# 第二十九章 砕けたガラス、砕けた信頼(後篇)
# 第二十九章 砕けたガラス、砕けた信頼(後篇)
セバスチャンとセイリュウが中庭に着いた時、すでに小さな人垣ができていた。衛兵たち。夜勤のスタッフが何人か。松明が、石の上に長い影を引いていた。
セバスチャンは前に押し出た。セイリュウがすぐ横に。
マロンは落ちたままの場所にいた。折れて。動かなくて。
(マロンが死んだ)セバスチャンは死体を見下ろした。胸の中に、冷たいものが落ち着いていく。(でも、これは物語にはなかった。こうなるはずじゃなかった。俺が自分で殺そうとした時、何度やっても何かに止められた。プロットが俺を触れさせなかった)
(じゃあ、なぜ今、死んでいる。誰が、これを起こした。俺が起こせなかったのに、誰なら起こせた)
(俺の見えない場所で、何かが動いている)
セイリュウが死体の横にしゃがんだ。マロンの顔に向けて手を伸ばした、緩んで血にまみれた顔の、すぐ上まで指を近づけて。
それから止まった。
その目がわずかに開いた。何かが目の奥を走った──認識か、計算か、現れた時と同じ速さで消えた。
立ち上がった。コートを正した。中庭の誰にも一言も言わずに、セバスチャンの方へ歩いて戻ってきた。
「信じないかもしれないが」セイリュウは静かに言った。セバスチャンにしか聞こえない距離で。「この男が俺の部屋に入った。毒を仕掛けた奴だ」
(そうだろうな。驚くことでもない。マロンはこの体に目覚める前から裏切り者だった)セバスチャンは表情を保った。
(でも、なぜこんなに気軽に話す。まるで旧友と笑いを共有するみたいに。マロンがそれをやったなら、あいつを殺した誰かは俺たちの側だ。あるいは土壇場で計画を変えて、直接殺す方が簡単だと判断した)
(どちらにしても。なぜだ)
セバスチャンは何も言わなかった。手で髪を後ろに払って、衛兵たちが遺体を持ち上げに動く中、向きを変えた。
後ろの回廊から、足音が急ぎ足で近づいてきた。
レインとロザリン。
ロザリンは遺体を見た瞬間、足が止まった。表情が即座に固くなった──悲しみはどこにもなく、あるのは計算だけ。
「評議会の人間を集めて」一番近くにいた衛兵に鋭く言った。「今すぐ」
それからまだ集まっている人たちの方を向いた。
「宮殿の壁の外で、これについて一言も話さない。誰に対しても」声は大きくする必要がなかった。「誰がやったか、必ず見つける。そして処刑する」
歩き始めた。セイリュウとの距離を縮めながら、動きながら話し続けた。
「これはブラックウェルの名に対する恥だ」彼女は言った。「俺たちが二つの帝国の間に何か新しいものを作ろうとしている、まさにこの瞬間に。自分たちの中庭で遺体が出る」続けた。「こんなことを軽く流すつもりはない」
セイリュウの前で止まった。手を差し出した、正式に、正確に。
「この状況の深刻さを、ご理解いただけていると思います、セイリュウ殿下」
セイリュウは軽く頭を下げてその手を取った。「もちろんです、ロザリン嬢」
ロザリンの目がセバスチャンに一瞬切れた──かろうじて抑えた失望が、その視線に確かにあった──それから向きを変えて宮殿へ向かって歩いていった。
(すまない、ロズ)セバスチャンは彼女が去るのを見ていた。(これは俺の責任だったはずだと、わかってる。あいつを見つけて、暴くこと。でも、お前が今理解しているより複雑な話なんだ。正直に言えば、俺自身が理解しているより複雑なことかもしれない)
また足音。今度は軽い。
「申し訳ありません、殿下。遅くなりました」
ヴィだった。兜をつけたまま、走ってきたように息が上がっている。
「謝らなくていい」セイリュウは言った。
セバスチャンは一歩前に出た。「セイリュウ。マロンがお前の部屋に入ったことを発見したのはお前だ──あいつを殺した理由がある人間のリストを集めれば、本当に誰がこれをやったか、わかるか」
セイリュウはしばらく考えた。「試してみる」
「いい。詳しい話は朝にしよう」セバスチャンは中庭の、血が染みている場所を見た。「今夜は、できる限り休もう」
向きを変えた。レインが宮殿へ向かいながら横に並んだ。
後ろで、ヴィがセイリュウの方に少し首を傾けた。
「なぜセバスチャン皇子は、あなたに対してあんな話し方をするんですか」静かに聞いた。「敬称も、礼儀も。あの方が誰かを考えたら、それは礼儀上の逸脱では」
「意図してやっている」セイリュウはセバスチャンの遠ざかる背中を見ながら言った。「でも、俺たちにとっては都合がいい。そのままにさせておけ」
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「で」レインが言った。誰にも聞こえない距離まで中庭から離れてから。「あんなに早く来れたのはなんで」
「セイリュウが呼んだ」
「セイリュウがお前を呼んだ」レインの口調が変わった、慎重に。「そして、着いた時にはマロンはもう死んでいた。死体を見た時、お前は一言も言わなかった、セブ。反応すら一切しなかった」
「何が言いたい」
「お前かセイリュウが評議会に引っ張り出される可能性があるってこと。誰かがどちらかのために動いたとなれば──知らなかったとしても──それだけで訴追の根拠になる」
「それはわかってる」セバスチャンは歩き続けた。「誰かが絶対に、これを使って同盟を壊そうとするかもしれない。セイリュウがブラックウェルの将軍を消したと仕立てるか、俺が何かを隠蔽するために命じたと言うか。でもセイリュウは、もう自分が同盟者だと証明した。それだけの価値はあるはずだ」
「あるはずで。そう」レインが横目で見た。「さっきの、敬称も何もつけない呼び方──あれを見ただけで、随分と打ち解けたんだなとわかった。思っていたより早く」
「あいつは俺に何かを望んでいる」セバスチャンは言った。「だからこそ、こんなことで友情が終わることを望まない。頭がいい。そして強い。誰を側に置くか、慎重にならないほど無思慮じゃない」
「知ってると思うか」レインがさらに声を落とした。「俺たちが小説の中にいることを。このどれかが……」
「いや」セバスチャンは首を振った。「あいつはただのキャラクターだ。この物語の中で、もしかしたら一番強いかもしれない──でもキャラクターだ。そして今は、俺たちの側にいる。そこにいてほしい。黒い軍に本当に勝てる可能性があるなら、あいつが必要だ。それ以外の全部──政治も、和平交渉も、その後に来るものも──あの戦いを生き延びて初めて意味がある」
評議室に続く回廊まで来た。セバスチャンが歩みを緩めた。
「今は」と彼は言った。「評議室に行かないといけない」
レインが彼を見た。「そんなにまずいのか」
「双子の妹が今夜いい顔をしていなかった」セバスチャンはゆっくりと息を吐いた。もう来るものを心構えしながら。「あの部屋に入ってから、改善するとは思えない」
つづく──




