第百九十九話「城の大きな浴場と、夜の静かな『水の遊園地』」
その日の夜、王城の広い浴場は、誰もいない静寂に包まれていた。湯船には、光属性魔法で温められた、透き通ったお湯が満たされている。
シャルロッテは、一人で湯浴みを始めた。彼女は、王族の誰もが利用する、この厳粛な浴場を、「自分だけの、秘密の遊び場」に変えることを思いついた。それはちょっとしたいたずら心だった。
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シャルロッテは、湯船の縁に座り、水属性魔法を応用した。
彼女の魔法は、湯船の水面を、巨大な鏡のような、完璧な静寂に保ちつつ、湯船の底に、虹色に揺らめく、微細な砂の城を築き始めた。それは、ただのお湯ではなく、「秘密のファンタジーの世界」への入口となった。
「ねえ、モフモフ。今日はね、**『水の遊園地』**だよ!」
モフモフは、湯船の縁で、小さな丸いしっぽを振り、楽しそうに「ミィ」と鳴いた。
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シャルロッテは、湯船に身を沈め、今度は風属性魔法を応用した。彼女の魔法は、浴場全体に、温かい、ハーブの香りを帯びた霧を満たした。霧の中には、ごく小さな、光の魚たちが、無数に生み出され、シャルロッテの周りを、楽しそうに泳ぎ始めた。
そして、シャルロッテは、湯船の水面を、まるで魔法のキャンバスのように使い始めた。彼女が水に描いた、カメや、星や、王冠の絵が、水面から立体的に立ち上がり、光の彫刻となって、湯船の縁を巡り始めた。
それは、日常の厳粛な浴場が、無邪気な子供の創造力によって、幻想的な遊園地へと変貌した瞬間だった。
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そこに、公務を終えたルードヴィヒ国王が、湯浴みのために、静かに浴場へ入ってきた。
国王は、その光景を見て、一瞬、立ち尽くした。湯船の中央には、光の魚と、光の彫刻に囲まれ、満面の笑みを浮かべる娘の姿があった。
「シャルロッテ……これは、一体……」
シャルロッテは、湯船から顔を出し、父を招いた。
「パパ! いらっしゃい! お湯の妖精たちが、パパと遊びたがってるよ!」
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ルードヴィヒ国王は、娘の大きな創造力の前にして、改めて感嘆した。彼は、静かに服を脱ぎ、湯船に身を沈めた。
湯船の水は、彼に触れると、「ようこそ、パパ!」という、温かい、歓迎の魔力を流し込んだ。
国王は、娘の魔法の遊園地の中で、一日の疲れを忘れ、光の彫刻と、光の魚たちを見て、心から笑った。
「ああ、シャル、これは素晴らしい。日常のすべてが、最も美しい、愛のファンタジーに変わっている。今日一日の疲れがすべて流れていくようだ」
シャルロッテは、父の隣で、にっこり微笑んだ。
「えへへ。だって、このお湯はね、みんなを、無邪気な子供に戻してくれる、優しい魔法なんだもん!」
その夜、王城の広い浴場は、二人の間に、無邪気な愛の絆を、深く、温かく刻んだのだった。




