第百八十二話「故郷の光と、姫殿下が繋いだ『遥かなる記憶の糸』」
その日の午後、王城の庭園で、老いた庭師のハンスが、遠い故郷の村を思い、静かに涙ぐんでいた。彼は、若き日に故郷を離れて以来、一度も村に戻れず、心の中には、「故郷の父母との、最後の別れの場面」という、後悔の念が深く残されていた。
彼は、その寂しさを、庭園の草花の手入れという、地道な作業で押し殺していた。
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シャルロッテは、モフモフを抱き、そのハンスの悲しみの感情を感知していた。彼女は、ハンスの心の奥底にある「叶わなかった願い」を、愛の力で実現させてあげたいと強く願った。
「ねえ、ハンスさん。故郷って、どんなところ?」
ハンスは、娘のような姫殿下の問いに、涙をこらえながら答えた。
「姫殿下。私の故郷は、『夕焼けの空が、世界で一番美しく見える場所』でございます」
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シャルロッテは、その言葉を聞き、即座に行動に移した。彼女は、王族の権力や、大掛かりな魔法を使うのではなく、「感情の共感」という、最もシンプルな力を使った。
シャルロッテは、ハンスの隣に座り、時間魔法と光属性魔法を融合させた。
彼女の魔法は、庭園の空全体に、ハンスの記憶の中にある、最も美しく、ノスタルジックな「故郷の夕焼けの光」を、幻影として映し出した。空は、王城の空ではなく、ハンスの故郷の、鮮やかな茜色に染まった。
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そして、シャルロッテは、通信魔法と共感魔法を応用した。
彼女は、故郷の村にいるであろう、ハンスの年老いた兄弟や親戚の「愛の波動」を、「音の信号」に変え、ハンスの耳に、静かに響かせた。
ハンスは、その「故郷の音」を聞き、王女の創り出した「夕焼け」の光景の中で、過去の、父母との別れの場面と、現在の兄弟の温かい想いを、時間と空間を超えて、同時に体感した。
彼は、その強烈な感動に、声を上げて泣いた。
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その光景を見ていた、アルベルト王子とフリードリヒ王子は、妹の魔法の力に、感銘を受けた。
「シャルロッテは、愛という名の『時間と空間の壁』を、完全に超えた」
フリードリヒは、「この感動を、王城の皆にも分かち合ってもらいたい!」と、感情の高まりをそのままに、涙ぐんだ。
ハンスは、涙を拭い、王女に深く感謝した。
「姫殿下。私は、殿下のおかげで、最も美しい形で、故郷の家族と再会できました。私は、もう孤独ではありません」
シャルロッテは、モフモフを抱き、にっこり微笑んだ。
「えへへ。だってね、愛しい人との再会は、世界で一番、感動的な物語なんだもん!」
シャルロッテの純粋な共感の心は、王城の静かな庭園に、時間と空間を超えた、感動的な愛のドラマを創造したのだった。




