第15話 同盟と侵攻と
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第15話 同盟と侵攻と
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弘治2年9月。
秋月から同盟の誘いがあった。
秋月は当家と領地が接する大名だ。
石高は150,000から200,000石。
現在の筑前では最大の勢力である。
我が宗像がそれに続く勢力になったことで、同盟を持ち込んできたようだ。
「秋月と結べば、大友の動きに対応がしやすくなります。某は賛成にござる」
許斐氏任の意見に、多くが賛同した。
どうやら、同盟でまとまるようだ。
俺としても、大友の盾として使える秋月との同盟は、悪くないと思っている。
それに、来年辺り毛利が北九州にちょっかいを出してくる。
秋月の当主長門守文種は、毛利の誘いに乗って大友と袂を分かつ。
それに怒った大友義鎮は、戸次鑑連(立花道雪)と臼杵鑑速に大軍を与え、秋月討伐を行う。
毛利は援軍を送らず、秋月は大友勢に蹂躙されてしまう。
その時がチャンスだと俺は見ている。
秋月文種・晴種親子が籠る古処山城を攻めている大友勢の後背を、我が宗像が突く。
同盟相手が攻められているのだから、援軍を出すのは当然だ。
漁夫の利を取ってやる。
できれば、戸次鑑連の首がほしい。
俺の初陣になると思うが、そこで戸次鑑連を狩る!
と息巻いているが、捕らぬ狸の皮算用にならないとは言えない。
この時代には俺という遺物がいるし、宗像が博多以東の筑前の海岸線を確保している。
宗像を無視して兵を上陸させれば、うちとのドンパチになる。
豊前に上陸するなら、歓迎するけどね。
まあ、毛利も博多を押さえたいと思って北九州にちょっかいを出してくるのだから、豊前に上陸は可能性として少ないか。
家臣らと諮り、秋月と同盟することになった。
弘治2年10月。
ジイ様が俺の前でドカリと腰を下ろす。
「鍋寿丸の嫁取りが決まったぞ」
「どなたですか?」
「秋月の姫じゃ」
「……同盟をより強固にするためですかね?」
「その通りじゃ」
「分かりました」
「輿入れは、其方が元服する来年5月じゃ」
「急ですね」
「めでたいことは急ぐべきじゃ」
「そうですか。では、その姫のために御殿を築かねばなりませんね」
「それは儂がする。可愛い孫のために、貯め込んだ銭を放出してやろう」
「それはありがたいことです」
貯めこんでいそうだもんね。
ジイ様には後継者が儂しかいない。
厳密には妹の色姫もいるが、男子は儂だけだ。
貯め込んだ銭はやがて儂が相続するから、儂のものと言えば儂のものなんだけど、ジイ様の心遣いに感謝しておこう。
「これが結納の品の目録じゃ。目を通しておけ」
目録を開いて目を通すと、かなりの銭がかかっている。
これもジイ様が出してくれる。
ありがたや、ありがたや。
思わず、ジイ様を拝んでしまうよ。
弘治2年11月。
原田隆種からも同盟の話があった。
原田は秋月の同族で、大蔵氏だ。
大蔵氏は漢(昔の中国)から渡ってきた氏族になる。
渡来人だが、それは千年も前の話になるので、日本人と考えていい。
あと、一応だけど、大蔵氏の嫡流は原田氏らしい。
原田隆種は怡土郡を拠点にしており、およそ5万石の国人だ。
少し前まで陶のオッチャンによって城を奪われていたが、厳島の戦いでオッチャンが負けたことで高祖山城を奪い返している。
それなのに、陶のオッチャンと血縁のある俺に同盟を申し入れてくるのはなぜか。
どうも秋月からの斡旋があったようだ。
同族で、筑前最大の勢力である秋月の言葉を重く受け止めたのだろう。
悪くないと思うので、同盟は結んだ。
そこで我が宗像は、御笠郡に侵攻する。
「やったるでー!」
「やらいでか!」
「高橋がなんぼのもんじゃい!」
「殺しちゃるぜ!」
いや、お前らなんでそこまで好戦的なの?
家臣たちのテンションがおかしい。
それに相手は高橋鑑種だぞ?
大友の家臣だからな。
まあ、姓氏対立事件の援護になるから、許可するけどさ。
そんなわけで、高橋領へに常備兵1,000と百姓兵2,000を出すことになった。
弘治2年12月。
はい。分かっていたけど、高橋領はいただきました。
うちの子ら、本気でバーサーカーかもしれない。
てかさ、なんで高橋鑑種を捕まえてくるわけ?
信じられんわ、こいつら。
高橋鑑種といえば、バリバリの武闘派ですよ。
涙目なんですけど。
ブルブル震えているじゃん。
いったい、何をしたんだよ?
「お前たち、よくやった。褒めて遣わす」
「「「ははぁぁぁ!」」」
お行儀よく頭を下げる家臣らを、光のない瞳で見つめる高橋鑑種。
「さて、左衛門尉(高橋鑑種)殿」
「ひぃぃっ」
完全にビビッているんですけど!?
儂をこいつらの仲間みたいに見ないでくれるかな?
「貴殿には、いくつかの選択肢がある。儂に従うか、潔く死ぬか、一族の一萬田に戻るか、だ。選ばせてやろう」
「………」
ブルブルガクガク。
涙目。
そんな高橋鑑種が選んだのは、臣従だった。
マジかよ。
ああ、そういえば、高橋鑑種の実家の一萬田は大友の家臣だが、大友義鎮(宗麟)の命で粛清されていたっけ。
族滅じゃないけど、父や兄が殺されているんだったな。
今戻れば、自分も殺されるかもしれない、と思うのは当然か。
「所領は半減するぞ、いいな?」
宝満城は肥前、筑後に繋がる重要な拠点なので、召し上げる。
宝満城の城代には、大和貞秀を任命する。
大和貞秀は今回の戦いで兜首を3つも取った功がある。
宗像の武将の多くは弓の名手だ。
水軍の戦いで弓はとても役に立つからだろう。
高橋鑑種には旧麻生領に5,000石ほどの領地を用意する。
「はい。よしなにお願い申しあげまする」
従順な武将をゲット?
もう戦では使い物にならないかな?
せっかくの猛将だったのにー。
今回の侵攻で御笠郡のほとんど、およそ3万石が手に入った。
これで172,000石の大名だ。
同時に大友からは完全に敵視されることになっただろう。
これからが正念場だ。
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