第14話 弘治2年、始めました
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第14話 弘治2年、始めました
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弘治2年1月。
昨年の10月に改元が行われ、元号が弘治になった。
その連絡を受けたのは、年が変わる直前だった。
しかも朝廷からでも幕府からでもなく、博多の商人から聞いた話だ。
最近の室町幕府は改元を主動してないようだ。
だから朝廷単独が改元を行ったようだが、日本中に改元を徹底する銭がない。
今の朝廷は貧乏なのだ。
武力を持たない朝廷の荘園はほとんど武士に横領されている。
しかも、征夷大将軍の足利義輝は京を追いやられ、近江に在住しているのだから頼りにできない。
困ったものだ。
さて、昨年の収支報告だ。
銭の造り直しは60,000貫。
椎茸の売上は7,000貫。
玻璃の売上は20,000貫。
鉄砲の生産数は200挺、支払いが2,000貫。
走破船の建造は2隻、支払いが4,000貫。
硝石の生産は1斗樽が90樽分、支払いが1,800貫。
交易(博多商人)の売上は、2回の交易で23,000貫。
交易の手間賃(メンテナンス費・水夫の給料・貞安取分など)、支払いが4,600貫。
博多商人から硝石購入、3,000貫。
水あめ菓子の売上は2,000貫。
飴ちゃんは今回はない。
常備兵1,000人で、15,000貫の支出。
生産分配として、6,000貫の支出。
シャボンの販売は1,000貫。
遠賀川の水路工事準備費として、500貫の支出。
今回の宗像の収支は、プラス19,200貫。
ジイ様が順調に儲けており、銭の造り直しの規模がかなりのものになっている。
博多の商人たちも質のいい銭が手に入るので、協力的だ。
おかげで工房がすごく目立っている。
戦になったら、絶対に狙われるな、あれ。
まあ、ジイ様の銭の造り直しは、宗像三女神のお告げじゃないと言ってあるから、神罰云々はないからなぁ。
あと、ジイ様は独自に常備兵を雇い、工房群を守らせている。
ジイ様の常備兵は、700人ほどいるらしい。
もちろん、儂が許可している。
それだけの常備兵を持ったら、謀反を疑われるからね。
椎茸と玻璃は値が下がりつつあるそうだ。
だから、今年は朝鮮に出荷しようかと思っている。
それが上手くいけば、生産量をキープしながら、国内に流れる商品の量を調整し、値下がりを抑制するつもりだ。
鉄砲はこれで400挺を保有だ。
鉄砲はさらに増産を指示をしている。
走破船は6隻保有になっている。
そこで今度は走破船より小型の船を造らせている。
小型と言っても、全長は23間(41メートルくらい)になるもので、走破船の3分の2ほどの大きさになる。
船種は疾風船というもので、最大船速は時速15から20ノットを予定している。
戦の際は、この疾風船が主力になると考えている。
疾風船は走破船と基本設計は同じだが、船速を出すための工夫がされた船になっている。
常備兵は予定の1,000人まで増員が終わった。
彼らは日々厳しい訓練に耐えている筋肉達磨たちだ。
だからフルプレートメイルとか装備させたいなーと思っている。
ネタ装備上等だと思いません?
ただ、平地はいいけど、この日本は山林が多いから使い処がね……。
それでも目以外は全部隠し、真っ黒に塗り、角を生やし、まるで鬼のような風貌になれば敵に畏怖されるかもしれない。
弘治2年5月。
速いもので俺も12歳だ。
1年後には、元服をすることになる。
「殿。そろそろ殿の奥方を考えないといけませぬな」
「おお、それはいい。鍋寿丸よ、儂に任せよ。よき女子を見繕ってやるぞ」
貞安が話をフリ、ジイ様が話を進めると。
貞安は完全にジイ様に言わされたな。
ジイ様は俺の言葉を聞かず、まくし立てた。
孫が可愛いのは分かるが、俺の話を聞け。
2人が出ていくと、正三の声が聞こえた。
相変わらず儂にしか聞こえない声だ。
「どうした?」
紙がヒラヒラと落ちてくる。
『大友家家老小原鑑元謀反』
大友の重臣が謀反を起こした。
小原鑑元が起こしたのは、史実でいうところの姓氏対立事件だと思われる。
大友宗麟(今は義鎮と名乗っている)が同紋衆ばかりを重用するため、それに反発したクーデターだな。
俺の中では、大友宗麟は大したヤツじゃないんだよなー。
大友宗麟の幸運だったのは、優秀な家臣団がいたところだろう。
そうじゃなければ、精神の弱いバテレンかぶれ大名があそこまで大きくなれるわけがないのだ。
俺の勝手な考えだけどね。
「それで、大友義鎮はどうした?」
姓氏対立事件が起きるのは分かっていた。
だから、宗麟が避難する際に、どさくさに紛れて殺せるなら殺してほしいと正三に頼んだ。
もちろん、殺せるような状況でなかったら、無理に実行する必要はない。
「申しわけなく、手傷は負わせましたが生死までは不明にございます」
「手傷を負わせた、のか?」
「はい。深手にございます」
それは残念。
だが、この件で宗麟が生きていたとしても、大友はゴタゴタして動きが悪くなるだろう。
儂としては、大友の混乱は望むところだ。
少しでも混乱が長引いてくれることを願うよ。
「ふむ……。これ以上は手を出すな。向こうも警戒しているだろう」
「はっ」
「さて、できればこの乱を長引かせたい。小原を支援してもいい。どうだろうか」
蔵には銭が唸っているのだ。
兵糧、武器、防具と支援できることは多い。
大友の混乱が長く続けば、それだけ俺に有利になる。
「小原殿に話を持ちかけてみましょう」
「そうしてくれ。ああ、俺の名は出さず、博多の商人とでも言っておくように」
「承知いたしましてございます」
大友義鎮が生きていても、死んでいても、小原鑑元は討ち取られるだろう。
だが、大友の混乱が1日でも長引けば、それだけ疲弊する。
俺の懐は寂しくなるが、本来なら持っていなかった銭なのだ、気前よく使ってやるぞ。
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