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九州の覇王  作者: 大野半兵衛


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第38話 60連ガチャ、やってみました

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 第38話 60連ガチャ、やってみました

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 永禄6年5月。

 居城にするべき建築していた城の防壁と屋敷の部分が完成したため、そちらに移った。

 立花山城はジイ様に明け渡す。

 新城の場所は遠賀川の河口に近い浅川という地だ。

 元々浅川城があった場所で、小高い山の上にあった。

 その浅川城を取り壊し、鉄筋コンクリートの高く頑丈な防壁で山を取り囲んだ。

 いずれは遠賀川の水を引き込み、三重の水堀を設置する予定だ。

 城の名前は遠賀城とし、今は天守を築いている。

 この地を儂の居城に選んだのは、製鉄所のすぐそばだからだ。

 儂にとって製鉄所は極めて重要な施設だから、防御力を高めるためにも居城を置いた。


 それと遠賀川の河口には山鹿城があるので、これを支城とするために整備もする。

 海に面した山鹿城には、港を整備して門司城と共に宗像水軍の拠点にするつもりだ。


 引っ越し作業も粗方終わったし、丁度儂の誕生日も過ぎた。

 前回のガチャから5年、60ポイントが貯まっている。

 60連ガチャをやってみよう!


 元服して土橋船右衛門氏興と名乗っている、元船千代丸に誰も部屋に近づけるなと命じ、ガチャ機の前に座る。


「宗像の三女神よ、我に豪運を与え給え」


 宗像三女神に祈りを捧げ、液晶のドラムを回す。


 60連ガチャの結果は、スーパーレアが1個、レアが14個となった。

 ウルトラレアは出なかったか、残念。

 だが、スーパーレアが出ただけでも儲けものだ。


 そのスーパーレアを開けてみる。


『スーパーレアだよ、やったね!』

『毎月10トンの銀をプレゼントするよ!』

『期間は50年。えっへん!』

『引き換えるには、10トンの銀を保管できるスペースが必要になるからね!』

『この引換券を持ち、引き換えると願えば、景品が現れるよ!』

『引換券は、毎月1日に効果が復活するからね。12カ月までは効果を貯めることが可能だよ!』


 今回は銀の引換券か。

 ありがたや。


 てか、銀も鉄も同じ10トンなん?

 価値としては圧倒的に銀のほうが上なんだけど?

 まあ、ありがたいので、もらうけどさ。


 これは明に持っていけば儲けられるぞ。

 銀は明が通貨として使っているため、非常に需要がある。

 たしか明と朝鮮と日ノ本は、銀と金の交換比率が8対1なのに対し、南蛮では15対1なのだ。

 南蛮と明では、倍近く金の価値が違うのだ。

 この交換比率に、殴り込みをかけてやろうじゃないか。

 明に銀を供給して金を回収し、南蛮に売りつけてもいいし、明のもので銭になるものでもいい。


 明から金を回収したら、今度は南蛮人に金を売る。

 その対価は銀でもいいし、硝石やほかの銭になるものでもいい。

 どちらにしろ、宗像は大儲けができる。


 ただし、明は『下海通蕃の禁』という所謂『海禁政策』をとっている。

 簡単に言うと、海外貿易の禁止だ。

 銀を供給してやるから、宗像を海禁の対象から外せと言ってやろう。

 儂の要求を聞くか、はねつけるか、それとも海軍を組織して銀が豊富にある日ノ本を攻めるか。

 朝貢なんてしないぞ。

 儂は明の家臣ではないのだ。

 銀がほしい明はどう出るかな~♪

 楽しくなってきたぞ。


 儂はすぐに『九州王宗像大宮司氏貞』という金印を作らせた。

 祐筆に漢文で貿易解禁を促す書状を書いた。

 それに押印し、明に送る使者に持たせる。

 正使は擬大宮司の深田氏実に任せる。

 色姫の舅で、肥前・筑後などの調略を任せていた者だ。

 深田氏実は明の言葉を理解することから、これからは明の窓口になってもらおうと思う。

 やがて氏実の跡を継ぐ色姫の婿である深田氏栄にには、明の言語もラテン語も学んでもらい、外国担当になってもらおう。


 儂はすぐに深田氏実・氏栄親子を呼んだ。


「明と直接貿易をするための使者を、右衛門大夫に任せる」

「明が直接貿易をするでしょうか」

「そのために銀を用意した。1,000貫(3,750キログラムくらい)の銀だ。年間10,000貫の銀を供給する用意があると、言ってやれ。涎を垂らすことだろうよ」


 10,000貫は37,500キログラム、37.5トンだ。

 この時代の石見銀山が産出する銀は、年間40トンもない。

 石見銀山だけで、世界の銀産出量の3分の1を占めていたほどだ。

 それとほぼ同じ量の銀を供給してやるのだ、明としても無下に断りはしないと思うぞ。


 しかも、年間37.5トンの銀を出荷しても、儂の手元には82.5トンの銀が残る。

 毎年、この量の銀を自由に使えるのだから、世界の銀市場の運命を握ったくらいの気分だ。


「なるほど、たしか明は銀が不足気味と聞いたことがあります。それほどの銀を供給するのなら、もしかしたら、もありえますかな」

「半左衛門には、やがてその任を引き継いでもらうゆえ、共に明へいき学んでまいれ」

「はっ。お役目、ありがたく!」


 翌月、深田親子は明へと渡った。

 手土産として3,750キログラムの銀を携えて。

 一度の交渉で決定までいくかは分からないが、別にこちらは明との直接貿易がなくても困らない。

 直接貿易のほうが、もっと儲かるというだけの話だ。

 困っているのは明のほうで、喉から手が出るほど銀を欲している。

 とはいえ、この交渉は強気でいいと深田親子には言い聞かせてあることから、時間はかかるだろう。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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