# 第三十一章 合わない王冠
# 第三十一章 合わない王冠
(物語が、そうなるはずの方向に進んでいない)
(直さないといけない。今すぐ)
そう簡単にはいかない。
声。かすかで。乱れていて。胸の奥の何かを凍らせるほど冷たい。
(これは──同じ声だ。マロンを殺そうとした時に聞こえたやつ)
痛みが皮膚を走った、身構える前に。
紙で切ったような傷。何十もの。手に、腕に、顔に。細い赤い線が何もないところから現れていく。
彼は息を飲んだ。
「セバスチャン?」レインの声が、どこか遠くで。「セブ、何が──」
お前自身の物語は変えられない、蓮。声がより近く、ほとんど親密なまでに迫ってきた。受け入れろ。
「うるさい」声が、荒く出た。「これは俺が書いた物語じゃない」
何を書いたかなんて関係ない。一拍の間、ほとんど面白がっているように。お前が何をしようと──変えることはできない。
喉に、細い線が走った。
血が、温かく、衿元を伝って落ちる。
彼はそれを手で押さえた、傷口に圧力をかけて、パニックが速く無意味に込み上げてくる。
もう遅い。
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セバスチャンの目が、ぱっと開いた。
衿元が、汗で濡れていた。息が短く、荒く入る。
クリスが目の前に立っていた。生きていた。微動だにしていなかった。あの不快なほど落ち着いた目で、彼を見ていた。
部屋の全員がまだ彼を見ていた。
(物語は俺にそれを変えさせない)動悸が喉まで響いていた、あの切り傷の記憶がまだ焼けるように残っていたが、皮膚は完全だった。(ならどうすれば勝てる)
「どうした、小さな皇子よ」クリスが首を傾けた、嘲弄がほとんど優しく見えるほど。「もう詰んだとわかっている男の顔をしている」
セバスチャンは笑みを顔に乗せた。落ち着いて。ゆっくりと。
「次の皇帝になるのに、姑息な手は必要ない」と彼は言った。
「姑息な手」クリスが眉を上げた。
「父上が皇帝で、俺が皇太子だ」セバスチャンは背筋を伸ばして、直接その目を見た。「この帝国に、俺より強い人間はいない。次の皇帝になる。それが、ただのこの話の終わりだ」
「幻想から出てこい、セバスチャン」
「何?」
「強いということは、統治に適しているということじゃない」クリスの声は届いた。意図的に、その場のすべての耳に向けて。「ブラックウェルの旗の下にある全ての王国が──かつてのブリテンも含めて──頭を下げるのはアレクサンダーのためだ。お前の父上のためだ。お前のためじゃない」
「それは変わる」
「変わるだろうか」クリスはほとんど笑った。「この部屋の全員がすでにわかっている、お前が何者かを。恐れを知らない。容赦がない。この帝国の平和を築いた男には似ていない。だから、声高に要求すれば王冠を渡してくれると思うな」
「次の皇帝になる」セバスチャンは言った、声が今や低く、より鋭いものを帯びて。「なんと言おうと」
「絶対にそうはさせない」
「じゃあ、お前は死ぬことになる」
「マロンみたいに?」クリスの笑みは揺らがなかった。
セバスチャンは何も言わなかった。
向きを変えた。一言も言わずに評議室を出た。レインがすぐ後ろに続いた。
クリスは二人が去るのを見ていた。それから部屋に向き直って、まだ凍りついて座っている全員に語りかけた。
「あなた方は、この帝国に残っている最も重要な人々です」ほとんど親切そうに言った。「ブラックウェルの未来は今、あなた方の手の中にある。慎重に選んでください」
彼は出た。ヘインと残りの二人のブリテンの衛兵が後ろに続いた。
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「殿下──」ヘレナが言い始めた、席から半分立ちかけながら。
アルドリックがそれを遮った。先に立ち上がって。
「この話し合いは朝に続けよう」と彼は言った。「全評議員が揃った状態で」
椅子を引く音。大臣たちが二人、三人と連れ立って退席する。誰も彼もが、互いに目を合わせないまま、低い声で話しながら。
ルシアンとヘレナは一緒に歩いて、グループの後ろに下がった。声を落として、個人的な何かを話すように。
「お前は思うか」ルシアンは静かに言った。「皇太子が次の皇帝にふさわしいと」
ヘレナはすぐには答えなかった。
「今夜の後では?」ついに言った。「いいえ。あの気性では、皇帝陛下のようには率いられない。セイリュウ・ネクサスにあれほど簡単に袖を引っ張られる様では」ゆっくりと首を振った。「認めたくはないけれど──さっきのブリテン王は、あの場で全く間違ったことを言っていたわけじゃなかった。今夜のことが広まれば、旗の下の王国の半分は、セバスチャンを受け入れない。それは小さな損失じゃない。帝国が内側から割れるということよ」
「では代わりに誰を」
「本当に率いられる誰かを」ヘレナは言った。「他の王国が躊躇なく受け入れられる誰かを」
「それが具体的に誰だというんだ」
「王女よ」
ルシアンが歩みを止めた。「……何?」
「去年のダッチの交渉で、あの方と一緒に働いた」ヘレナは言った。「全部、ご自身で対処されていた。貿易紛争も、国境への苦情も、若くて女性だからと押さえつけようとした貴族たちも。一度も足を踏み外さずに、全部こなされた。人々があの方を好いている。信頼している」
「そしてセバスチャンは──」
「現在、私たちの誰も完全には理解していないことを企んでいる外国の皇子と同盟を結んでいる」ヘレナは平坦に言った。「今夜の後で、あの男にこの帝国を統治させたくない」
「気持ちはわかる」ルシアンは慎重に言った。「でもヘレナ──ブラックウェルの玉座に座った女性は、今まで一人もいない。この帝国の歴史全体を通じて、一度も」
「ならあの方が最初になる」
「本当に女性がブラックウェルを統治することを望んでいる」彼は声を低くして、歩きながら周りを確認した。「そうはならない。公には。最初は」
「なる王国もある」
「一部では玉座を守れない」
「始まりには十分よ」ヘレナは彼の目を見た。「賛同するか、しないか」
ルシアンが迷った。「待て──今夜の段階でそれを確約しろと言っているのか」
「今夜のこの会話は、この廊下に留まらない」ヘレナは言った。「朝になれば、宮廷の半分が今夜あの部屋で起きたことの何らかの版を聞いている。セバスチャンへの信頼はもう揺れている。人々は代わりを探し始める──でも誰が。皇帝陛下にはご子息が一人、ご令嬢が一人。血が近くて意味のある傍系の人間もなく、この帝国をまとめるのに十分な他の主張もない」
「ブラックウェルの血の外の誰かより、ロザリン殿下を受け入れる王国があると思うか」
「ブラックウェルの血の外の誰かは絶対に受け入れない。それが大前提だと思っている」ヘレナは言った。「つまり選択肢は正確に二つしかない。彼か。あの方か」
ルシアンはゆっくりと息を吐いた。「説得力のある話だ。でも女性をあの玉座に据えるなら──継承についての古い考えを持つ全ての貴族の家を相手にすることになる。それは小さな戦いじゃない」
「すべての貴族の家は必要ない」ヘレナは言った。「重要な家が必要。評議会に対して本当の影響力を持つ家が」
「それでもかなりの数の人間を説得しなければならない」
「今夜あの部屋で起きたことを見た後で、セバスチャンがふさわしいと彼らを説得するより、短いリストよ」
ルシアンはしばらく、考えながら黙っていた。
「同意する」ついに言った。「でも、なぜ今それを話し合っている。皇帝陛下は明日死ぬわけじゃない。ちゃんと考える時間はある。何も急いで決める必要は──」
「時間こそが」ヘレナは言った。「将軍を一人死なせて、完璧な皇太子が今夜評議会全員の前で正体を見せることになったものよ。計画する時間がなくなるまで待つより、先に考えておいたほうがいい」
二人は廊下の端に着いた。一言もなしに別れて、それぞれが別々の廊下へ消えていった。同じ静かな、危険な考えをすでにそれぞれが持ちながら。
つづく──




