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【TS幼女転生王族スローライフ】姫殿下(三女)は今日も幸せ♪ ~ふわふわドレスと優しい家族に囲まれて★~  作者: 霧崎薫


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第百八十話「忘れられた古道と、見返りを求めぬ『光の修理』」

 その日の午後、王城の裏手の古びた石畳の道は、雨が降るたびに水が溜まり、通行に支障をきたしていた。この道は、王城の最も古い資材搬入路で、もはや使われていないため、誰も修理しようとしなかった。


「この道を修理する予算はない。このまま放置するしかないだろう」と、アルベルト王子は、書類に印を押した。



 シャルロッテは、モフモフを抱き、その水たまりで遊んでいた。彼女の目には、この道が、「忘れられた人々の誇り」と、「いつか誰かに踏まれるのを待っている、寂しい道」に見えた。


 シャルロッテは、「誰にも褒められなくても、この道を直してあげよう」と決意した。それは、見返りを全く求めない、純粋な愛の行為だった。


 彼女は、土属性魔法を応用し、道の石畳の隙間に、微細な、しかし強固な土の魔力を流し込んだ。魔法は、石畳を元の美しい姿に戻し、水が溜まらないよう、完璧な傾斜をつけた。


 そして、光属性魔法で、道全体に、雨が降るたびに、温かい光の粒子が浮かび上がるという、小さな祝福も付与した。



 その数週間後、隣国との国境で、予期せぬ国境閉鎖の危機が起こった。王城から、国境の最前線にいる交渉団へ、至急、外交の機密文書を届ける必要が生じた。


 しかし、通常の公道は、軍の移動で大渋滞を起こしていた。


「いかん! このままでは、間に合わない!」と、アルベルト王子は、焦燥の念に駆られた。


 その時、フリードリヒ王子が、思い出した。


「待って、兄上! 王城には、裏手の古い搬入路があるぞ!」



 アルベルト王子は、フリードリヒのペガサス(※第六十四話参照)に乗り、その古びた搬入路を、猛スピードで駆け抜けた。


 その道は、誰も修理していないはずだった。しかし、石畳は完璧に整備され、雨上がりにもかかわらず、水たまり一つなかった。そしかも、ペガサスの蹄が、石畳を踏むたびに、温かい光の粒子が浮かび上がり、二人の騎士を、急ぐ道へと優しく導いた。


 その道のおかげで、機密文書は、寸前のところで交渉団に届き、王国は危機を免れた。



 王城に戻ったアルベルト王子は、妹を抱きしめた。


「シャル。あの道は、君が修理したのだな。誰にも知られず、見返りを求めずに」


 彼は、妹のこの無償の愛が、巡り巡って、王国全体を救うという、最も高貴な結果をもたらしたことに、感動した。


「情けとは、まさに人のためならず。君の純粋な愛は、最も強固な防御壁となった」


 シャルロッテは、モフモフを抱き、にっこり微笑んだ。


「えへへ。だって、寂しい道が、泣かないでいるのが、一番可愛いんだもん!」


 シャルロッテの純粋な愛の哲学は、「見返りを求めない善行」こそが、最も確かな「未来への投資」であるという、普遍的な真理を証明したのだった。

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