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九州の覇王  作者: 大野半兵衛


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第20話 戦後の動き

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 第20話 戦後の動き

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 弘治3年8月。

 肥前から帰った俺は、昼は政務に追われていた。

 領地が大きくなるということは、それだけ書類仕事が増えるということらしい。

 ただ、芽衣のおかげで夜は心安らかに過ごせている。


 朝餉を芽衣や母・妹と摂っていると、母が不意に口を開いた。


「そろそろ色の嫁ぎ先を決めませんとね」

「……まだ早くないですか」

「早くはないですよ、四郎殿。お色も今年で11歳なのです。許嫁がいてもいい頃ですわ」


 まだ11歳だよ。

 そんなので嫁ぎ先なんて決めなくてもいいじゃないか。


「そう、ですか……」

「四郎殿。宗像の当主としてよき婿殿を選んでくださいね」


 わ、儂が……だよねー。

 当主だもんねー。

 仕方がない、ジイ様と相談して決めるか。

 だが、結婚は15歳だ。

 いや、この時代は数え年だから、17歳だ。

 幼い体の出産は母体に悪影響を及ぼすからな!


 そんなわけでジイ様と相談。


「お色の婿か」

「心当たりはありますかね」

「四郎はどうしたいのだ? 家内の者を一門に加えたいのか、それとも他の大名家に嫁がせるか」

「もちろん家内の者で!」


 嫁に出すにしても、俺が守ってやれないような家には出しません!


「ならば、お色と年が合う者を見繕っておく。あとはお主が決めろ」

「結婚は色が17歳になってからで」

「なんでそんなに先なんじゃ?」

「三女神様のお告げです。お色を嫁に出すのは17歳以降がいいとありました」


 なんでそんなジトーな目で見るのかな?

 儂の可愛い妹なんだ。

 体のことを気遣って何がわるいのか!?


「ならば、そういうことにするか」


 それでいいのだよ!





 弘治3年10月。

 ついに小原鑑元が城を枕に討死した。

 これで姓氏対立事件は沈静化することになるが、大友の傷は大きい。


 まず、肥前を儂が取った。

 まだ肥前全域ではないものの、元々大友も肥前全域に影響力を及ぼしていたわけではない。


 豊前のほとんどが毛利と秋月によって落とされている。

 毛利元就は筑前ではなく、豊前からそのまま豊後に向かうようで南下している。

 毛利は豊前の海岸線沿いの郡を押さえ、さらに現在は宇佐郡で大友と争っている。

 毛利15,000、大友7,000だ。

 大友は籠城で時間を稼いでいる。

 小原鑑元を倒したことで、その戦力が豊前に向けられる。

 これからが本番ということだ。


 秋月も豊前の田川郡と下毛郡の一部を得て、さらに豊後の日田郡に進出している。

 毛利と大友が宇佐郡を巡って争っている間に、日田郡を取りたいところだ。


 同盟相手の原田は、志摩群と怡土郡を固め、早良郡の平定に取り掛かっている。

 動きは遅いものの、着実に地盤を固めている。


 大友は豊後と築後をなんとか保っているが、豊後はどうなるか分からない。

 そして、築後は儂が肥前に進出したことで、豊後に兵を回す余裕がなくなった。

 まあ、多少は回せるだろうが、多くを回したら儂に隙を見せることになるからな。




 弘治3年11月。

 毛利から使者がやってきて、正式に同盟を結びたいと言ってきた。

 秋月、原田と4家の同盟ならいいと返事をしておいた。

 あとは毛利が精力的に動いて、4家同盟を主導してくれるだろう。


 毛利の動きは早く、たった10日で4家同盟をまとめ上げた。


 豊後国は毛利と秋月で切り取る。

 肥前国松浦郡東部(松浦川まで)は原田が切り取る。

 それ以外の肥前国と筑後国は宗像という住み分けもできた。

 肥前国の松浦郡は広大な土地だが、松浦川以東は山間部が多く大した旨味はない。

 まあ、松浦川流域は唐津があるので、焼き物が作れる地域だ。

 どこで土が採れるか分からないが、最悪は唐津焼は諦めることになるだろう。

 その代わり伊万里は間違いなくこちらのものになる(予定な)ので、伊万里焼は確実に進めたいところだ。

 とはいえ、朝鮮人の陶工を連れてこないといけないから、まだ先の話になる。




 博多の商人からの情報では、毛利が石見銀山に手を出すようだ。

 毛利が宗像と同盟したかったのは、石見銀山に手を出すためだと思うと納得ができる。

 ただ、毛利が石見銀山に手を出すということは、豊前・豊後の戦線は維持ということになる。

 そうなると秋月がどう出るかだな。

 尚も豊後に侵攻するのか、守りを固めて現状維持をするのか。


 現状維持は、大友に時間を与えることになる。

 もしかしたら、大攻勢をしかけてくるかもしれない。

 それは宗像に対してかもしれないのだ。

 今はまだ豊後と筑後の2カ国を領有する九州一の勢力なのだから、甘く見てはいけない。

 それに、あの優秀な家臣団がこのまま黙っているわけがないのだ。

 俺もそうだが、秋月も毛利もしっかりと警戒だけはしないといけない。




 弘治3年12月。

 今年も残すところ1カ月を切った。

 宗像は大きく勢力を伸ばしたが、切り取った領地をしっかり治めないといけない。

 来年は調略を主体とした領地拡大をしつつ、今の領地の統治に全力を注ぐ。

 本当はコンクリートを使った城の改修や、河川工事などがしたいのだが、現在の宗像の領地には石灰石の鉱山があるとは記憶していない。

 秋月や毛利の領地なら、石灰石鉱山があるのになー。

 八代までいけば、石灰岩の島があるから、そこまでは我慢か。

 あとは、秋月から買うか……。

 秋月って、石炭もあるし、立地としてはいいところを持っているんだよね。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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