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九州の覇王  作者: 大野半兵衛


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第9話 天文23年、始めました

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 第9話 天文23年、始めました

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 天文23年1月。

 今年の上納金は……。


 椎茸の売上は4,000貫。

 2,000貫が宗像に入った。


 玻璃の売上は14,000貫。

 7,000貫が宗像に入った。


 鉄砲生産は50挺。

 鉄砲は1挺を10貫で買い上げ、500貫を支払った。


 船は2隻が完成、現在3隻目を建造中。

 2隻合わせて1,200貫で買い上げた。


 銭の造り直しは24,000貫。

 12,000貫が宗像に入った。


 水あめ菓子の売上は2,000貫。

 600貫を収めてもらった。

 飴ちゃんは2年に1回くらいの頻度にし、水あめ菓子と違った高級路線でいくらしい。

 とはいえ、水あめ菓子も十分高価なものだけど。


 常備兵は500人に増やした。


 硝石、鉄砲、造船に、各2,000貫を支払う。


 そんなわけで、宗像の収支としてはギリ100貫のプラスだ。

 ただし、足軽長屋も整備しているし、常備兵の武具も買わないといけないから、マイナスなんだけどね。

 初期費用は、継続的に雇用し続ければなくなるが、維持費は別途かかるわけだ。


 そして同じく昨年末、儂は走破船に初めて乗り込み、中津宮・沖津宮に向かった。

 冬ということもあり波は高かったが、以前乗った関船に比べると乗り心地はよかった。

 造ってよかった、走破船!


 次に目指すは、台湾を経由して澳門だな。

 備前物の見栄えのよい太刀を大量に安く購入し、それを高値で売りつけよう。

 あとは漆器(蒔絵などが描いてあるもの)も喜ばれる。

 こういうのはジイ様が値切り倒してくれそうだ。

 銭の造り直しでウハウハで、機嫌がいいからお願いしちゃおう。


 それから朝鮮から陶器・磁器の職人を連れてきたい。伊万里焼や有田焼などを作って売れば、これも儲かるはずだ。

 これは貞安に頼む。

 実際に貞安がいくわけではないが、部下に命じておいてくれるだろう。


 ああ、そうだ。忍者もほしいな。

 情報は戦の命だ。

 俺の命を守る防衛線である。


 ジイ様の部屋にいくと、銭箱が積み上がっていた。

 おい、ここはあんたの屋敷じゃないんだ、銭勘定は自分家でやれよ。


「ハハハ! ん、鍋寿丸か。珍しいな、お主が儂のところにくるとは」


 今高笑いしていただろ。


「ジイ様が銭の勘定で忙しそうだから遠慮しているのだ」

「たしかに忙しいな。あー忙しい」


 わざとらしく忙しいフリをするな。

 しかし、ここは蔵じゃないんだから、床が抜けるぞ。

 てか、俺の城だからな。

 壊すなよ。


「南蛮人に買わせる商品として、備前物の太刀を安く大量に購入したい。あと漆器も。当てはあるか?」

「博多の商人に言えばすぐに集めてくるぞ。あの走破船とやらでいくのだろ? 一枚噛ませろと言ってくるだろうなぁ」

「一枚くらいなら構わんが、商品の仕入れは商人もち、こちらが7割だ」

「お主も強欲よのぅ。5割にしろ、それならなんとかなる」

「それでいい」


 7割は儂でもYesとは言わん。

 ああ、そうだ。

 長期航海に起きやすい壊血病対策としてビタミンCを用意しておくか。

 幸いなことに、ビタミンCが大量に取れるキャンディがあるんだ。

 ガチャ景品のコモンで。


 ビタミン補給君という名前の美容キャンディだ。

 食べたけど、かなり酸っぱかった。

 でもビタミンCとあとなんやかんやのサプリ効果があるから、船乗りたちに持たせよう。

 本来は美容用だけど。


「あと、忍を配下に加えたい」

「む? 雇うのか」

「いや、家臣として登用する」

「ふむ……」


 忍者は下賤の者と蔑まれている。

 ジイ様のその口か?


「たしか肥前に葉隠なる者らがいたと思うが」

「それ採用!」


 それって鍋島直茂の佐賀藩にいたという忍衆だよね!

 今ならまだ鍋島直茂に取り込まれてないかもしれない。


「採用、するの早くないか?」

「ゲットすべし!」

「げっと? なんじゃそりゃ?」

「いいから、葉隠にアポとって」

「あぽ?」

「儂のところに連れてきてってこと」


 この目を見よ!

 儂は登用モードで待っているぞ!


「お、おう……」


 銭勘定などあとでいいから、さっさといけ!




 天文23年2月。

 葉隠の者がやってきた。

 ジイ様は銭勘定と南蛮貿易用の品を集めるのに走り回っている。

 そんな中でよく葉隠を連れてきてくれた。

 年よりは適度に使ってやらないと、ボケるからね。

 でも、感謝しているよ。


「某、葉隠の正三と申します」


 正三は30くらいの苦味走った渋いオジサンだ。


「宗像鍋寿丸である。よくきてくれた。さっそくだが、今すぐに領地は与えられぬが、500貫の扶持を出す。いずれ我が領地が拡大したら知行も与えるゆえ、儂に仕えてくれぬか」

「え……」

「そうか、500貫では不服か。ならば800、いや1,000貫でどうじゃ」

「あ、いや、そうではなく」

「そうでない? でなんじゃ?」

「某のような草の者を召し抱えてくださるのですか?」

「当然だ。葉隠には我が宗像の目耳になってもらわねばならぬ。ぞんざいな扱いなどせぬ」

「それほどまでに……扶持は500貫で結構にございます。葉隠はこれより宗像の殿の御為に働かせていただきます」

「おおお、そうか! 頼んだぞ、正三!」

「ははぁっ!」


 忍者をゲットだぜ!



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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