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九州の覇王  作者: 大野半兵衛


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第8話 天文22年の出来事

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 第8話 天文22年の出来事

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 天文22年1月。

 年が改まり、昨年の上納金の総額が出た。


 先ずは玻璃。

 玻璃は期待通りに富をもたらしてくれた。

 ここまでで、5,000貫の売り上げがあり、その半分の2,500貫が宗像に入ってきた。

 予想通りの大儲けだ。


 次に飴の販売。

 神屋は2,100貫でこれを売り抜けた。

 水あめを使ったお菓子の販売も順調で、こちらは600貫ほどの売り上げがあった。

 もちろん、共に3割の合計810貫が宗像に入った。

 あんなものでよくここまでの売上を叩き出せるものだと、感心する。


 そして銭の造り直し。

 あのジイ様、武将よりも商人のほうが向いているんじゃないかな。

 なんとこの短時間で7,000貫ほどの良銭を造っている。

 つまり3,500貫が宗像に入った。

 あのジイ様のことだから幾らかはちょろまかしていると思うけどね。

 あと、粗銅を購入して銀と金を取り出した銅も使っている。

 こちらは、まだそこまで大々的ではないが、いずれ鐚銭を駆逐した時に、粗銅からの生産が役に立つ。

 今のところ、取り出した金銀は大した量ではないので、ジイ様の自由にさせている。

 その金銀を使ってさらなる粗銅購入しているので、問題はない。


 これらの上納金を、硝石作りをしている占部、鉄砲作りをしている土橋、そして造船をしている貞安に、それぞれ2,000貫を分配する。


 収支は810貫のプラス。


 さらに、常備兵を100人雇った。

 常備兵は1人あたり、年12貫、味噌、塩、薪などを支給するため、年間15貫の支出だ。

 つまり100人で1,500貫を支払う。

 おかげでマイナスになってしまった。

 だが、ここでのマイナスは、すぐにプラスになるはずだ。


 常備兵は儂が作った訓練メニューに沿って鍛えてもらう。

 せっかくの常備兵なので、毎日山岳10キロマラソンをさせ、筋トレを施す。

 負け戦の時にとにかく逃げられるように、足とスタミナだけは鍛えておかないといけない。

 それに慣れたら、本格的な戦闘訓練だ。

 現在は100人ほどの常備兵だけど、儂が元服するまでに1,000人にまで増やしたい。

 今すぐ1,000人の常備兵を雇うと、生産に費用がかけられなくなってしまうからね。


 現在の宗像領の生産力は、24,000貫。

 石高でいうと、48,000石。

 動員兵力は10,000石で300人と言われているから、48,000石なら1,440人だ。

 この1,440人は戦の時に徴兵する百姓兵がほとんどで、この他に常備兵100人がいると思ってもらえばいい。

 うちの場合は宗像水軍がおり、その水夫だけで動員兵力を超えていたりするが、この水夫も新造船の建造に成功したら増やすことになる。




 天文22年3月。

 新造船が完成した。

 元々優秀な船大工を抱えていたこともあり、1年もかからず完成させてくれた。

 これまでの船とはまったく違う造船だが、素晴らしい適応力で船を造ってくれたよ。


 新造船はもちろん帆船だ。

 帆は3本で、逆風でも進める。

 全長33間(59.4メートル)、全副8.5間(15.3メートル)。

 南蛮のガレオンやキャラックに負けない大きさで、最大船速も時速10から13ノットと勝っている。

 武装は大筒(大砲)を30門搭載できるが、今はない。


 さっそく乗り込む、ことはしない。

 さすがに新造船に真っ先に乗り込むほど、俺は命知らずではないのだ。

 この先何か月かを訓練に費やし、何か月かを試験航海にかける。


 上手くいって今年の秋、下手をすれば来年にやっと俺が乗り込むことになる。


 なお、船体に漆を塗っているため、黒色にしている。

 朱色にもできるが、俺の趣味は黒だ。

 漆を塗ることで、船体が長持ちする。

 まあ、船底につく貝は定期的に剥し、漆を塗り直す必要はあるから経費はかかるけどね。

 また、本来はタールを塗りたいのだが、まだタールまで手が出ない。

 そばには筑豊炭田があるので、いずれタールを作ろうと思っているが、いきなりなんでもかんでもできないのよ。


「貞安。この走破船を手足のごとく操るように、訓練を施すのだ」

「承知」


 この新造船は走破そうは船という船種になる。

 これはガチャから出てきた手引き本にそう書いてあったからだ。




 天文22年7月。

 走破船に遅れること4か月、鉄砲ができ上ってきた。

 すでに試射を何度もクリアしているので、儂が撃って具合を確かめる。


 構え。

 狙い。

 撃つ。


 ダーンッ。

 AK-47に比べると、白煙が多い。

 そこは黒色火薬だから諦めるしかない。

 反動はそこまで変わらないか。

 玉込め作業は、早合にしていることで少しは早いが、AK-47に比べるべくもない。

 この玉込めの遅さは、数で補うしかない。

 この時代の鉄砲は、まさに数が最大の戦力だ。

 ちなみに、火縄はない。

 フリントロック式。

 火打石で火花を作って火薬に着火させる。

 早合は油紙で玉と火薬を包むもので、発砲時に油紙も燃えてなくなるので面倒がなくていい。

 ただし、その分銭がかかるけどね。


 造船より鉄砲造りのほうに時間がかかったのは、単純に設備の差だ。

 船は船大工らが元々持っていた技術を駆使して作ったが、鉄砲は旋盤などの機器を作り、鉄砲の素材も厳選する必要があった。

 簡単に壊れてもらっては困るので、素材は大事なのだ。


「この鉄砲を大量に造れ。造ったら造っただけ宗像が買い上げる」

「はっ!」


 もちろん南蛮製の火縄銃よりも安く買うけどね。

 それでもかなりの銭が土橋にも入るから、がんばれ。




 天文22年10月。

 吉田に任せていた椎茸の生産が成功した。

 大量の乾燥椎茸を博多の商人経由で販売した。

 儂は乾燥椎茸も好きだが、生の椎茸を七輪で焼いて醤油を少し垂らして食うのが一番好きだ。

 あとは猪肉をミンチにして味噌と合わせて椎茸に詰めて焼くとか……。ジュルリ。


「今後も椎茸を売って儲けよ。天気に左右されることもある。生産場所を秘匿しつつ複数個所に分けておけば、もしもの場合の被害が少なく済むかもしれぬ。場所がなければ言え」

「はっ!」


 これで硝石以外はなんとかなった。

 あとは生産量を増やしたり、品質を上げたりなど改善をしていく。

 そこは職人と各責任者に任せて口出しはしないが、がんばってほしいものだ。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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