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フラワーボーイズ  作者: TTT


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11/13

10話:イケメンボイス(出力)の絶対条件と、電脳からの緊急着信

【前回のあらすじ:ショート動画の爆発的なバズによって、一躍時代の寵児(自称)となった俺たち『フラワーボーイズ』。しかし、そんな俺たちの前に、謎の天才クリエイター『T×3』から前代未聞の『地上波アニメ化プロジェクト』の企画書が届く。大歓喜する居酒屋の片隅で、たけるが発見した致命的なエラー(バグ)とは――!?】


「おい、これ……マジかよ」


居酒屋の片隅で、かずとさんがスマホの画面を凝視したまま、魂が抜けたような大声をあげた。

画面に映っているのは、謎の天才クリエイター「T×3」から届いた、1通のDM。そこには『地上波アニメ化・同時展開プロジェクト』という、俺たちには分不相応すぎるタイトルの企画書が添付されていた。


「地上波、アニメ化……。俺たちの動画が、テレビで流れるってことか?」


最年少のたくみが、いつものシュールな無表情のまま、ポツリと呟く。

俺――しょうたは、ゴクリと唾を飲み込んだ。ショート動画がバズっただけでも心臓がバクバク言っているのに、アニメ化なんてエンタメの頂点じゃないか。俺の発起人としてのエンタメ脳が、ついに時代を捉えた。少し松――


「おい、しょうたさん。脳内の思考の時点で実名を出すのはやめろ。権利関係のフィルターに引っかかって、動画ごとBANされるリスクを計算に入れろ」


髪をかき上げようとした俺の手が、たけるの冷酷なメタ発言によってピタリと止まる。


「ち、違うわ! 心の声だろ! ……ゲホン。とにかく、某国民的アイドルグループのM・Jに少し似ていると自負している俺のルックスが、ついに全国区になるステップが整ったのだ」


「自負している(※ただし自称)」と、たけるがノートPCを叩きながら冷たく補足を足してきた。


「フッ、まあ当然の結果だな。俺のプロデュース力にかかれば、地上波なんて通過点に過ぎないさ」


俺がめげずにポーズを決め直すと、たけるは人間と機械のハイブリッドとでも言うべき無感情な瞳を画面に戻し、淡々と言い放った。


「喜ぶのはそこまでだ、しょうたさん。この企画書を論理的に分析した結果、致命的なバグ、いや、エラーを発見した」


「エラー? 何だよたける、縁起でもないこと言うなよ!」

かずとさんが机を叩いて身を乗り出す。


たけるは画面を俺たちに向け、さらに冷徹なメタ発言をぶつけてきた。


「9話のショート動画で、俺たちは男2、女3の5人組を演じ分けた。だが、実際に声を出したのは『優香』『さき』『ひな』の女性キャラ3人のみ。……そう、残りの男性キャラ2人、『オレ』と『相棒』の声は、まだ1秒も出力されていない」


「あ」と、たくみが拳で手のひらをポンと叩いた。

「確かに。あの2人、名前が『オレ』と『相棒』のせいで、台本チェックするときに誰のセリフか分からなくなって、背景の空気吸ってただけでしたね」


「そう。そしてこの企画書には、こう書かれている」

たけるが画面の箇条書きを指差す。

『次回動画にて、男性キャラ【オレ】と【相棒】の声を解禁し、5人全員のクオリティを証明すること。これがアニメ化の絶対条件である』


「おいおい、それってつまり……次の動画で滑ったら、アニメ化もパァってことか?」

かずとさんの顔がみるみる青ざめていく。


「そういうことだ。特に問題なのは、画像は少しM・J似でエンタメ気取りなキャラ【オレ】の配役だ。しょうたさん、お前がやろうと考えているんだろう?」


「当たり前だろ! 設定からして俺にぴったりじゃないか!」

胸を張る俺に、たけるは容赦のない一撃を突き刺した。


「却下だ。お前の声の成分はエンタメ(笑)に寄りすぎている。視聴者が求めているのは、もっと計算されたイケメンボイスだ。お前の表現力ではデータにバグが起きる」


「バグって言うな! だったら誰がやるんだよ!」


ここから、俺たちの深夜のオーディション会議が始まった。

「オレ」と「相棒」という、あまりにもシュールな名前のイケメン2人組に、誰がどう命を吹き込むか。かずとさんが大声で熱血ボイスを当ててはたけるに「うるさい、鼓膜が物理的に破壊される」と却下され、たくみがボソボソと呟いては「シュールすぎてジャンルが変わる」とツッコまれる。


揉めに揉めた末、マイクの前に立ったのはたける自身だった。

「相棒」のキャラクターに、たけるの冷徹で計算し尽くされた低音ボイスが重なった瞬間、まるで機械と人間が融合したかのような、ゾクッとするほどの魅力的な声が響いた。


「……悪くない。じゃあ、【オレ】は――」


俺はマイクを掴み、エンタメ気取りのプライドを全て捨てて、ただひたすらに「格好良さ」を追求した声を絞り出した。たけるの冷たい視線を受け止めながら、何度もテイクを重ねる。


「よし、これで全データが出揃った。レンダリングを開始する」


たけるの指がエンターキーを叩き、5人全員の声が揃った「フラワーボーイズ」完全版動画が完成した。これでどうだ、T×3。俺たちの本気を詰め込んだ動画を、DMで送信する。


静まり返る居酒屋。全員が息を呑んでスマホを見つめる。

送信完了から、わずか30秒後。


じりりりりりっ!


静寂を破り、俺のスマホが激しく震えた。画面に表示されたのは、通知ではない。


『T×3から、緊急の着信――』


『フラワーボーイズ』記念すべき第10話をお読みいただきありがとうございました!


ついに「オレ」と「相棒」の声が解禁、そしてラストのまさかの直接着信……!T×3の目的とは一体何なのか、次回の展開をお見逃しなく!

「しょうたのM・Jボイスが気になる」「たけるの低音ボイスに脳をハッキングされた」という方は、ぜひページ下部から【ブックマーク登録】と【評価の★】をよろしくお願いします!


次回、11話もお楽しみに!!


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