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九州の覇王  作者: 大野半兵衛


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第37話 永禄6年、始めました

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 第37話 永禄6年、始めました

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 永禄6年1月。

 早速だが、昨年の収支だ。


 銭の鋳造は150,000貫。

 ジイ様は毎年のように、増産をしている。

 おかげで宗像の財政が、潤っている。

 ありがたいことだ。


 椎茸は25,000貫。

 さすがに横ばいだ。


 玻璃は43,000貫。

 微増である。


 鉄砲は1,300挺を生産し、13,000貫の支出。


 走破船は0隻。


 疾風船は2隻を建造し、2,800貫の支出。


 韋駄天船は14隻を建造し、11,200貫の支出。


 硝石は600斗を生産し、12,000貫の支出。


 交易(博多商人)5回で、150,000貫。


 交易の手間賃2割は30,000貫の支出。


 硝石購入(博多商人)は5,000貫の支出。


 水あめ菓子(新製品)は3,000貫


 飴ちゃん※弾切れ


 常備兵は10,000人で、250,000貫の支出。


 シャボンは20,000貫。


 遠賀川の水路工事は5,000貫の支出。


 俵物三品(鮑、海鼠、フカヒレ)は25,000貫。


 生産分配(鉄砲生産、硝石生産、造船、農業振興、大筒生産、石炭採掘、蒸留酒醸造、鉱山開発3カ所)は20,000貫の支出。


 余剰米販売は100,000石で、150,000貫。


 余剰雑穀販売は30,000石で、24,000貫。


 津料などの税は180,000貫。


 戦費で30,000貫の支出。


 領内の整備に15,000貫の支出。


 綿布は1,000反で1,000貫の支出。


 蒸留酒(2種類)は13,000斗で9,100貫。


 大筒は12門で14,400貫の支出。


 合計で156,550貫のプラス。

 戦の戦費を捻出してもプラスなのだ、すごいことだ。

 船、鉄砲、大砲の生産は造船所や工房の増設、人員の増員を随時行っていることから、かなり増えている。

 これも領地が広がったことでできる力技だな。


 製鉄所が稼働することで、良質な鋼が鉄砲と大筒に使えるようになった。

 加工用のドリルなどにも超硬質な素材が使えるため、効率が上がっているのもある。

 何よりも製鉄所でワイヤーを作れることが大きい。

 鉄砲にはバネが使われているが、製鉄所でワイヤーを生産されたことで、バネの大量増産が可能になったのも大きい。

 手作業でよくもバネを作れるものだと、感心するよ。

 俺が無茶振りしているんだけどさ。


 製鉄所の敷地内に建てた鍛冶工房では、収支に上げていない秘密のものを生産している。

 まあ、秘密なので今は説明しないけどね。




 さて、儂も今年で19歳だ。

 妹の色姫は17歳になる。

 そのせいで、母から婿はまだ決まらないのかと、せっつかれている。

 儂の可愛い色姫を嫁に出す?

 なんの冗談だ? と言ったら、母からもジイ様からも睨まれた。


「じょ、冗談ですよ、冗談」

「「………」」


 そんなに睨まないで!


「もう、決めているんですよ?」

「なぜ疑問形なのだ」


 以前ジイ様から婿候補のリストをもらったから、決めてはいるんだ。

 決めているけど、なんか腹が立つんだよ。


「早く言え」

「そうですよ、早く仰いなさい」


 言いたくないが、プレッシャーがすごい。


「深田右衛門大夫のところの、半左衛門を考えております」

「半左衛門か! うむ。悪くない。宗像の庶流であるし、やがて擬大宮司職も引き継ぐであろう。うむうむ」


 ジイ様は納得顔だ。

 深田半左衛門氏栄(うじよし)は、今年で22歳になる。

 色が17歳だから、そこまで年齢差があるわけではない。

 それに色とは昔から顔見知りなのも、プラスポイントだ。

 そして何よりもジイ様が言うようにいずれ擬大宮司職を継ぐので、領地は筑前にあるし、宗像神社周辺に屋敷もある。

 宗像神社周辺に屋敷、ここが大事なポイントだ。


「ならば、すぐにその話を進めるぞ」

「そんなに急がなくても」

「何を仰いますか、急ぐのですよ」


 ジイ様も母も色姫の婚儀に向けて突き進んでいく。





 永禄6年2月。

 色姫の嫁入りの話が進んでいく中、大和貞秀の娘が俺の側室として入る話が上ってきた。

 宗像には連枝れんしが少ない。こともないが、近親者は少ない。

 俺には色姫しか兄弟がないことから、側室を多く入れて子供を増やしてもらおうという思惑があるのだ。

 それなら鍋寿丸を廃嫡する必要はなかったのだ、と思うのだが……。




 永禄6年4月。

 儂の側室に大和貞秀の娘の瑠璃が入った。

 大人しい美少女で今年14歳になる。

 つまり13歳だ。

 犯罪だ。

 瑠璃の体のことを考えると、子作りはあと3年くらい待ったほうがいいだろう。

 この時代の者たちは、若ければ若いほど子供ができやすいと思っているところがある。

 おかげでこんな少女を嫁がせてくるのだ。

 困ったものだ。


 綾瀬と瑠璃を左右に座らせ、縁側で酒を飲む。

 正室と側室では明確な身分差がある。

 それでも寵愛は平等にしないと、家内の不和を招く。

 だから夜の営み以外は、できるだけ2人を呼んで一緒に過ごす。

 これが正解か分からないが、儂にはこれくらいしか思いつかない。


「今日の月は霞がかかっておる。明日は雨かもしれんな」


 ぼんやりと空を見上げながら、呟く。


「田畑には丁度よいお湿りとなりましょう」


 綾瀬が麦焼酎のお湯割りを作って、手渡してくれる。

 麦焼酎はアルコール度が高いので、薄めに割ってもらっている。


「春の雨は気持ちよいものです」


 瑠璃が肴の鯨の大和煮(ガチャの景品の缶詰)を箸でつまみ、儂の口に持ってくる。

 所謂、あーん、というものだ。


 家臣たちは儂が芽衣に執着を見せるものだから、芽衣に似た瑠璃を側室に入れた節がある。

 たしかに儂は芽衣が大好きだ。

 夫婦仲はとてもよかったと思っている。

 だからといって、瑠璃を儂の側室にするのは、瑠璃に失礼というものだ。

 家臣たち(あいつら)はそこのところが分かっていない。

 困ったヤツらだ。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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