# 第二十三章 東京、あの頃と今
# 第二十三章 東京、あの頃と今
東京。
救急車のサイレン。
道路の上に二つの体。車が紙みたいに潰れている。何が起きたのか、どう終わったのか、疑いようのない種類の衝突。
セイリュウは傘をさして歩道に立ち、看護師たちが動くのを見ていた。
何も言わなかった。
近づいていかなかった。
ただ見ていた。
奥多摩で自分を逮捕した警察官たちが──手錠をかけて、取調室に座らせて、美月の質問を聞いていたあの警察官たちが──何の二度見もせずに横を通り過ぎた。
会ったことがないかのように。
奥多摩など存在しなかったかのように。
濡れた道路で救急車を見ている、ただの見知らぬ人間であるかのように。
ドアが閉まるのを見ていた。
救急車が走り去るのを見ていた。
背を向けた。
自分の車へ歩いた。
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屋敷は静かだった。
コートを椅子に落とした。手を上げてシャツを頭から抜いた。
鏡を見た。
肩。
奥多摩で弾が入ったところ──あるいは、そうなったはずの、そう見えた──滑らかな肌だった。傷跡はない。痕跡はない。何かがかつてあったことを示すものは、何もなかった。
しばらく見ていた。
それからコーヒーを淹れに行った。
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シャワーを浴びた。
コーヒーを淹れた。
座った。
小説を開いた。
何も起きなかったかのように。
彼にとっては、実際に何も起きていなかったから。
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最後に読んだ時からページが変わっていた。
新しい行。インクがまだ周りのページと少し違っていた。
ゆっくりと読んだ。
『「光だよ」目を上げた。何かが壊れたものが、その目の奥にあった。「この野郎」』
『セバスチャンの目が、止める間もなく潤んだ』
『「会いたかった。マジで」』
その場面の終わりまで読んだ。
小説を膝の上に置いた。
コーヒーを持ち上げた。
「いい」
飲んだ。
「すべて計画通りだ」
外では、都市はもうあの道路で起きたことを通り過ぎていた。東京は二つの体のために立ち止まらない。一度もそうしなかった。
ページをめくった。
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現在。
小説が膝の上で開かれていた。
前に読んだ行に達した。
『物語が変わっている。誰かが、ついに自分の駒を動かした』
笑みが浮かんだ。
『面白くなってきた』
ページをめくった。
読み続けた。
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キロス宮殿の東棟には、古い絵画が並んでいた。
何世紀にも及ぶブラックウェルの歴史が、金の額縁に収まって、奥がわずかに暗くなるほど長い回廊に掛けられていた。戦場。肖像画。帝国の拡大の各時点の地図。
セバスチャンはその中をセイリュウと並んで歩いた。
どちらも急いでいなかった。
大きな絵画の一枚で、二人は足を止めた──広い野に二つの軍が向かい合っていて、両側に旗が見える。ブラックウェルの剣。ネクサスの鷹。
セバスチャンはそれを見た。
「これを知っていますよね」
問いとも言い切れなかった。
セイリュウは絵を見た。額縁に手を置いた。
「何千もの命だ」と彼は言った。「戦争が一つ。誰も本当には必要としていなかった一片の土地のために」しばらく黙っていた。「それで何が解決した。四十年の正式な距離。人の代わりに外交官。会話の代わりに手紙」
セバスチャンは何も言わなかった。
「俺は戦争を望んでいない」セイリュウは彼を見ずに絵を見た。「皇太子がそれを声に出して言うべきでないのはわかっている。でも、その代償を十分に見てきた」顎がわずかに引き締まった。「あの野の兵士たちには全員、家族がいた。人生があった。帰る場所があった」息を吐いた。「どんな命にも、価値がある。名前を知らない命でも」
その目は光っていた。
泣いていない。あと少しのところで。
セバスチャンは彼を見た。
(東京のセイリュウは、ただの楽しみのために俺を森で撃った)
(この男は、両帝国の間の戦争を描いた絵の前に立って、目が潤んでいる)
(二つの世界で最高の役者か)
(あるいは本当に二人の別人か)
(あるいは両方)
「同意します」セバスチャンは言った。
セイリュウが彼を見た。
「全部に」セバスチャンは言った。「一言一句に」
セイリュウはしばらく視線を合わせていた。
それから絵に戻した。
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クリスは回廊の奥に立っていた。
見えない距離。でも、見える距離。
(あいつと二人きりで話す必要がある)
(ここではない。大臣や騎士たちや、あのネクサスの皇子の後ろをずっとついて回っている鎧の騎士の前では)
(証人がいる前に、ネクサスの皇太子に近づいてソウルのことを覚えているか聞くわけにはいかない)
(でも知る必要がある)
(俺一人なのか、それとも他にもいるのか。あの皇子がその一人なのか。もしそうなら──使える人間なのか、それとも警戒すべき人間なのか)
回廊の影からセイリュウとセバスチャンを見ていた。
(まだだ)
(でも、もうすぐ)
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それぞれの主人の後ろで、レインと鎧の騎士は、二人とも注目されないようにしながらわずかに退屈している人間特有の静寂の中に立っていた。
騎士が少し体重を移した。
「名前は」と彼女は言った。静かに。レインにというより、壁に向けて。
レインが横目で見た。
「レインだ」一拍。「お前は?」
「ヴィ」
「ヴィ」
「そう」
「ヴィだけ?」
「ヴィだけ」
また前を向いた。
「私、あまり人に話しかけない」ヴィは言った。「なんで声をかけたのかわからない」
「退屈だったんじゃないか」
「たぶん」
しばらく、二人は黙っていた。
(コードネームを作るべきかもしれない)レインは思った。(こういう状況のために。光でも、完全にレインでもない何かを)
(後で考えよう)
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セバスチャンは絵から体を向けた。
「実際に来た理由を話しましょう」
セイリュウは一度頷いた。
部屋を見つけた──小さく、静かで、会議に見せない会議のために使われる種類の。椅子が四つ。テーブルが一つ。内庭を見下ろす窓。
セバスチャン。セイリュウ。レイン。ヴィ。
扉が閉まった。
セバスチャンはセイリュウを見た。
「どうやって俺の未来を見たのか」
「方法は教えない」セイリュウは言った。「でも見たことは本物だ。以前も未来を見て変えたことがある。幻と可能性の違いはわかる」セバスチャンをまっすぐ見た。「あの手紙に書いたこと──それが、何もしなければ起きることだ」
「では聞かせてください」セバスチャンは少し前傾みになった。「確実に起きると言うなら、俺たちが何をしても関係なく起きるんじゃないですか。未来が決まっているなら──」
「決まっていない」セイリュウは首を振った。「何も決まっていない。以前も変えたことがある。未来は目的地ではなく方向だ。十分に押せば、動く」
セバスチャンはゆっくり頷いた。
「では、何を見たのか話してください」
セイリュウはしばらく黙っていた。
「黒い軍との戦争だ」平静に。淡々と。この声の落ち着きを保つために準備してきたみたいに。「俺の父が死んだ。俺も死んだ。あなたの皇帝も死んだ。カイロス指揮官も死んだ」一拍置いた。「戦いを率いた者が全員──消えた。指揮官を失った軍隊。帝国を一つにしていたもの全てが、一つの戦争で崩れた」セバスチャンを見た。「そして、あなた」
「俺は向こう側にいた」
「目が完全に黒くなっていた。あなたは、知っている全員に対して黒い軍と共に戦っていた」テーブルを見た。「それがあなたの選択だったのか、誰かに何かをされたのか──わからない。でも、俺が見たことだ」
セバスチャンはそれをしばらく受け止めていた。
「もし向こうに魔術師がいるなら」と彼は言った。「催眠をかけられるなら、それがどういう経緯かもしれない。選択じゃなく、強制された何か」
「俺もそう思っていた」
「なら監視しましょう」セバスチャンは彼を見た。「二つの帝国が共に。シャストリンは終わった。黒い軍だけが、まだわからない変数だ」セイリュウから目を離さなかった。「勝てると思う。俺はそう信じています」
セイリュウはしばらく彼を見た。
その表情には、完全な安堵でも完全な確信でもない何かがあった。
でも、どちらにも向かっていた。
「もう一つだけ」セバスチャンはさりげなく言った。
「はい」
「東京という言葉を聞いたことがありますか」
セイリュウは彼を見た。
揺らがなかった。間もなかった。何の認識もなかった。
「いや」少し首を傾けた。「それは何だ?」
「何でもないです」セバスチャンは簡単に笑った。「どこかで読んだ言葉です。忘れてください」
(顔が動かなかった)
(わずかにも)
(本当に知らないか)
(あるいは、もう反応を見せる必要がない段階に達しているか)
(まだわからない)
テーブルの向こうで、ヴィの両手が膝の上にあった。
震えていた。わずかに。ほんの少し。
レインが気づいた。
何も言わなかった。
セイリュウも気づいた。
何も言わなかった。
でも、目が彼女の手に向いて、必要より半秒長くそこにあった。
(マナがおかしい)セイリュウは思った。(あの言葉を聞いた。知っている。それを表に出さないよう、一生懸命努力している)
(面白い)
「さて」セイリュウは椅子を引いた。「都の様子をもっと見たい。セバスチャン皇子は休んでください」扉をちらりと見た。「大臣か顧問を一人つけてくれれば。正式な護衛は要らない」
「手配します」セバスチャンは言った。
四人が立ち上がった。
同じ部屋にいる四人、それぞれが相手の知らない何かを知っていた。
扉が開いた。
向こうの回廊は、明るく、何の変哲もなかった。
つづく──




