第百九十六話「古い写真の笑顔と、王女の『記憶の軽さ』」
その日の午後、王城の古い屋根裏部屋は、埃と、過去の記憶の温かい匂いに満ちていた。シャルロッテは、家族の古いアルバムの中から、亡くなった祖母(※国王の母)が、若かりし頃に笑っている、色褪せた写真を見つけた。
写真の祖母は、王族の重圧を感じさせない、奔放で、明るい笑顔をしていた。しかし、その写真の笑顔は、「過去の幸福」という、懐かしさと、「もう会えない」という、静かな喪失感を伴っていた。
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シャルロッテは、その写真を見て、「記憶」というものの性質に、深い関心を抱いた。
「ねえ、モフモフ。過去の楽しかったことって、なんで、こんなに静謐で、切なくなるんだろうね?」
彼女は、祖母の明るい笑顔が、「喪失の痛み」という重さによって、縛られているように感じた。
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シャルロッテは、その写真に、時間魔法と光属性魔法を融合させた。彼女の魔法は、時間を逆行させたり、祖母を呼び出したりするものではない。彼女の魔法は、「記憶そのものの重さ」を操作する試みだった。
彼女は、写真に写る祖母の笑顔に、「温かい、愛らしいユーモア」という、軽やかな感情を込めた。
「ね、おばあ様。悲しいことは、忘れちゃってもいいよ。楽しかったことだけ、残そうね!」
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その瞬間、写真の祖母の笑顔は、色褪せたモノクロームから、一瞬だけ、鮮やかな光を放った。そして、その写真の周囲の空気が、懐かしいのに、全く重くない、軽やかな幸福感に満たされた。
写真の笑顔は、「喪失」という重さから解放され、「いつでも思い出せる、純粋な喜び」へと変わったのだ。
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その夜、ルードヴィヒ国王は、娘からその写真を見せられた。国王は、母を亡くした悲しみを、ずっと心の中で重く抱えていた。
しかし、写真の祖母の笑顔から伝わる「軽やかな幸福感」に、国王は、初めて、涙ではなく、心からの微笑みを浮かべた。
「ああ、母上……。シャル、君は、悲しい記憶を、温かい思い出へと、変えてくれたのだな」
シャルロッテは、父の穏やかな笑顔を見て、にっこり微笑んだ。
「ね、パパ。人生はね、悲しいお別れがあっても、『楽しかったね!』って、最後軽やかに言えることが、一番可愛いんだよ!」
シャルロッテの純粋な哲学は、喪失の重みを、「記憶の軽さ」という、愛に満ちた形で乗り越えさせた。彼女の魔法は、過去の記憶に、「未来への希望」という、優しい再生の光を与えたのだった。




