第二百話「一枚のクッキーと、王城を巡る『優しい連鎖の法則』」
その日の午後、シャルロッテは、焼きたての大きなクッキーを手に、城下町へ向かう裏口の通用門の前に立っていた。彼女の心には、「誰かに、ほんの少しの、予期せぬ喜びを贈りたい」という、純粋な衝動があった。
でも彼女が選んだのは、豪華な宝石でも、高価な魔道具でもない。ただ、一枚の、焼きたての、温かいクッキーだった。
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シャルロッテは、通用門を守る、寒そうな衛兵に、そのクッキーを差し出した。
「ね、お兄さん。これ、あげる。とっても美味しいよ」
衛兵は、姫殿下の予期せぬ優しさに、驚き、そして感動した。彼は、クッキーを受け取り、その温かさに、凍えていた心が解きほぐされるのを感じた。
衛兵は、そのクッキーの温もりを、誰かに渡さずにはいられない衝動に駆られた。彼は、次に通用門から入ってきた、重い荷物を運ぶ納品業者に、そのクッキーを半分に割って、差し出した。
「受け取ってください。これは、私にとって、最高の贈り物です」
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納品業者は、衛兵の予期せぬ優しさに、心温まった。彼は、王城での納品を終えると、城下町の病気の老女の家を訪れ、そのクッキーの残りの半分を、老女にそっと渡した。
老女は、そのクッキーの持つ「愛の温もり」を、病で衰弱した体で感じ取り、その力で、一枚の美しい花びらを、丁寧に押し花にした。
その押し花は、老女の孫娘によって、王城の市場で、「特別な癒やしの香り」を持つハーブと共に、飾られた。
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その日の夕方、シャルロッテは、市場を散策していた。彼女は、そこで、不思議なほど心が温かくなる、美しい押し花を見つけた。それは、彼女が贈ったクッキーから始まった、愛の循環の最終的な贈り物だった。
シャルロッテは、その押し花を手に取り、その花びらから、衛兵の献身、納品業者の優しさ、そして老女の感謝という、すべての愛の波動を、感じ取った。
「わあ……このお花、愛がいっぱいだよ!」
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アルベルト王子は、妹の行動の背後にある、「愛の循環の法則」を理解し、深く感動した。
「シャルの優しさは、決して無駄にならない。それは、世界全体を幸せにする、小さな力の連鎖なのだ」
シャルロッテは、モフモフを抱き、にっこり微笑んだ。
「えへへ。だって、誰かに優しくすると、自分が、世界で一番、可愛い気持ちになるんだもん!」
シャルロッテの純粋な哲学は、「善意の連鎖」こそが、世界を最も美しく、温かく支える法則であることを証明したのだった。




