↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
九州の覇王  作者: 大野半兵衛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/43

第26話 儂の子じゃーっ!

 +・+・+・+・+・+

 第26話 儂の子じゃーっ!

 +・+・+・+・+・+


 永禄2年2月。

 芽衣が産気づき、儂は飛んでいった。


「殿は自室でお待ちください」


 侍女に追い出された。


 仕方がないので自室でウロウロしていると、ジイ様がやってきた。


「なんじゃ、落ちつかんのか」

「これが落ちついていられるわけない」

「若いのぅ」


 ジイ様はなんで落ちついて……ないな。

 座っている膝が貧乏ゆすりをしておるわ。


 いつの間にか貞安もやってきて、貧乏ゆすりをしている。


 芽衣が産気づいて2刻(4時間ほど)、侍女がやってきた。


「おめでとうございます! 元気な若様にございます!」

男子おのこか!?」

「宗像の跡取りじゃ!」


 ジイ様と貞安が叫んだ。

 儂は駆け出した。

 芽衣の部屋に駆け込む。


「芽衣!」

「なんですか、大声を出して。静かにしなさい」


 母に叱られた。

 だが、そんなこと関係ない。


「母上、芽衣は無事ですか!? 子供は無事ですか!?」

「ええ、2人とも無事ですよ」


 赤子は芽衣から初乳をもらって満足して眠ったらしい。

 初乳は必ず飲ませるように母や侍女、産婆たちに頼んでいた。

 初乳は赤子の免疫力を高める栄養素が含まれているから、数日は乳母に任せず芽衣が母乳を与えるようにと徹底している。


「芽衣、大丈夫か。痛くないか」

「旦那様、痛いです。ですけど、いい痛みです」

「そうか、そうか。芽衣、よく生んでくれた。感謝するぞ」


 芽衣の手を取って頭を下げた。

 子供を産むのは女性にしかできないことだ。

 現代だって命がけなのに、この時代ではもっと命がけだ。

 それなのに儂の子供を生んでくれたのだ、感謝しかない。


「旦那様、この子に名前をつけてあげてください」

「そうだな。うん、儂の幼名を与えよう。鍋寿丸だ」

「ありがとうございます、旦那様。鍋寿丸、よき名をいただきましたよ」





 永禄2年3月。

 鍋寿丸が生まれた前後で、豊前で大友対毛利の戦いがあった。


 2月に入る前に、大友と毛利が激突。

 その際に宗像勢が横槍を入れたことで、大友勢は大混乱になり散々に蹴散らした。


 さらに後退して宇佐郡で再編をした大友勢5,000に、毛利・宗像勢が襲いかかり、これを撃退した。

 おかげで大友勢は三々五々で逃げ出し、豊前から撤退した。


 この後、毛利は宇佐郡から先に進み、豊後の国東郡と速見郡に侵攻した。


 同時に秋月勢を押さえていた吉弘鑑理は形成不利と見て軍を下げた。

 そこで秋月は日田郡と玖珠郡の半分ほどを手に入れることに成功。


 筑後は宗像が浸食している。

 大友は追い込まれている。

 もはや大友は風前の灯。


 だったらいいんだけど、残念ながら戸次鑑連ら重臣は生きているからなー。

 ここから脅威の粘り腰を見せる可能性は否定できない。


 さて、儂の子が生まれたことで、家臣や商人、友好的な家々から祝いの品が届く。

 そして毛利だが、祝いの品は贈ってきたが、企救郡の割譲の話がない。

 さて、毛利はちゃんと割譲するかしないのか。

 小早川隆景は、どう動くか。





 永禄2年5月。

 作らせていたレンズができた。

 早速望遠鏡を作ってみる。


「うむ。いいできだ」


 遠くが手に取るように見える。


「これを増産し、走破船と疾風船に配備するのだ」

「はっ!」


 玻璃生産担当の占部氏時に指示を出す。

 宗像水軍も走破船、疾風船、韋駄天船の扱いに十分に慣れただろう。

 望遠鏡も配備する。

 そろそろ澳門より先の交易をさせるか。


 だが、南国は蚊を媒介する伝染病が危険だ。

 そこでクスノキを植樹させることにした。

 クスノキからは樟脳が作れるから、蚊対策になるはずだ。

 それに蚊はこの日本でも鬱陶しいので、国内でも売れそうだ。


 さて、毛利の件だ。

 先日小早川隆景に使者を送り、最後通牒を行った。

 来月末までに企救郡の割譲がされなければ、宗像を敵にすることになる。

 約定を守らない毛利を非難する書面を、秋月と原田にも渡している。


 葉隠の調べによれば、当主の隆元と小早川隆景は企救郡の割譲をするべきと言っているらしいが、元就がそれを許していないらしい。

 儂が毛利に噛みつくのを待っているのかな?

 それとも耄碌したのかな?

 謀神と言われるじいさんだ、慎重に対応したいところだが、儂も配下への面目があるから放置はできない。


 嫌なことは鍋寿丸と過ごして忘れよう。


「あばばば~。父だぞ~」


 まさか15歳で父親になるとは思っていなかったが、前世を含めれば70近いのだから、構わないだろう。


「鍋寿丸~」

「ゴホンッ」

「ん? 貞安か、どうした?」

「どうしたではござらん。政務が溜まっておりますので、いい加減働いてくだされ」

「たまにはいいではないか」

「そう仰ってすでに10日になります」


 そうだっけ?

 今まで働きすぎたんだから、勘弁してよ。

 おいおい、俺は猫じゃないんだから襟首を持って運ぶんじゃないよ。


「鍋寿丸~。父は負けないぞ~」

「何に負けるのですか、何に!?」


 そう怒るなよ。

 血管が切れるぞ。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


気に入った! もっと読みたい! と思いましたら評価してください。

『ブックマーク』『いいね』『評価』『レビュー』をよろしくです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。