第百二十話「絹のスカートと、地下迷宮の『無垢な誘い(いざない)』」
その日の午後、王城の誰も通らない地下通路は、いつも以上に暗く、冷たい空気が流れていた。第二王子フリードリヒと、執事オスカーは、通路の老朽化の調査のために、二人で地下へ降りていた。
「まったく、地下での仕事は骨が折れますな」と、オスカーが汗を拭った。
その時、通路の曲がり角の向こうから、極めて場違いな、明るく、甘い香りが漂ってきた。
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角を曲がると、そこに立っていたのは、シャルロッテ姫殿下だった。彼女は、モフモフを抱き、光を反射する純白のシルクのスカートを纏い、光属性魔法で、周囲の闇を全て排除した、明るい光の中で立っていた。
「わあ! 兄様たち、こんなところにいたんだね!」
彼女の姿は、地下の煤けた壁と、荒々しい石畳のコントラストの中で、まるで白昼夢のように、無垢で、しかし抗いがたい魅力を放っていた。
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シャルロッテ姫殿下の放つ、「存在そのものの輝き」**は、オスカーの理性的な壁を揺るがした。同時にフリードリヒは、顔を赤くし、たじろいだ。
「シャ、シャル! こんなところで、どうしてそんな格好をして……!?」
「え? だってね、兄様。この通路が、暗くて寂しそうだったから、わたしが可愛い光で、照らしてあげようと思ったの!」
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シャルロッテは、無邪気に、地下通路の真ん中に立った。彼女が、風属性魔法でスカートの裾をふわりと持ち上げると、スカートの裏地に隠されていた七色のビーズの刺繍が、彼女の光の魔法を反射し、地下通路全体に、無数の虹色の光の破片を撒き散らした。
それは、計算された優雅さではなく、純粋な遊び心から生まれた、天性の魅了だった。
オスカーは、その光の美しさに、思わず膝をついた。同時に彼の脳裏に浮かんだのは、「この無垢な輝きは、誰にも汚されてはならない」という、究極の献身だった。
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フリードリヒは、妹の無垢な輝きを守るために、彼女の隣に立った。
「シャル。わかった。もう十分だ。その光は、もう俺たちが受け取った」
彼は、妹を抱きしめ、自分の騎士のローブで、妹の眩しすぎる光を、優しく遮った。
「君の光は、あまりにも強い。だから、兄ちゃんが、君の盾になるよ」
シャルロッテは、兄の切実な愛に包まれ、にっこり微笑んだ。
「えへへ。ありがとう、兄様。やっぱり、兄様のローブが、世界で一番あったかいよ!」
シャルロッテの無垢な魅力は、二人に純粋な愛と、献身という、最も高貴な感情を呼び起こした。地下通路の闇は、愛に満ちた光で、優しく包まれたのだった。




