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九州の覇王  作者: 大野半兵衛


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第17話 肥前を攻めるぞ!

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 第17話 肥前を攻めるぞ!

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 弘治3年6月。

 新婚生活っていいものだな。

 前世では結婚したことがないから、新鮮だし、生活に華がある。


 そんな幸せなある日、正三のヒラヒラお手紙をいただく。

 内容は大友義鎮の生存を確認。

 しぶといね。

 さらに、弟大内義長が自刃して果てたことを聞き、激怒しているらしい。

 この先、どうなることやら。


 そして、毛利勢が門司城周辺に上陸し、城攻めを行っている。

 関門海峡は村上水軍と若林水軍がバチバチにやり合っており、博多の商人らは迷惑しているようだ。

 村上水軍は毛利、若林水軍は大友の水軍衆だ。


 この海上戦のおかげで、小原鑑元の支援がままならない。

 いつかは潰されるのだから、ここらで手を引くか。


 さらに、ある報が届いた。

 儂は家臣を集める。

 一段高い上座に座り、家臣らに頭を上げるように声をかける。

 皆、晴れ晴れとした表情をしている。


「皆も知っての通り、肥前の筑紫が降った」


 筑紫右馬頭惟門が、我が宗像に臣従を申し入れてきた。

 ガチムチ常備兵たちが丸太を担いで山岳マラソンしていたのを毎日見て、心が折れたようだ。

 いつあいつらが攻めてくるか、と毎日恐怖と戦っていたのだろう。


 筑紫は肥前国基肄郡(きいぐん)に根を張る国人だ。

 おそらく10,000石もない、8,000石くらいの領地だ。

 動員兵力は精々300人。

 大した領地ではないが、基肄郡は筑前と筑後との交通の要衝だから押さえておくべき場所だ。

 これで肥前に橋頭保ができた。


「現在、肥前は少弐と龍造寺による争いがあり、安定しておらぬ」


 静まり返った家臣らは、儂の次の言葉を待っている。


「儂は少弐も龍造寺も蹴散らし、肥前を手中に収める。皆、これより、肥前を攻めるぞ!」

「「「おおおっ!」」」


 筑前は宗像、秋月、原田で決まりかけている。

 原田が勢力としてかなり小さいし、周辺を併呑するのに手間取っている。

 うちは原田が手間取っている間に、こそっと那珂郡36,000石を押さえてしまった。

 向こうから臣従してきたんだ。

 軍事行動なんて起こしていないよ。


 残った土地で原田は10,000石くらいにはなれる。

 早く手に入れないと、毛利がくるかもよ。

 我ら筑後三国同盟は、あくまでも筑後国内のみの話。

 肥前に関しては白紙だ。

 早い者勝ちである。


「ジイ様。儂も出陣する。あとは頼んだぞ」

「初陣だ、無理はするな」

「何、儂は後方で見ているだけよ。あとは皆がやってくれる」

「お任せくだされ! 殿の初陣を華々しい勝利で飾ってみせましょうぞ!」


 占部氏時が高らかと宣言し、高笑いを決めた。

 それに釣られ、皆も「殿に勝利を!」と大合唱してくれる。


「出陣は3日後。遅れた者は、おいていくぞ」

「「「おおおっ!」」」




 その日の夕方。

 母と妹の色姫、そして妻芽衣と4人で夕餉を摂る。


「出陣が決まりました」


 夕餉が終わったタイミングでそう切り出す。


「初陣、ですか?」

「はい。母上にはご不便をおかけいたしますが、ご勘弁を」

「四郎殿が無事に帰ってきてさえくれれば、母はどんな苦難も我慢できます」

「ありがとうございます」

「芽衣よ、儂がおらぬ間、母と妹を頼んだぞ」

「ご武運を宗像三女神様に祈っております」

「それは頼もしい。三女神様の加護と芽衣の祈りがあれば、百万の味方を得たも同然じゃ」

「お兄様。妾もおりますよ」

「うむ。色も儂の無事を祈ってくれるか」

「もちろんです!」

「ハハハ。儂には宗像三女神様の他に、ここにも三女神様がおる。誰が相手でも負けはせぬよ」

「まあ、わたくしたちが三女神ですか。罰が当たりそうですね」

「当たるのは、お兄様ですわ」

「酷いぞ、色」


 皆で笑い合う。

 肩の力が抜けていくようだ。


 その夜。

 芽衣との愛を育む。

 年齢と容姿は、高校生と小学生だが、ちゃんと儂がリードする。

 知識だけは豊富なんで、それを実践する。

 満足してくれていると思う。多分、おそらく、メイビー。

 しかし、この時代の小学校高学年は、莫迦みたいな体力があるな。

 ない日剣の稽古、槍の稽古、射撃の稽古、体力作りを欠かさなかったのがよかったか。




 3日後、俺は出陣した。

 常備兵1,300人、百姓兵3,000人、輜重隊として500人、合計4,800人だ。

 現在、我が宗像の石高は200,000石を超えているので、百姓兵は6,000人を徴兵できるが、しない。

 余力を見せているわけじゃなく、門司城の情勢が目まぐるしく変わるので、それに備えているだけだ。

 何せ我が宗像の東端の領地は、門司城から結構近いのだ。

 ここを守らずして、肥前に出張ることなんてできないのである。


 筑紫の勝尾城に到着する頃には、陣借りも集まり軍勢は6,000ほどになっていた。

 陣借りとは、儂の家臣でもない者たちが、恩賞目当てで自主的に合戦へ駆けつる者たちのことだ。

 主に、主家が没落したりした侍たちだ。

 龍造寺と少弐との戦いで、没落した家もある。

 両家を恨んでいるヤツは多い。

 帰農しようと思ったが、龍造寺が相手の戦いなら! あるいは、少弐と戦うなら! と参戦する者もいるようだ。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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