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神の雷(トール・ハンマー)〜家族を奪われた天才物理学者の逆行転生。未来の知識で四大勢力に復讐する〜  作者: 天音天成
第1章:逆行と起業と無双

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第15話 偽装された星への扉と、要塞ニヴルヘイム

 西暦2012年の暮れ。

 六本木のイージス・イノベーションズ本社。社長室の巨大なモニターには、南太平洋に浮かぶ美しい孤島の衛星写真が映し出されていた。


「ボス。ご指示通り、五十以上のダミーファンドとペーパーカンパニーを経由し、旧フランス領の無人島の購入を完了しました。所有権の追跡は事実上不可能です」

 橘 玲奈が、完璧な仕事ぶりで報告を上げる。

「表向きの用途は、我が社が新たに立ち上げる『民間宇宙開発部門』の赤道直下型ロケット発射基地、およびリゾート開発地としての申請を通しています」


「ご苦労。これで『器』は手に入った」


 私はモニターに映る緑豊かな孤島を見つめ、満足げに頷いた。

 表向きは、夢と希望に溢れた民間宇宙開発の最前線。しかし、その地下に建造されるのは、アメリカの軍事偵察衛星の目すら欺く、世界最凶の兵器製造プラントだ。


 氷と霧に包まれた死者の国――要塞『ニヴルヘイム』。


「すでに、クリスとヴィクトルは現地に入っているな?」

「はい。世界中から金で引き抜いた訳ありのエンジニアや、旧KGB上がりの傭兵たちも島に集結しつつあります。……ボス、本当に彼らだけであれほどの巨大な地下施設を?」

「可能だ。私が渡した設計図と重機制御アルゴリズムを使えば、通常なら十年かかる基礎工事も一年で終わる」


 私は手元のタブレットを操作し、島の地下で進行している建設現場のリアルタイム映像を開いた。


『ハッハッハッ! 素晴らしい! この地盤掘削のプラズマカッター、出力が芸術的だ! 岩盤がまるでバターのように溶けていくぞ!』


 映像の中では、ヘルメットを被ったDr.クリス・ウォーカーが、自らが組み上げた巨大な掘削重機の威力を前に、狂喜乱舞していた。

 彼の天才的なエンジニアリング能力と、私の未来知識が合わされば、2012年の素材でもオーパーツのような機材を造り出すことは容易い。彼は寝る間も惜しんで、地下数十メートルに及ぶ巨大な『神のトール・ハンマー』の建造プラントを造り上げている。


『こちらヴィクトル。対空レーダーの偽装配置、および第一防衛線の構築が完了した。島に近づく不審船は、すべて「座礁事故」として海の藻屑にする』


 別のウィンドウでは、火傷の痕を残すヴィクトルが、冷徹な声で報告を上げてきた。

 彼はロシア軍の最新鋭地対空ミサイルシステムを闇ルートで調達し、島の通信タワーやリゾート施設の骨組みの中に巧妙に隠蔽していた。彼の統括する暗殺部隊『シャドウ』が島を巡回しており、CIAのネズミ一匹たりとも物理的に侵入することは不可能だ。


「狂気の頭脳と、冷徹な狼。彼らは期待以上の働きをしてくれている」

「ええ。ですがボス、一つ懸念があります」

 玲奈が眉をひそめた。

「いくら偽装を完璧にしても、我々が今後、大量の物資を島へ運び込み、実際にロケットを打ち上げ始めれば、四大勢力の諜報機関は必ず疑念を抱きます。特にアメリカのペンタゴンは、我々の宇宙開発を『ミサイル技術の転用』と見なして干渉してくるでしょう」


「その通りだ。だからこそ、表の『盾』である君の力が必要になる」


 私は玲奈を振り返り、不敵な笑みを浮かべた。


「我が社が打ち上げるロケットには、全世界をカバーする次世代の『超高速通信衛星』を積む。発展途上国から先進国まで、すべての人類に無料でインターネットを提供するという大義名分だ。これに世界中の世論が熱狂すれば、いくらアメリカ政府でも表立って我々を攻撃することはできなくなる」

「……なるほど。世界の通信インフラそのものを人質に取り、我々の『盾』とするのですね。悪魔のような発想です」

「私が宇宙へ上げたい本命の『荷物』は、その通信衛星のパーツの中に、一つずつ紛れ込ませる」


 数千基の衛星ネットワーク。その中に偽装された『神の雷』のプラズマ発生器や超質量弾のパーツを、数年かけて軌道上へ密かに打ち上げ、宇宙空間で自動連結させるのだ。


「表の経済戦争は君に任せる。私は、裏の戦争の準備を進める」

「承知いたしました、ボス。世界中の富をかき集め、最高の盾を磨き上げてみせましょう」


 表と裏。二つの巨大な歯車が噛み合い、歴史の裏側で、神を墜とすための準備が着々と進められていた。

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