# 第三十章 恐れなかった王
# 第三十章 恐れなかった王
評議室は薄暗かった。
深夜のため、蝋燭は数本だけ灯されていた。
アルドリックは空の玉座の横の椅子に腕を組んで座り、待っていた。
元帥ギャリック・ヴェインが部屋の中央近くに立って、石の部屋によく通る声で言った。
「マロンは自ら命を絶っていません、殿下」
一拍。
「証人には、あの男の最後の言葉がはっきり聞こえていた。『やめろ』だ。飛び降りようとしている人間は、落ちながら否定の叫びを上げない」
ギャリックの顎が固くなった。
「突き落とされた」
大臣ルシアン・アークライトが窓際に立って、後ろで手を組んでいた。
「衛兵が到着した時、テラスには誰もいなかった」彼は言った。「足跡もない。争いの痕跡もない」
扉が開いた。
セバスチャンとレインが入ってきた。
深夜。人は少ない。重要な者だけが残っている。
「俺たちの皇太子殿下は」ギャリックが言った、彼をあまり見ずに。「どうやら、これを止めるのに動くには考え過ぎていたようですな」
セバスチャンは何も言わなかった。
部屋を横切った。空の玉座の横の場所に立った。
黙ったまま。
大臣ヘレナ・モーカントの目が最初に彼を見つけた。
「教えていただけますか、若殿下」声は落ち着いていた。慎重だった。「この時間に、ネクサスの皇子の部屋で何をされていたのですか」
「呼ばれた」
「面白い」わずかに首を傾けた。「何の目的で」
「誰かが彼の部屋に罠を仕掛けた」セバスチャンは声を平静に保った。「ゴミ箱に割れたガラス。外套の一枚に、毒が染み込んでいた」
部屋が静まった。
ルシアンの目が細くなった。「つまり、俺たちの中に裏切り者がいると」
「この裏切り者が」ギャリックがゆっくり言った。「マロンを殺した人物と同一かもしれない」
彼は立ち上がった。
「でも、本当に両方やるだろうか。ネクサスの皇子の私室に罠を仕掛けて、同じ夜に自国の将軍を一人消すだなんて」首を振った。「どうも腑に落ちない」
アルドリックに向いた。二人の間で、短い頷きが交わされた。
「私が自ら調査します、殿下」
彼は退室した。
ルシアンの注意がセバスチャンに戻った。
「ひとつ聞かせてください、殿下」口調は穏やかなままだった。穏やか過ぎるくらいに。「なぜネクサスの皇子は、あなたをそれほど完全に信頼しているのですか」
セバスチャンはすぐには答えなかった。
「会われたのはごく最近だ」ルシアンは続けた。「それなのに、その短い時間で、何かに脅かされた瞬間に──皇帝でも評議会でもなく、あなた個人を呼ぶほどの信頼関係を作り上げた」
「あの人は父親と違う」セバスチャンは言った。「もっと多くの土地を求めていない。征服を求めていない。俺たちの帝国の間に平和を求めている。それが目標なら、信頼はどこかから始めるしかない」
「合理的な答えですね」ルシアンは手を組んだ。「しかし、セイリュウ殿下はまだネクサスの皇帝ではない。父君が亡くなった後、五人の兄弟が全員、同等に王位を主張できる」
それをしばらく置いておいた。
「戦争はなかなか綺麗には終わらない」彼は続けた。「老皇帝が亡くなった時、セイリュウとその兄弟たちは、その玉座をめぐって互いに向き合うことになるかもしれない。これはそういうことでしょうか、殿下。あなたとの間に今のうちに繋がりを作っておいて、その戦争が来た時に助けてもらうために」
「なぜブラックウェルが他の帝国の内部継承に介入するんだ」
別の声が代わりに答えた。
「いい質問だ」
全員が振り返った。
クリス。扉口に立っていた。ヘインが一歩後ろに。
レインの手がすぐに剣へ向かった。
「ここで何をしてる」
「落ち着け、番犬」クリスは笑って、目はセバスチャンに向けたまま、動じることなく部屋の中へ歩いてきた。「俺はいつか来るかもしれない王冠を待ち続ける小さな皇子じゃない。もう王だ」
両腕を少し広げた。
「この部屋にいる権利が俺にある」
「質問は後でいい」ルシアンにちらりと目を向けた。「俺にも聞きたいことがある。もっと重要なものが」
セバスチャンに向き直った。
「それで、小さな皇子よ」声が部屋に届いた。「マロン将軍が落ちるのを、セイリュウ皇子の横で見ていたそうだな」
「そうだ」
「その瞬間──」クリスが首を傾けた。「お前は何も言わなかった。何もしなかった。なぜだ」
「何が言いたい」
クリスがより大きく笑った。
「お前がマロン将軍を殺した」
部屋にざわめきが広がった。
「馬鹿げた話だ」セバスチャンは平坦に言った。「何がどうなったらそういう話になる」
クリスが指を鳴らした。
扉の影から、衛兵が一人前に出た。
「見たことを話せ」クリスが言った。
衛兵の目が緊張しながらセバスチャンに一瞬向いて、それから床に落ち着いた。
「マロン将軍が今夜、セイリュウ殿下の部屋に行きました」彼は言った。「そこに配置されていた俺たちネクサスの衛兵に、その場を離れるよう言ってきました。急用があると言って、しばらく俺たちが必要な場所があると」
ヘレナが眉をひそめた。「しかしマロンは今、死んでいます」
「それが要点だ」クリスは言った。「マロンはあの部屋に入って、見てはいけないものを見た。そして数分後、セイリュウが直接セバスチャンを呼んだ」両手を広げた、ほとんど同情するように。「それでマロンの夜は終わった、そういうことじゃないのか」
「それが単なる推測に過ぎないとわかった時には」アルドリックが鋭く言った。「お前は深刻な立場に置かれるぞ」
「時系列を自分で見てみればいい」クリスは肩をすくめた。「皇太子殿下は何かを隠していると思う」
「なぜセバスチャン殿下がそんなことをする理由が」ヘレナが聞いた、ただし声から確信が少し消えていた。
「王冠のためだ、当然だろ」クリスは大げさに目を転じた。「セバスチャンとセイリュウは、玉座に向けて自分たちを整えている。二人とも。そして邪魔な者は排除される」二人の皇子がその夜早く立っていた空の場所を示した。「二つの敵対する帝国の皇太子が、これほど速くこれほど近くなれるのが、まさにそのためでなければ、他に何の理由がある」
セバスチャンに向き直った。
「互いに権力の確保を手伝っている。それだけのことだ」一拍。「違うか、小さな皇子よ」
部屋がざわめきに溶けた。囁き声。目がセバスチャンと玉座の間を行き来する。
(上手くやった、クリス)
セバスチャンは表情を保った。
(いつかこういうことをしてくる奴が出ると思っていた。マロンの死を武器にして、全ての事実をわずかに歪めて、もっともらしく見せている)
(もし真っ向から否定したら──それも使われる。部屋の全員の目には、否定が罪の証拠に変わる)
(いい)
セバスチャンは笑い始めた。
最初は静かに。それから大きく。一度、ゆっくりと手を打ちながら、玉座の横から部屋の中央へ歩き下りていった。
「そうだ」と彼は言った。「それで?」
沈黙。
ヘレナが彼を見つめた。「若殿下……どうしてそんなに簡単に」
「マロンはシャストリンだ」セバスチャンは言った。「この評議会に入ってきた十一ヶ月前から、ずっと裏切り者だった。最初から俺たちの仲間じゃなかった。本当の意味で」
歩みを進めて、クリスの正面に立った。
「それでも、ただ殺す権利はお前にはない」クリスは言った。
「俺は殺していない」セバスチャンの声は平静で、冷たかった。「死んだのは、自分の人間に裏切られたからだ。つまり今この宮殿のどこかに、まだ別の裏切り者が座っているということだ」
「それがどうしてわかる」
「次の一人が見つかった時に」セバスチャンは言った。「わかる」
向きを変えた。玉座へ向かって戻り始めた。
後ろでクリスの声が上がった。今度は部屋全体に向けて。
「見ていなさい、皆さん」両腕を広げて、その場に立つ全ての貴族、全ての大臣、全ての衛兵に語りかけた。「皇太子とネクサスの皇子が、一緒に玉座を押さえようとしている。邪魔な者は全員消して、すでに軍が残っていない、自分たちを守れない民族のせいにする」
セバスチャンの背中を、まっすぐ見た。
「なぜこの人たちを操ろうとする、小さな皇子よ」声が落ちた。ほとんど穏やかに。ほとんど嘲弄するように。「お前は一体、何をそんなに恐れているんだ」
セバスチャンが足を止めた。
(それは予想していなかった。こういう形では)
(上手い。俺が思っていたより遥かに)
(あいつは自分の嘘を、明日の朝にはここにいる人間が信じるものに変えた。そしてここにいる人間の半分は、最初から俺に忠実ではなかった。今、彼らには動く理由ができた)
セバスチャンは天井を見上げた。
それからレインを見た。
レインの剣は、もう鞘を離れていた。
消えた。
誰にも追えない、一瞬の動き──
──そして、そこにいた。
クリスのすぐ横に。
刃は柄まで深く、その胸に突き刺さっていた。
血がクリスの口からあふれた、暗く、突然に。目が大きく開いた。まだ恐怖とは言えない何かで。ただ、衝撃で。
「レイン──だめ!」
ロザリンの声が、鋭く恐怖を帯びて、部屋を切り裂いた。
全員が一斉に立ち上がった。椅子が引っ掻かれる音。声がパニックへと高まっていく。
レインは刃を引き抜いた。
クリスが崩れ落ちた。
誰かが反応する前に、レインはもう動いていた──ヘインへ、扉の脇に立っているブリテンの衛兵二人へ、蝋燭の光の中で刃が二度、閃いた。
どちらも自分の武器を抜く時間がなかった。
二つの頭が、胴体より先に床を叩いた。
悲鳴が評議室を飲み込んだ。貴族たちが出口に殺到する。衛兵が誰も聞かない命令を叫ぶ。
セバスチャンは自分の剣を抜いた。鼓動が全身に響く。目は目の前で展開する混乱に向けたまま。
(物語が、そうなるはずの方向に進んでいない)
(直さないといけない。今すぐ)
つづく──




