていくのが分かった。
「……ふっ、あはははは!」
俺が思わず吹き出すと、それを合図にしたように、部屋中にドッと大爆笑が巻き起こった。
「やっぱりさ、それぞれの適所じゃないと、自分は引き立たないよな!」
しょうたがニヤリと笑い、俺たちの背中を力強く叩く。
お互いのプロフェッショナルさを認め合い、本当の意味でのリスペクトが生まれた瞬間だった。第一話で集まったとき以上の、熱くて固い絆が、この狭いマイルームを確かに満たしていた。
「よし! 全員でハプニング動画のデータ、朝までに復旧させるぞ!」
「「「おーーー!!!」」」
4人で笑顔になり、デスクを囲んで作業を始めようとした――まさにその時だった。
ピコン、と俺のスマホが、聞き慣れない通知音を鳴らした。
液晶画面を開くと、そこには特定のネット界隈で知らない者はいない、あの謎の天才クリエイターからのダイレクトメッセージが表示されていた。
『アカウント名:T×3(ティーバイスリー)』
「……え? T×3さんから、DM……?」
俺の言葉に、キーボードを叩こうとしていたしょうたの手がピタリと止まる。全員が俺のスマホの画面に視線を注いだ。
メッセージを開くと、そこには息を呑むような美しい、だけどどこか不気用でトガった『男二人、女三人』のイラストが添付されていた。
「これって……T×3さんが裏で温めてるっていう、あのカオス五人組のネタのキャラデザじゃねえか!?」
かずとさんが画面を指差して叫ぶ。メッセージの本文には、こう書かれていた。
『フラワーボーイズの4人の掛け合いと、今回のポジション入れ替えの演技の幅を見た。このカオス五人組に、お前ら4人で声を当てて、新しい2.5次元声優動画を作ってみないか?』
「オファー……!? あのT×3さんから、俺たちに!?」
「でも待て。俺たち男4人だぞ? 相手は男二人、女三人……一人足りないし、そもそも女の子三人ってどうすんだよ!」
たくみが困惑の声を上げる。だが、隣にいるしょうたの、プロデューサーとしての脳が熱く脈打ち始めるのが横顔で分かった。ボイスチェンジャー、音声技術、そして俺たちの演技力。さっきのシャッフル動画の『カオスさ』を逆手に取って組み合わせれば、ネットをひっくり返す爆発的な何かが作れる。
「面白くなってきちゃったじゃん」
しょうたが画面を見つめ、不敵な笑みを浮かべた。
「T×3さん、この最高のカオスな挑戦、フラワーボーイズが乗った!」
新しい扉が開く音がした。
雨が降って地が固まった4人の青春は、ここから想像もつかない『2.5次元声優ユニット』という新章へと、怒涛の勢いで突き進んでいく――。
第6話までお読みいただき、ありがとうございました!
お互いのプロフェッショナルさを認め合った瞬間の4人の爆笑、最高でしたね……!
しかし、ホッとしたのも束の間、まさかの謎の天才クリエイター『T×3』からのとんでもないオファーが舞い込みました。男4人で「男二人、女三人」のキャラをどう演じ分けるのか!?
フラワーボーイズの、想像もつかない新章(2.5次元声優ユニット編)がここから始まります!
「続きが気になる!」「しょうたの不敵な笑み、ゾクゾクした!」と思ってくださった方は、ぜひページ下部の【ブックマーク登録】や【評価(☆☆☆☆☆を★★★★★に!)】で応援していただけると、執筆のめちゃくちゃ大きな励みになります!
次回、新章開幕。お楽しみに!




