第36話 親莫迦上等だ!
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第36話 親莫迦上等だ!
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永禄5年7月。
家臣たちの論功行賞を行う。
「儂にとって一番難しい話が、この褒美を与えることよ」
そんなことを言いながら、家臣らの顔を見渡す。
「まずは吉田弾正忠兼致」
「はっ!」
「今回の豊後攻略、見事であった。よって豊後国大分郡・大野郡・海部郡の3郡161,000石に移封とする」
宗像家中随一の所領だ。
「以後、弾正忠には東部方面軍の長として、豊後勢を率いてもらう。励め」
「はっ、感謝申しあげまする!」
方面軍を組織すると、織田信長みたいに謀反を起こされて殺されるかもしれないが、なんでもかんでも俺が出ていくわけにもいかないからね。
「次は占部右馬助氏時」
「はっ!」
「肥後国益城郡と阿蘇郡に157,000石に移封する。以後は西部方面軍の長として、北肥後勢を率いよ」
「はっ! 感謝申しあげまする!」
占部氏時が平伏する。
「次は吉原源内左衛門貞安」
「はっ」
「豊前国築城郡15,000石を加増いたす。また、松浦の海賊衆、天草の海賊衆、豊後の海賊衆を傘下に収め、強大な宗像水軍を創設せよ。以後、貞安を海軍大将とする」
「はっ!」
貞安には九州全土の海賊衆を併呑し、最強の宗像水軍を創設してもらう。
「許斐三河守氏任」
「はっ!」
「肥後国玉名郡73,000石に移封する。以後は西部方面軍の副将として、右馬助を助けよ」
「ありがたき幸せにございまする」
西部方面軍の副将ときたら次は東部方面軍の副将だ。
「土橋越前守氏康」
「はっ!」
「豊前国上毛郡、下毛郡、および宇佐郡の一部を含めた70,000石に移封する。以後は東部方面軍の副将として弾正忠を支えよ」
「ははぁぁぁっ!」
この4人の東西方面軍には、豊前と肥後の国人衆も含まれている。
今回は加増を見送った豊後の秋月、高橋、立花も当然ながら東部方面軍の一員だ。
特に秋月には多くの武功を立ててもらわなければいけないため、今後の南下政策の中での活躍を期待する。
それからも武功を立てた家臣たちに、移封を含めた加増を行う。
基本的に筑前と肥前は宗像の直轄地を多くし、生産拠点にする。
筑後と豊前は前線を支える後方支援をさせるように家臣を配置した。
永禄5年10月。
今年は野分と言われる台風が多く九州を襲った。
川の氾濫など水害に悩まされたが、収穫量はあまり減らずに済んだ。
それと高橋、筑紫、少弐、龍造寺が進めた農業改革が功を奏して1反当たりの収穫量が増えているのもよかった。
「其方ら4名が農業改革をしてくれたおかげで、宗像の食料生産量は安定し、さらに増えた。よって、そなたらに褒美を与える」
4人の顔がパーッと明るくなった。
「先ずは高橋左衛門尉鑑種」
「はっ」
「筑後国生葉郡の一部、10,000石の加増をする」
「ありがたき、幸せにございまする!」
現在の所領である豊後国日田郡の隣の筑後国生葉郡の加増にした。
「筑紫右馬頭惟門」
「はい!」
「筑後国三潴郡に10,000石の加増を行う」
「感謝申しあげまする!」
こちらも地区続きの筑後国三潴郡に加増だ。
「少弐大宰少弐冬尚」
「はい!」
「筑後国三潴郡の32,000石に移封する」
「感謝申しあげまする!」
こちらは移封だが、10,000石の加増になるようにした。
筑紫と少弐は筑後国三潴郡に領地を得たが、残りの土地は宗像の直轄領だ。
「龍造寺豊前守胤栄」
「はっ!」
「肥後山鹿郡の33,000石に移封する」
「ありがたき幸せにございまする」
こちらも10,000石くらいの加増になるように、肥後山鹿郡を丸っと領地にした。
何はともあれ、農業改革により筑前、肥前、豊前の米をはじめとした食料生産は1.5倍くらいになった。
石高イコール食料の生産高ではないが、それでも食料生産の割合が高い。
おかげで余剰米や余剰雑穀が蔵に溢れている。
ありがたいことだ。
高橋鑑種以外の3人は戦にも出ずに内政でがんばってくれた。
儂の下で働くのに多少の不満はあるが、謀反を起こすほどのものではないようだ。
永禄5年12月。
足利将軍家から使者がやってきたので、儂は体調不良ということにしてジイ様に対応を頼んだ。
儂が対応したら使者をぶっ飛ばすかもしれないと言ったら、ジイ様は渋々対応しいてくれた。
使者は幕府に献金しろと言ってきたらしい。
儂が対応していたら、乞食とか物乞いとか、現代ではピーッな言葉を吐いていたかもしれない。
ジイ様が銭1,000貫を持たせたらしいが、本当にウザいヤツらだ。
さて、将軍の使者の対応してくれたジイ様だが、これまでよく儂を支えてくれたので加増をしたいと言う。
だが、ジイ様は跡取りがいないと、これを固辞した。
「だったら、鍋寿丸をジイ様の跡取りにすればいい。鍋寿丸は儂の子だ。つまりジイ様のひ孫になる。文句はないだろ?」
「……お主、考えたな」
「儂の元に戻しても庶子だ。それならジイ様の領地を継がせてやりたい」
「分かった。他の者らに根回しするわい」
「頼んだ。ああ、そうだ。ジイ様の領地は筑後国三潴郡55,000石と肥前神崎郡49,000石、あと―――」
「ちょっと待て!」
「なんだ?」
「お主、佐賀郡もと言おうとしてないか」
「その通りだが?」
「莫迦者。佐賀郡は12、3万石はあるじゃろ。その3郡を合わせたら20万石以上になるではないか!」
よく理解しているな。
佐賀郡は126,000石で、3郡合わせると230,000石だ。
「儂のジイ様なんだ、230,000石の大領でも問題ないだろ」
その大領を鍋寿丸が継ぐのだ。
不憫な息子に甘くて何が悪い!?
「お主なぁ……さすがにそんな大領を他の者らが認めるわけなかろう」
「ちっ」
「舌打ちすることか!?」
そりゃー、舌打ちの1つや2つくらいするだろ。
「まあいい。それなら糟屋郡だ」
「糟屋郡、というと、ここか?」
「その通り。ここ立花山城を含む糟屋郡80,000石だ」
糟屋郡は53,000石程度だったが、儂の領地になってから開発を進めて80,000石になっている。
儂のお膝元だったのだから、当然だな。
「博多はどうするのだ?」
「博多はさすがに無理だな。儂以外が領有したら、それこそ争いが生まれる」
「で、あるな。銭のほうはどうする?」
「もちろん、ジイ様が全て差配し、将来的には鍋寿丸に継がせる」
「この親莫迦が」
「本来であれば、宗像の全てを継ぐべき立場だったのだ。それくらいいいだろ?」
「分かった、分かった。はー、まったく……」
「以後、ジイ様の宗像は糟屋宗像と呼称する」
「承知だ」
鍋寿丸が跡を継いだら、1国くらいの太守にしてやるからな、待っていろよ鍋寿丸。
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