第三百十一話「古木の根元の土と、王妃が学ぶ『大地の慈愛』」
その日の午後、王城の庭園は、秋の静かな空気に満ちていた。エレオノーラ王妃は、庭園の一角にある、古い白樺の木の根元を、悲しげに見つめていた。その場所だけは、どんなに珍しい種を蒔いても、花が根付かないという、庭園の「不思議な不毛地帯」だった。
「ハンス。なぜ、この土だけは、花を受け入れてくれないのでしょう。私の愛が、足りないのでしょうか」と、王妃は、ハンス庭師長に尋ねた。
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ハンス庭師長は、「王妃様。土の成分は、科学的に正常です。しかし、この土には、『生命の温もり』が欠けている気がします」と、経験に基づいた、抽象的な答えを返した。
シャルロッテは、モフモフを抱き、その土の前に立った。彼女の目には、その土が、「長年、誰にも愛されず、与えることを忘れてしまった、寂しい存在」として映っていた。
「ねえ、ママ。この土さん、きっと心が冷たくなっちゃったんだよ」
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シャルロッテは、「自然の偉大さは、受動的な愛……つまり受け入れる愛にある」という、独自の哲学を実践した。
彼女は、ハンス庭師長に、「この土に、何も植えず、ただ優しく見つめること」を命じた。
そして、シャルロッテは、土属性と時間魔法を融合させた。彼女の魔法は、土の原子構造を操作するのではなく、土の奥底に、「何万年もの間、水と光を受け入れ、黙って生命を育んできた、静かな献身の記憶」を再生させた。
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王妃とハンス庭師長が、その土を静かに見つめていると、土の表面から、微細な、七色の光の粒子が、静かに立ち上り始めた。それは、「与え続けてきた愛の記憶」が、光となって表れたものだった。
光の粒子は、王妃の頬に触れ、「生命とは、受動的な愛によって、豊かになる」という、温かい真理を伝えた。
「ああ……この土は、『何も所有することなく、ただ与え続けた』からこそ、こんなにも温かいのね」と、王妃は感動した。
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王妃は、その日以来、その土に、珍しい種を蒔くことをやめた。代わりに、王妃は、自分の「慈愛の魔力」を、その土に、毎日、無償で注ぎ込むという、新しい儀式を始めた。「与え続ける」ことを実践し始めたのだ。
数週間後、その土は、再び生命の温かい波動を取り戻し、そして、自然の力によって、王妃の故郷の、一輪の美しい白樺の花が、静かに咲いた。
「シャルロッテ。あなたは、私に、『真の豊かさ』は、所有ではなく、『大地のような、無償の受容と献身の心』にあると教えてくれたわ」
シャルロッテ姫殿下は、モフモフを抱き、にっこり微笑んだ。
「えへへ。だって、与え続けている方が、かたくなに持っている方よりも、ずっと可愛いんだもん!」




