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フラワーボーイズ  作者: TTT


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第2話:勘違いの格差社会

皆さん、こんにちは!『フラワーボーイズ』第2話です。

前回、ついにYouTubeの世界へと一歩を踏み出した彼ら。

今回は、さっそく次の動画企画をめぐって事務所が大盛り上がり!?

かずととたくみが考えた『お金持ちVS貧乏』の検証企画ですが……どうやら2人の想像する世界がちょっと(いや、かなり)ズレているようで……?

そして、そんな3人の後ろで、黙々と編集作業をこなすたけるのキーボードの音が、だんだん激しくなっていき――。

表舞台の華やかさと、裏方のリアルな温度差。

フラワーボーイズの日常と、新たな波乱の予感をぜひお楽しみください!

「カチャカチャカチャ、ターン!」


ワンルームの事務所に、激しいタイピング音とエンターキーを叩く音が響き渡っていた。たける(26)はノートPCの画面を睨みつけ、寝不足で少し充血した目をしばたたかせている。画面の中で動いているのは、昨日撮影したばかりの「自己紹介動画」の編集データだ。音量を調整し、かずとさんの大声が音割れしないようにコンプレッサーをかけ、たくみのシュールなボケにキレのあるツッコミテロップを差し込んでいく。


せかせかと、1分1秒を惜しむように裏方作業をこなすたけるのすぐ後ろ。ソファの上では、そんな張り詰めた空気など1ミリも気にしていない2人が、信じられないほどのんびりと声を弾ませていた。


「ねぇたくみ、次さ、こういう企画どう?『お金持ちと貧乏が1日ひっくり返ったらどうなるのか検証動画』!」

かずとさん(28)が、手元の裏紙にマジックでデカデカとネタを書き殴りながらたくみに見せる。


「あー、それめちゃくちゃ伸びそうですね」たくみ(24)は手元にあったバナナをじっと見つめ、「じゃあ、僕が貧乏側で、かずとさんが成金側ですね」と、さっそく謎のアイデアを出し始めた。


「そうだよ! 俺が成金を気取るわ。やっぱり成金と言ったら、朝起きてまずシルクハットを被って、1万円札で顔の汗を拭くところからスタートだろ? で、移動は全部リムジンだけど、持っていないから軽トラの荷台にソファーを積んで移動するわ!」

「最高ですねかずとさん, 天才的な成金テイストです。じゃあ僕は貧乏のテイストでいきます。貧乏ってことは文明がないってことなので、事務所の床にブルーシートを敷いて、木を擦り合わせて火を起こします。主食は公園の雑草です。で、最終的には『どっちの生活も身の丈に合ってないから無理!』ってなって、格安牛丼を食べるオチでどうですか?」

「ギャハハ! 火を起こす貧乏! それただの原始人だろ! でも成金も貧乏も, どっちも極端で無理ってオチ、マジで身の丈に合っていなくて最高じゃん!」


2人が本当の金持ちも貧乏も知らなすぎて、完全にピントのズレた新ネタを練って大盛り上がりしているところに、缶コーヒーを片手にしたリーダーのしょうた(25)が戻ってきた。


「お、何話しているの?」

「あ、しょうたさん。次のお金持ちと貧乏の入れ替え検証動画のネタです」

たくみとかずとさんの「勘違い全開の企画」を聞いたしょうたは、一瞬で目を輝かせた。「え、成金がシルクハットで貧乏が原始人!? あはは、何それ新しいな! 絶対ウケるよ、それやろう!」


「だろ!? よし、じゃあ早速カメラの構成とスケジュールを組んじゃおうぜ!」


楽しそうに次の撮影の計画を立て始める3人。その瞬間、部屋の中に響くたけるのタイピング音が「タタタタタタタンッ!!」と、明らかにボリュームを増した。キーボードが壊れるんじゃないかという勢いだ。


たけるは画面を見つめたまま、心の中でドス黒いイライラを募らせていた。

(……お前ら、次の楽しそうなことばっかり考えて、今目の前で僕がやっている編集の苦労は無視か? まだ1本目すら出していないのに、もう次の話? というか、成金のテイストも貧乏のテイストもズレすぎていて、そんなめちゃくちゃな企画の構成やテロップ、誰が裏で成立させると思っているんだ……)


必死にワンオペで裏方を回している自分と、画面の前で楽しそうな企画を全肯定するリーダー、そして呑気な2人。その埋まらない温度差に、たけるの胸の奥で、小さな不満の種がピキッと音を立てて芽吹いていた。


「……あの、たける先生? ちょっとタイピングの圧が凄いです」

さすがに気づいたたくみが恐る恐る声をかけるが、たけるは冷徹な目のまま、画面から目を離さずに言い放った。

「別に。それより1本目の仮編集が終わったので、次の楽しい企画を練る前に、全員で最終チェックしてください。僕のキャパはもう限界なので」


冷たく突き放すようなたけるの声に、部屋の空気が一瞬で凍りつく。

しょうたが「あ、ごめん、そうだよね……」と言いかけたその時、かずとさんが「まぁまぁ! たけるなら出来るって! 頼りにしているからさ!」と、悪気ない100%の笑顔でたけるの肩を叩いた。


たけるは何も言わず、ただフッと視線を落とした。


数時間後、無事にアップロードされた自己紹介動画は、公開直後から「裏方のツッコミがキレキレで草」「バナナのやつシュールすぎる」と大好評のコメントで溢れかえった。

「ほら見ろ! 大成功じゃん!」とハイタッチして大騒ぎする3人の後ろで、たけるは静かにノートPCをパタンと閉じた。その目は、全く笑っていなかった。

第2話をお読みいただき、ありがとうございました!

初の自己紹介動画は大成功!……のはずですが、裏方で限界を迎えていたたけるの目は、全く笑っていませんでした……。

悪気のない「たけるなら出来るって!」という言葉が、逆に彼を追い詰めていくリアルなすれ違い。ここからフラワーボーイズはどうなってしまうのか!?

「たける、頑張れ……!」と思った方や、この先の展開が気になる方は、ぜひ【ブックマーク登録】や【評価(☆☆☆☆☆)】での応援をよろしくお願いします!

次回、ついにたけるの限界が……!?

第3話もどうぞお楽しみに!

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